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18.私の最低条件

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 彼はディミドラとの行き違いを理解したのか、急に真面目な顔をした。
「では、俺の事は・・・」


「無理やり襲ってきて、勝手に愛をささやいて、迫ってくる男って認識ですね・・・初めから私は態度に出していましたけど。貴方はそれでもめげないので、自意識が高い強引で傲慢な人だとも思っていました」
 彼は通じ合っていると思っていたようだが、実際は真逆だったわけで、ディミドラとの行き違いに、だいぶショックをうけて、青ざめ落胆していた。


「父も勝手な事をして、何も言わなかったのですから、貴方だけが悪いとは言えませんが・・・次からは相手の意思を確認した方がよろしいでしょうね」
 彼に助言をしてあげる。もちろん、自分のためにだ・・・。


「だが、君は俺の番だ。その事実は変わらない・・・」
 彼は悲痛な表情で、ディミドラを見てくる。


「そうですね・・・それは事実でしょうが、だからと言って私が無条件で貴方を愛するわけではありません」
 彼から視線を外し、しっかりと気持ちは伝える。



「・・・・・・ならば、どうしたらいい。どうしたら、俺を好いてもらえる。愛してもらえるんだ」

 獣人が番に出会えるのは、幸運といえるのだろう・・・。だが、番が人族の場合、同じようにお互いを求めあうとは限らない。彼は誰かを自分から求めた事はないのだろうか・・・。


「それは、自分が考えることです。私に聞く事ではありません。女性経験が豊富なあなたなら、問題はないでしょう。噂は・・・この辺境の地にも届くくらいですからね」
 彼は、言われて自分の今までの行動を私があまりよくは思っていないのだと理解したような顔をした。


「まあ、無理やり襲う人は嫌だということと、私と勝負して勝ち強さを示す事が絶対の、最低条件です」


「番を傷つけるような真似は出来ないんだ」
 彼の意志は変わらないようだ。だが、それでは此方も納得が出来ないし、彼を受け入れる事は尚のことできない。彼がいかに自分の好きなタイプでも、初恋だったかもしれない人でもだ・・・。


「まったく、今更ですね・・・。心も身体も既に傷つけられているというのに・・・」
 彼には現実を突きつけてやる。


「・・・いや、それは、だな・・・」
 彼は、自分の今までの行為を思い出し、吃る。


「私だって意思を変える気はありせんから・・・よく考えられてから次は来られて下さいね」
 次はと言ってしまったが、また彼はどうせくるだろうから気にしないことにして、彼をその場に残して帰るのだった。
 
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