好きな人は姉への求婚者！？〜魔導騎士編〜【完結】

19.ダブルデート

　　

　シエル様が計画してくれたダブルデート当日、キール様とシエル様、ミルドレッド嬢の4人で街のお祭りに出かけた。


　シェリー様に言われた通り、貴族らしくはない、質素だけど品の良い服装にして来た。髪はマライヤお姉様がポニーテールで編み込み、毛先を巻いてくれた。あまり凝った髪型は目立つとおもったのだが、一応デートなので、少しは可愛らしくしてもらった。


　キール様は、髪型も服も似合うと言ってくれたが、隣でシエル様が、ミルドレッド嬢を可愛いとずっと言い続けているのを見たためかお世辞にしか思えなかった。


　確かに、騎士服を着ていたミルドレッド嬢は、今日はスカートをはいているし、髪だってポニーテールではなく、おろして編んであり可愛らしい。シルフィには、赤い髪が惹きつけるように輝いて見えた。
　話してみて、シェリー様の言うように、裏表のない人だなと思った。そして何より元気だ。シエル様にいじられながら反抗している姿が猫に見えてしまうような人だった。


　出かけた街は、お祭りで賑わって、多くの人がいた。

「毎年人多いよね。賑やかだし嫌いじゃないけど･･･ちょっと多すぎだよね･･･」
　シエル様が人の多さに文句を言われている。


「祭りなんだから、人が多いのは当たり前だろ。何をわかりきったことを言ってるんだ。前来た時も言ってたぞ」
　キール様達は以前も来た事があるようだが、シルフィは珍しくてつい、周りをキョロキョロ見てしまう。

「そーだっけ？結構祭りは来てるし、言ってるかもしれないけどさ･･･」


「確かに、前も言ってたわ。でもここはメインの通りだから仕方ないと思うの、あっち側ならもう少し人が少ないから、あっちをまわりましょ」
　ミルドレッド嬢は少ない通りをまわる事を提案された。


　祭りを見てまわりながら、3人はシルフィの知らない昔の話もしている。前はああだった、こうだった･･･。シルフィにはわからない事もしばしば･･･。幼なじみ達の会話には到底入れず･･･少し俯きながら足元を見て歩いていた。

　気付けば会話が聞こえなくなったなと思い、顔をあげる。しかしそこに彼らの姿はなかった。シルフィが下を見て歩いていたためか、彼らの歩幅が広いためか･･･とにかく、はぐれてしまったようだった。

　こういう時はどうするか･･･、何もはぐれた時の対応の話をしていなかったから、どうしたらいいのか迷った。だがこういう時は、慌てず、あまり動き回らず、待った方が良いと本で読んだ記憶があった。
　そして、待つなら目印の様な、何かのそばの方が、目にとまりやすいという事･･･。
　近くに噴水があるため、縁に座って待ってみることにするのだった。