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15.帰宅
しおりを挟む2人が盛り上がる中、リーディア様に離れた場所に手招きされた。
「ああなったら、中々話は終わらないの。私の娘なのにレティシアの娘みたいでしょ。落ち着くまで私と少し話でもしましょうか」
「はい」
リーディア様はバルコニーの席に案内してくれ、2人より先にお茶を頂きながら話をした。
話をしていると、急に地面が光って見目麗しいローブ姿の男性が現れた。リーディア様を見つけると、ただいまと抱擁され口付けられる。リーディア様は驚いた様子もなく、受け入れられ、おかえりなさいませ、シリウス様と微笑まれた。
目の前での出来事に唖然として固まってしまう。帰ってきたシリウス様に気づいて、シェリー様とレティシア様がバルコニーにやって来て、またやってると呟いた。
「おかえりなさいお父様、怪我はありませんか?」
シェリー様が今だ抱擁してある2人に声をかける。
「ただいまシェリー、この私が怪我をするわけがないだろう。父がいなくて寂しくなかったか」
シリウス様はシェリー様にも抱擁しようとしたのか、手を広げて近づいて来られる。
「ならよかったです」
しかし、シェリー様は華麗にかわされた。
「それで?お兄様は一緒ではないのですか?」
シェリー様がシルフィも気になっていた事を聞いてくれる。
「キールは・・・少し手当てをうけて帰ってくる」
シリウス様は少し言いにくそうに言った。
「えッ」
シルフィは、キールが手当てを受けた事を聞いて、つい声を出してしまう。
シリウス様が声をあげたシルフィに視線を向け、誰だと問いかけられた。
「ご挨拶がおくれてすみません。マクスウェル侯爵家四女、シルフィール=マクスウェルと申します」
「ああ、宰相のご令嬢か・・・。四女ということは、指輪を頼まれた娘だな」
シリウス様は、指に視線をやる。
「今日は外しておりますが、普段は付けさせてもらっています」
シルフィはシリウス様に見られて、緊張してしまった。
「それより、キールは怪我をしたのですか」
リーディア様がシリウス様へ不安気に声をかけた。シリウス様は対した怪我ではないと言われている。
仲間を庇っての怪我だと言われていてるが、シリウス様は厳しくも、怪我を負わず仲間を助けられなかったのは奴の技量の無さだと言われていた。
だからと言って、実の息子に対して冷淡すぎやしないかと感じる。
シェリー様が横に来て、シリウス様は妻に息子より自分の方を気にかけてほしいから、いつもあんな感じなのだという。
「お兄様は相変わらずね・・・。さっさと夫婦水入らずで過ごしたいから、一人で戻ってきたんでしょうね」
レティシア様がシリウス様の考えている事を考察する。
そんな話をしていると、シリウス様はリーディア様と帰ってきた時と同じようにどこかに転移された。
「それで、いつもあんな感じにお母様を連れて、どこかに消えちゃうのよね・・・」
シェリー様は呆れたように説明してくださった。
バルコニーでは、リーディア様が居なくなったが、レティシア様とシェリー様でキール様が戻るまで話をしながら待った。
昼前になり、馬車が門前で止まり、キール様が降りてきた。いつもは馬に乗っているが、怪我で乗れる状態じゃないのだと察する。
キール様の横には、肩を貸すように女性騎士が居た。シルフィは、それを見て庇ったという仲間とは彼女の事だと思った。
キール様が仲間思いなのはわかるが、シルフィは助けたのが女性だと知ると複雑な心境になった。しかし、それはすぐに解消される。ドアが開いてシエル様がキール様に近づいていき、なぜか、キール様を突き飛ばした。
なぜ兄であり、怪我人にそんな事をするのかと怒りが湧く。シエル様の前に女性騎士が庇うように前に出て何やら口論になっていた。
その様子を見て居たシェリー様が何やら呟いた。
「シエル兄様はお父様そっくりで嫌になっちゃうわ・・・。さあ、シルフィ嬢、キールお兄様をお出迎えに行きましょう」
そして、シェリー様に促されて、キール様の元に向かったのだった。
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