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28.出歯亀後編  *R18

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 キール様が現れて、耳から手を外す。

「見つけられてよかった・・・心配した。だが・・・こんな所にいるとわな」
 キール様は小さい声で話しながら、苦笑いされる。


「迷ってしまった様で・・・。こんな所に来てしまいました。見つけてもらえてよかったです。ここを動けなくて困ってしまって・・・」

「そうだろな・・・。あれを見たら、まぁ・・・そうなるだろう。さすがに驚いた・・・」
 
 キール様は驚いたとは言われるが、表情は困った様な顔をされている。ちらりとシェリー様達がいる方を見られた。


 まだあちらはあちらで、2人の世界のようだ。
「デュークッ、もうッ、いいかげんにして。唇が腫れちゃうじゃない」

「・・・別に嫌じゃないだろ。もっと堪能させないと、また触るぞ」

「でもッ、んんっ」
 いつの間にかシェリー様はドレスをきちんと着ていたが、ベンチに座る殿下の膝にかかえるように座らされていた。


「はあ・・・やっとといった感じだが、見るのはきついから早くこの場からは去りたいところだな」
 キール様はすぐにシェリー様達から視線を逸らした。シルフィも顔を伏せながら、キールの顔を伺い見る。


「キール様は・・・怒りはしないのですね。てっきりシェリー様に手を出されているのを見たら、斬りかかられるかと・・・」

「シルフィ嬢は、いったい私をなんだと思っているのかな?」

「・・・シスコン・・・では?」

「・・・そんな認識か・・・。だが、それは・・・違う。私は妹が好きな相手がまともなら祝福してやれる。シスコンは兄上とシエルの方が重症だ。恐らく、この後婚約になるまでが大変だろう」
 

「ユーシス様と、シエル様がですか・・・?」

「さらにいえば・・・父上もだろうな」

「シリウス様ですか・・・」

「幼い頃に皇太子殿下が、シェリーの髪をペンキで塗ってな・・・。髪を切らなくてはならなくなった。父上達はかなり怒って大変だったんだ。それから父上は皇太子殿下を目の敵にしている。恐らく、婚約は荒れるだろう」

「・・・殿下はなぜそのような事をしたのでしょう」

「あいつは、昔からシェリーの気を引きたくて揶揄ったりしていたから、その時も似たような理由だろう」

 キール様が立ち上がろうとされた時、シェリー様が小さな悲鳴をあげた。視線をむけた先には皇太子殿下によって、ベンチに押し倒されているシェリー様がいた。

「やっぱり・・・我慢できない」
 殿下はシェリーの首元に顔を埋めて、スカートの部分に手をかけようとしていた。


 それ以上は、さすがにだめだと思っていたら、隣に居たはずのキール様の姿がなくなっており、殿下の背後に回られていた。
「そこまでだ。調子に乗りすぎるな」

「・・・キールか。わかったから、突きつけている刃物をしまえ」
 
 キール様はいつの間にか出したナイフを懐へしまわれた。
「お前らの家系は物騒すぎるな・・・」

 殿下はシェリー様を抱き起こして、立ち上がらせた。


「どこから見ていたかは知らんが、いい趣味とはいえんな」

「見たのは口づけあたりだ・・・人目がないとはいえ、お前こそ行動は慎んだ方がいい。お前のためじゃない、妹のために言っている。変な噂がたったら困るからな。そんな噂がたったものを皇太子妃にはできないぞ」


「・・・・・・そうだな、軽率だった。認める。次から気をつける。人目のないところでに」
 殿下はいいかけるが、キール様はちゃんとした手順をふんでからいちゃつけと言われる。


「・・・お前みたいにか?そうなったら先は長そうだぞ。お前も、俺もな。特にお前より俺はかなり難易度が高い。手順ふむんだから、絶対に協力してもらうからな」
 殿下はいいきると、シェリー様の腰に手をかけ連れ立って行かれた。


「今からが大変だな・・・私達も戻ろう」
 キール様はため息を付くと、シルフィを立たせてくれ、会場へエスコートしてくれるのだった。

 
 
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