獣人の番!?勝手に結んだ婚約なんて破棄してやる!〜騎士団長の求愛と番の攻防〜【完結】

ドール

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63.彼女のドレスアップ

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 パーティーまでの数日間、専属の侍女に念入りに全身を磨かれたり、ディミドラのために用意された別のドレスや、新しく作られたという庭を見せられた。
 彼からは以前宝石店で見せられたブラックダイヤモンドのアクセサリーを贈られたりと、退屈しない日をおくった。


 その間屋敷から出る許可はでず、リンジェーラに会いに行く事は許されなかったので、手紙で戻ってきた事を連絡しておいた。まだ彼は、リンジェーラに対抗心でも燃やしているのだろう。


 パーティーには、彼から送られたあのドレスを着て着飾り、会場に到着する。彼にエスコートされて馬車から降りると、リンジェーラと待ち合わせをしているであろう副長が既に居たので、声をかけた。


「お久しぶりです。リンジーを待っていらっしゃるのですか」


 副長はこちらを見て短く返事を返された。どうやらリンジェーラが来るのを待ち侘び少し緊張している様子だった。


「ご婚約できてよかったですね。お祝い申し上げます。リンジーと一緒に会場入りをする約束をしていますので、リンジーが来るまでご一緒させてください」
 もちろんディミドラの側にはピッタリと彼がくっついていて、彼女の名を呼ぶたびに眉をピクリと動かしていた。


 今回リンジェーラは副長と通じ合ったので、婚約を受け入れ、これが婚約して互いに、はじめて公のパーティーになる。

 婚約をしたが、リンジェーラはまだ番なのだと、話せずにいるようで、今日この期に話をしてみると手紙に決意が書いてあった・・・。


 そして、人気が高い彼らとの婚約は、どうせ注目をあびるだろうから、入場は一緒にと約束をしていたのだ。


 彼を交えて、たわいない会話をしていると、伯爵家系の馬車が到着し、リンジェーラが姿を現した。 


 リンジェーラのドレスは、ゾディアス様の瞳の色で、黄金色の生地にスモークグレーのフリルが、オーバースカートのように重ねられているプリンセスラインのドレスだった。
 
 ゾディアス様を思わせる仕上がりのドレスは、リンジェーラにとてもよく似合っている。
 
 ただ露出具合は、リンジェーラの希望にはそっていないようだ。

 あまり露出を好まないはずの彼女のドレスは、今回ホルターネックで胸元がシースルー、それに刺繍が施されているものであったからだ・・・。

 刺繍がされているため、シースルーだけよりは露出は控えられているのだろうが、彼女が自分で選んだのではないとわかる。


 リンジェーラの姿がみえると、副長はすぐに彼女の側に行き手をさしだしていた。
 リンジェーラは副長の手をとりながら、彼に見惚れ、副長に何やら囁かれていて照れている様子が微笑ましかった。


「リンジー」
 ディミドラはリンジェーラに、声をかけ我に帰ったような顔をした。リンジェーラはディミドラに気づかず、副長しか視界に入っていなかったようだ。


「ふふッ、気づいてなかったって顔ね」
 ディミドラはリンジェーラに近づき小声で話しかけ、婚約おめでとうと言った。


「近すぎだ」
 だが、すぐに彼がディミドラをリンジェーラから引き剥がしにきてしまう。


「もう・・・ちょっとくらい待てないのですか?会話していただけでしょう」
 ディミドラは彼に呆れてしまう。待てができないなんて犬以下だ。


「・・・ああ、駄目みたいだ。俺は心が狭いからな」
 彼は開き直って、ディミドラの腰を引き寄せる。その力強さにどれだけ独占欲が強いのだろうとため息が出てしまうのだった。







 
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