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44.私達の話し合い
しおりを挟む作戦は立て終え、彼が来たら直ぐに作戦を実行できるように団員にも根回しをしておいた。もちろん番だとは言わずに、彼はディミドラへの求婚者だといつもの感じで説明した。
だが戦おうとはしないので、作戦を練ったのだと。
彼らにも適当に話を合わせるように、彼を煽るような言葉かけをお願いした。まあ、一応爵位があるので、失礼にならない程度のだが・・・。
リンジェーラが王都で彼を足止めしてくれているからだろうか、すぐに来ると予想した彼はまだ現れなかった。
だから少し鈍った身体を鍛えながら彼が現れるのを待ち、身体強化をさらに極めるため魔力操作もおこなった。
そして、7日目になる昼間に彼は現れる。
いつもと違う様子で若干目が血走り、幾分か身嗜みが崩れているようだった。
「何故、勝手に帰ったんだ・・・」
彼の声は低く、声色に少しの怒りを感じる。
「何故だと思いますか?」
彼が相変わらずのため、ディミドラは気にする事なく逆に問いかける。
「・・・何故だ」
「貴方との婚約が納得出来なかったからです」
「・・・」
眉間に皺を寄せ、渋い顔をする。
「父に聞きました。婚約を了承したのは、私が幼い頃に貴方みたいな強い人と結婚したいと言った言葉を、貴方と結婚したいと勘違いして記憶していたからだと。だから、純潔をもらったと貴方が言ったのも、互いに相違の上だと勘違いしたようです」
「たとえ勘違いでも、婚約している事実は覆せない」
彼の言う通りではある。
「私は婚約にしろ、結婚にしろ、条件がありました。だから本当はそれが満たせないなら、したくはありません。こちらが有責をおうなら解消も、破棄もできはするでしょうが」
「たとえそうだとしても、婚約を解消に同意はしない」
彼なら、そう言うと思った。
「私は強い人が好きなんです・・・」
彼の目をまっすぐ見てつげる。
「俺は強い」
「・・・貴方は強いでしょうけれど、私に強さを示したことがないので証明した事にはなりません。貴方が私と戦えないなら、私が認める人と勝負をしてください。その人が私には1番だと思っている人なので、その人に貴方が勝てば、もう逃げはしません」
「その相手はどこだ」
「今はいません。明日の勝負の場を用意します。それで構いませんか?」
急いで来た彼からは、いつもの余裕が感じられなかった。疲れている人と戦って勝っても私自身が納得しない。
「・・・わかった。なら少しだけ君の時間をくれ」
彼はディミドラに何かを望んでいるようで、ディミドラとの時間をほしいという。
「わかりました。少しなら構いませんよ」
こちらの要望を通すのだから、少しなら彼の願いを聞いてもいいかとおもった。
何より彼は普段と違い、表情が険しくて荒んでいる感じだったから。
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