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71.彼との約束

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 レナードに屋敷へ連れかえられ、ディミドラは彼の寝室へと抱きかかえられたまま運ばれた。
 帰りの馬車の中で彼は一言も発さず、感情がよみとれないほど無表情だった。


「ずっと話さず、怖い顔をして・・・どうしたんですか?」
 ディミドラは優しくベッドへ下ろされたが、彼の表情が気になり頬に手を伸ばした。
 彼の表情は固かったが、ディミドラを見る目には熱が篭っていてディミドラが伸ばした手に擦り寄った。


「・・・気を抜くと、あの場で我慢がきかなくなりそうだったんだ。デラが可愛すぎるのがいけない。我慢する身にもなってくれ」
 彼の発言に、あの表情は我慢のための無表情だったのだと理解した。


「ずっと無表情は、ちょっと怖すぎました・・・。貴方は、私にデレデレしているくらいが、ちょうど良いみたいですね」
 ディミドラはレナードに押し倒されている体勢から、彼の首に手を回して、ぎゅっと抱きつき、彼の唇へ自分から軽く、リップ音を響かせて口付けた。


 案の定、彼はすぐに表情がデレる。ディミドラは先程の約束をしっかりと果たした。


「ふふッ、その顔の方が貴方らしいわ」
 彼の一変した表情に、ディミドラは思わず笑ってしまった。


「デラはいつも可愛いが、笑うとさらに可愛いいな・・・」
 レナードは惚けて、蕩けるような視線で見てくる。彼はディミドラに、いつも直球な言葉で思いを伝えてくるため、たまらない気持ちになった。
 


「貴方にそう言われるの・・・嫌いじゃないです」
 ディミドラは、自分を甘やかしてくれるレナードも甘やかしてあげたくなった。だから、正直に自分の気持ちを彼に伝えていくことにした。


「もう、我慢しなくていいか。可愛いすぎて、そろそろ限界なんだが・・・・・・あの時の続きがしたい」
 彼は、ディミドラに問いかけてくる。もう彼の我慢は限界なようだ。あの時とはガゼボで口付けを交わし、帰ろうとした時のことだろう。あのあとに続く言葉はきっと・・・ディミドラも今思っている言葉だ。


「あの時、早く帰っての・・・続きですか?」


「ああ・・・」


「私も・・・貴方を独占したいと思うぐらい好きですから・・・早く貴方とです」
 彼があの時言うつもりだった言葉を、恥ずかしさはあるが口にする。ディミドラも、今この状況で望んでいる事だったから。


 レナードは、ディミドラの方からの誘いに、感極まったように破顔した。


「デラ・・・愛している。俺の愛しい番。デラが俺と同じ気持ちでいてくれて、たまらなく嬉しい」
 彼は、優しくディミドラの唇に触れ、彼なりの愛情表現で、心と身体の繋がりを深め合ったのだった。







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