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25.私達の支度
しおりを挟む翌朝起きると、夜更かししたため、少し遅めの時間だった。
リンジェーラは既に起きているようで、下の階からいい匂いがした。食事を作ってくれているようだ。
普通の伯爵令嬢であれば料理など出来ないだろうが、リンジェーラは市井育ちのためか、自分で料理をするらしい。
因みにディミドラも、辺境伯の名ばかりの伯爵令嬢のため、簡単な料理なら可能だ。狩りをするため捌いたりは当たり前にしていた。
「いい匂いね。ごめんなさい、朝寝坊してしまったみたい」
「気にしないで、それより軽く食べて街に出かけましょ」
「ええ、楽しみだわ」
リンジェーラの作ってくれた朝食を食べ終えて、たまにはお洒落をしようという話になり、お互いに髪を結いあい、化粧を施した。
リンジェーラは、ディミドラの髪のサイドを編み込んで、いつもまとめている髪を解いた。
ディミドラの髪はもともとウェーブがかかっているため、まとめただけで、とても自然で気に入った。
「女の子みたいで恥ずかしいわね」
年相応の女の子みたいで、つい笑ってしまった。
ディミドラは、リンジェーラのストレートな長髪を高めに結い上げて、ゆるふわなポニーテールにした。ついでに毛先をまいて、片方だけサイドの髪を流すようにした。
リンジェーラは自身の変身ぶりが、新鮮なようで恥ずかしそうだった。
「いい感じねッ」
髪型に合わせて、貴族とはわからない程度だが2人の好きなタイプの服にした。
自分は、ウエストが絞ってある、ワンピースタイプの服でブーツを履き全体的に可愛らしく仕上げる。
リンジェーラはシンプルなブラウスに、ハイウエストのコルセットが付いたスカートで、くびれを強調させたものを選んでいた?裾がアシンメトリーで膝下が見えるため、ディミドラと同じくブーツだ。
そして、首にはいつものチョーカーをして、香りを仕込んでいた。
「なるほど、そこに秘密があったのね」
ディミドラは感心した。
「あとは太ももにガーターベルトがあるんだけど、そこにも仕込んでるわ。髪の香油もよ。デラも昨日使ったし、ちょっとは匂いがするから団長にあったら眉をひそめられそうね」
リンジェーラは笑った。
「あら、それは好都合だわ。リンジーみたいに私も彼が嫌いな匂いをまとってみようかしら、番の匂いも誤魔化せるから、みつけられないかもね」
ディミドラは、髪を触りながら、いい案だなと思った。
もともと、彼に番だと認識されないようにして戦いたかったからリンジェーラお願いをしようと思っていたのだ。昨日は話すのを忘れていたため、帰ったら話してみようと思うのだった。
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