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49.私と彼の戦闘時間

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 彼の敵意が完全にディミドラに向いたのを確認し、父に視線をやる。

「では、我が娘を賭けた真剣勝負を始めましょうか・・・殺さないように、審判は私がつとめる」
 父はどちらにも視線を向けて言った。


「では・・・はじめ」


 彼は一気に勝負をつけようと、剣を素早く抜いて振り下ろして来た。だがそれは、こちらの出方をみるためだというのはわかっている。

 ただ風を切る音が、威力は本物である事を告げた。

「ほう、避けるか」
 ディミドラは足に重点をおいた身体強化をして、攻撃をかわした。


「判断はいいようだな。ならこれはどうだ」
 彼は連続で斬撃を繰り出してくる。彼の攻撃を受け止めるのは体力を消費するだろうから、避けるには後にさがるしかない。


「いつまで避け続けているんだ。避け続けるだけでは勝てはしないぞ」
 彼は余裕で、指導しているような感じだ。番をかけて戦っているようにはみえない。


 彼の言う通りだとは思うが、さすが獣人・・・。能力が高く、観察力もあり隙を見せない。


 ディミドラは彼の攻撃をさけるだけで、だいぶ時間が経過した。

「いつまでもお遊びに付き合う気はないぞ。この程度で彼女はなんでお前に戦いを託したのか疑問だ」 
 彼は戦いでもだいぶおしゃべりなようだ。だが、ディミドラはただ避け続けているだけではない・・・。


「お前に勝てば、堂々と彼女の愛称を呼べ、連れ去る事ができる」
 愛称は許したが、連れ去る事は了承してはいない。


 彼は決着をつけようと、さらにディミドラを追い込むように、剣の威力が増した一撃を放って来た。


 ディミドラは、彼の戦闘スタイルや癖、動きをみるため、今まで攻撃を避けるだけだったが、攻撃を仕掛けてくる彼の軸足が踏み込むタイミングを見て懐をすり抜け、剣を突きつけた。

 だが、彼は攻撃を直ぐに反転させて、ディミドラの攻撃を剣で防いできた。


「・・・ッ、随分と重く、いい攻撃だな。少しみくびっていた。観察力、判断力、瞬発力、魔力操作もいいようだ」
 彼はディミドラの一撃を防ぎ、縮めた距離を剣を薙ぎ払って、また距離をとった。

 
 長期戦になると不利だというのはわかっている。既に半刻が経とうとしていた。魔力操作で消費を最小限にしているが、相手は獣人で体力はディミドラよりもある。


 彼を観察していたのもバレてしまったし、彼には攻撃の際に変な癖もなく、本当にセンスで戦っていた。
 実践経験も豊富なため、戦い方の戦法も様々で、切り替えも早くディミドラはなかなか手が出せないのだった。

 
 

 












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