獣人の番!?勝手に結んだ婚約なんて破棄してやる!〜騎士団長の求愛と番の攻防〜【完結】

ドール

文字の大きさ
上 下
53 / 75

52.彼への仕返し   *R18

しおりを挟む



 彼はディミドラをバスルームに連れていくと、さっと下着をとり身体を洗い始めた。
 
「自分で洗えますからッ。貴方の服が濡れてしまいますし、出て行って下さい」
 ディミドラが抵抗して拒否すると、何故か彼は無言でバスルームを出ていった。

 先程と同様、もっと渋るかと思ったが、意外にもあっさりと解放され拍子抜けしてしまう。

 ため息をつきながら、ディミドラは自分の身体を洗い始めたのだが、すぐに聞きわけがよかった理由がわかった。


 彼が服を脱いでバスルームに入って来たからだ・・・。


「ッ、なんで戻ってくるんですか」
 ディミドラは彼に背を向け身体を隠す。


「服が濡れる心配をしていたのだろう?脱いできたから問題ないはずだ」
 彼は先程ディミドラが言った、服が濡れるというところに対してだけ納得したから、服を脱ぐためにバスルームを出て行っただけだった。


「自分で洗えますから大丈夫ですッ」


「俺が洗いたいんだ。洗いながら、打ち身はないかまで確かめる」


「だからッ、どこも痛くないです」
 既に洗い始めていたが、彼は自身の手で石鹸を泡立てディミドラの身体に触れてくる。

 
 首筋から匂いがしていたからか、そこを入念に洗われる。腕や背中にも順に彼の手が触れてきて、変な気分になった。
 触り方は優しいが、やはり男の人に触られる感覚に、連想されるのは閨のことで羞恥を感じる。

 彼自身の手で、ディミドラの身体を洗いながら、痛い所が本当にないか、たびたび確認してきた。


 彼はただ本当に自分で、隅々まで確かめたいだけなのかと思いはじめていたら、背中にあった手が前に回され、胸に触れてきた。
 ディミドラの胸を優しく撫でるように、してきたのだが、手つきが段々と、いつも彼がディミドラを愛撫する時のような触り方に変わってきた。

 
「洗う気あるんですかッ、触り方がいやらしいです」
 仕方なくされるがままだったが、ディミドラは耐えれずに口を挟んだ。


「洗い方が悪いか?強い方が好きか?」
 彼はわざとだろう、添わせていた手で、胸を強めに持ち上げるように揉んできた。


「ッ」
 石鹸で滑る感覚が、今までと違うため、つい声がでてしまいそうになる。


「どうした?」
 彼は意地の悪い笑みを浮かべて、肩口からディミドラを覗き込んできた。


「わかってやっているでしょうッ。んんッ」
 ディミドラが口を開くと、同時に彼は下にも手を伸ばし、ディミドラの秘部を刺激してくる。


「ここは随分とヌルヌルだな。だが、上手く泡立たない・・・。それになんで発情した匂いがしてきたんだろうな。俺は洗っているだけなのにな」
 彼はディミドラの耳元で、ディミドラの羞恥心を煽るように囁いてくる。


「ッ」
 彼はいつもディミドラに愛をささやきはするが、こんな意地が悪い言い方をされた事はなかったので、なんだか悔しくなった。

 番の匂いがあったから今まで彼は意地が悪い事はせず、愛しむように優しく、切望するように愛を求めてきたのかと・・・。

 番の匂いが薄まった今、本来の彼はこのように意地悪で、今までの相手にも、同じようにしてきたのだと思うと堪らなく嫌な気持ちになった。


「番の匂いも戻ってきたようだし・・・ッ」
 彼が何かいいかけたが、ディミドラは彼の猛る一物を握って黙らせる。


「貴方だって、ただ私の身体を洗っているだけなのに、こんなにして・・・。匂いがなきゃ、私だなんてわからなかったクセに」
 ディミドラは仕返しのつもりで彼をせめる。


「ッ」
 彼の歪められた表情を見て、ディミドラは彼が我慢しているのを悟り、手を滑らせて彼のを焦れるようにゆっくりと撫で上げるのだった。
 




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

獣人公爵のエスコート

ざっく
恋愛
デビューの日、城に着いたが、会場に入れてもらえず、別室に通されたフィディア。エスコート役が来ると言うが、心当たりがない。 将軍閣下は、番を見つけて興奮していた。すぐに他の男からの視線が無い場所へ、移動してもらうべく、副官に命令した。 軽いすれ違いです。 書籍化していただくことになりました!それに伴い、11月10日に削除いたします。

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

夫の隠し子を見付けたので、溺愛してみた。

辺野夏子
恋愛
セファイア王国王女アリエノールは八歳の時、王命を受けエメレット伯爵家に嫁いだ。それから十年、ずっと仮面夫婦のままだ。アリエノールは先天性の病のため、残りの寿命はあとわずか。日々を穏やかに過ごしているけれど、このままでは生きた証がないまま短い命を散らしてしまう。そんなある日、アリエノールの元に一人の子供が現れた。夫であるカシウスに生き写しな見た目の子供は「この家の子供になりにきた」と宣言する。これは夫の隠し子に間違いないと、アリエノールは継母としてその子を育てることにするのだが……堅物で不器用な夫と、余命わずかで卑屈になっていた妻がお互いの真実に気が付くまでの話。

勘違い妻は騎士隊長に愛される。

更紗
恋愛
政略結婚後、退屈な毎日を送っていたレオノーラの前に現れた、旦那様の元カノ。 ああ なるほど、身分違いの恋で引き裂かれたから別れてくれと。よっしゃそんなら離婚して人生軌道修正いたしましょう!とばかりに勢い込んで旦那様に離縁を勧めてみたところ―― あれ?何か怒ってる? 私が一体何をした…っ!?なお話。 有り難い事に書籍化の運びとなりました。これもひとえに読んで下さった方々のお蔭です。本当に有難うございます。 ※本編完結後、脇役キャラの外伝を連載しています。本編自体は終わっているので、その都度完結表示になっております。ご了承下さい。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?

水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。 日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。 そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。 一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。 ◇小説家になろうにも掲載中です! ◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

処理中です...