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72.彼の愛

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 お互いが思い合っての行為は、目一杯レナードの愛を感じることができた。彼の愛は重いようで、屋敷へディミドラを閉じ込め、周りから情報が遮断されるほどだった。


 それがわかったのは数日前で、絶賛彼を説教中だ。


「レナード・・・。この手紙の山はすべて私宛みたいじゃない?どうしてあなたが私宛の手紙を持っているの?」
 彼の書斎に来た時に、たまたまはみ出していたのを見つけたのが始まりだった。


「デラは俺だけ見ていればいい・・・。外は危険だから、呼び出しのような手紙は必要はないと思って」
 彼はディミドラと視線を合わせようとはしなかった。自分のしたことは理解しているようだ。


「呼び出しね・・・・・・中まで見たようね。でもそれはルール違反よ。私のプライベートな手紙までは見てないようだけど・・・。リンジーからの手紙も渡さないだなんて・・・。私を閉じ込めておきたいと思うあなたの独占欲は、わからなくもないけど。でも勝手にこんなことをしてはダメだってことくらいわかってるでしょ」
 彼はディミドラに叱られながらも、あまり反省はしていないようで構ってもらえて嬉しいようなかんじだ。口元がにやけるのを我慢しているようで、ピクピクなっている。


「私も貴方を愛しているから、貴方のお願いはなるべく叶えてあげたいけど・・・こういう制限されたり、遮断されるような行為は1番嫌いだわ」


「・・・俺はデラさえいればいいんだ。だから、デラも俺さえいればいいだろう。俺以外は見てほしくないんだ」
 彼は自分がこうだからと、ディミドラにも同じ考えを押し付けてくる。

「貴方はどんな私でもいいのね・・・。貴方しか見なくなった私は、本当の私かしら?喋らなくなって、ただのお人形さんな私でいいと言うならご自由にしたら?」


「そんなこと一言も言ってない」 
 彼はやっとディミドラと目を合わせてきた。



「貴方の独りよがりな行いは、まっぴら御免よ。私を愛してくれてるなら・・・しばらく一人で頭を冷やして頂戴」
 そしてディミドラは数日はレナードを無視して過ごした。


 だが、彼は2日で根を上げて謝罪し、外出に関しては護衛をつけるという条件付きで許可をだしてきたのだった。その際の彼のやつれ具合は心配なくらいだったので、理解してくれて嬉しいと、きちんと彼を褒めて甘やかしてあげた。


 そのおかげか、また褒めて欲しいのか、彼はディミドラの願いを叶えてくれる。


 リンジーからの手紙に返事を出し、今日魔導師団の団長室に連れてきてもらった。もちろん今日は彼の仕事のついでで一緒にだ。昼は一緒に摂ると譲ってはくれなかったので諦めた。


 師団長室のドアをノックすると、リンジェーラが出迎えてくれた。


「リンジー!手紙ありがとう。リンジーのおかげで、レナードに連れてきてもらえたわ」
 ディミドラはリンジーとの再会を喜んだ。ディミドラの後ろでは彼がリンジェーラに対して、嫉妬の混ざった視線をむけている気がした。


「誰かさんが子どもじみたことするから、連絡もとれなくて・・・ごめんね」
 リンジェーラを睨んでいるであろう後ろにいる彼を軽くだが睨むように視線を送った。


「構わないわ。予想はついてたから」
 リンジェーラは、レナードに対して、抗戦的な視線を向けてみせた。ディミドラに好かれているのは、どっちかしらという意図が混じっているように思ってしまった。


「おい」



「何か?もう仕事に行って頂いて構いませんよ」
 リンジェーラはレナードに対して、早くいなくなれと言葉は直接的ではないが伝えた。


「・・・デラ・・・いってくる。昼にな」
 リンジェーラに対して何かいいたげだったが、ディミドラの前だからか我慢したようだった。


「わかってます。ちゃんと仕事をしてこないと、お昼は一緒にしませんからね」
 彼はわかっているといい、ディミドラに軽く口付け、師団長にも声をかけて渋々ではあるが出て行った。



「師団長様、お邪魔させていただきます」
 ディミドラは師団長に挨拶をする。

 師団長は、用意してあった椅子へ案内し、椅子をひいてくれた。ディミドラが席につき、リンジェーラは、ディミドラに、今までの出来事と、ゾディアス様との結婚式をするから来てほしいとお願いされた。

「ええ、ぜひ参加させてもらうわ」


 リンジェーラは嬉しそうにしていて、ディミドラもレナードと結婚について話さなければいけないなと思うのだった。
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