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24.私達の女子会
しおりを挟むリンジェーラの家族に受け入れてもらい、リンジェーラの自慢の調合小屋へ泊まる事になった。ディミドラはリンジェーラに是非とまりたいとお願いしたのだ。
リンジェーラは、嬉しそうに受け入れてくれた。
「ベッドは一つしかないから、遠慮せず使って」
リンジェーラは、ディミドラに自分のベッドを譲ってくれた。
「私が床でもいいのよ?いきなりお願いしたんだし・・・」
ディミドラは、なんだか申し訳なく思う。
「お客様だからね。遠慮しないで。簡易ベッド用意してもらったから大丈夫よ」
「リンジーがいいならいいけど・・・ありがとう」
これ以上は遠慮するのはやめて、素直に行為をうけとることにした。
寝る準備をしてベッドに横になった。けれど、まだまだ寝る雰囲気ではなくランプの灯りはついている。
「せっかく来たし、夜だから、おしゃべりしましょ」
お泊まりの夜といえば、女子トークだろう。ディミドラは歳の近い友がいなかったので、した事がなかったから楽しみにしていた。
「もちろん。まだまだ話し足りなかったの」
リンジェーラも聞いてもらいたい話があるようで、乗り気だった。
会えなかった間の話をたくさんしてくれ、話の内容が副長とのはじめて触れ合ったあたりで、リンジェーラは恥ずかしくなったのか急に口籠もってしまった。
「リンジーったら、口付けしたの思い出しちゃったの?赤くなってるわよ」
リンジェーラが可愛らしくて、ディミドラはにやにやしてしまった。
「なってませんッ。これはランプでそう見えるの」
「そお?それで、彼は上手だった?」
ディミドラはリンジェーラに感想を聞いてみた。
「・・・まあ、初めてだったんだけど・・・多分・・・上手かな。あんな風にされるとは思わなくて戸惑ったけど」
リンジェーラはディミドラに恥ずかしそうにだが、素直に感想を述べてくる。
「あんなって?」
「・・・・・・見つめられて、いっぱい口付けされたり」
「されたり?」
「・・・離れようとしたら」
「したら?」
「・・・舌で、舐められたり、・・・舌すわれたりしました」
つい、リンジェーラの反応が可愛らしくて、具体的に聞いてしまった。リンジェーラは赤くなり、手で顔を覆っている。
「リンジーは、初めてが彼でいいって本能的に思ったんでしょ?正解だったわね。関係がどうであれ、好きな人とファーストキス出来たんだから」
ディミドラは羨ましいと感じた。
「デラは、その・・・団長が?初めて?」
リンジェーラは、迷いながらも聞いて来た。
「まあ・・・ね。いきなりすぎて、かなり戸惑ったし。彼が口付けしたのは、行為中よ・・・。始まりが口付けじゃないわ」
ディミドラははじめての日を思い出す。行為中に彼はまだしていなかったのを思い出したかのように、執拗に口づけてきた。
「・・・・・・そっか。団長強引だものね。相手を尊重とか、しなさそう。欲望に忠実な獣イメージ」
「そうね。そのイメージであってるわ。初めてなのに、散々されて気が狂うかと思った。ただの変態だって思ったわ。匂いばっか気にして・・・」
獣人だからか、匂いを堪能するように、至る所を嗅がれて舐められた。
「デラは恥ずかしがらないのね」
リンジェーラは、ディミドラが淡々と話すのが意外みたいだ。
「最初は羞恥くらいあったけど、回数こなせばなれるというか、適応する能力は高い方よ。羞恥より、悔しいとか、憤りのが強かったかも。だって、強い人が理想だったけど・・・組み敷かれたら男の方が強いのは当たり前だし。今まで、私に求婚して来た人には、戦って相手を見極めてきたから、手順飛ばされて、身体の関係が先ってのに納得してないの」
いくら強くて、タイプでも、愛をささやいてきたとしても、最初は大事だった。だから納得はしたくない。
「今更勝負は無理なの?」
「一応言ったわ。自分と戦わない人は認めないって」
「そしたら?」
「怪我を負わせたくないってッ・・・あいつ、勝負もしてないのに自分が強いって言って勝負しないのよ。苛立っちゃうわ」
ディミドラだって勝負さえしてくれたら、ケジメもつく。
「だから、何がなんでも、こっちの条件飲まないなら受け入れてあげない気なの」
これはディミドラの意地だ。
「んーでも、大事にされてるんじゃない?」
リンジェーラは、彼がディミドラに対する過保護ぶりを見ていて大事されているなと言っているのだろう。
「そうなんでしょうけど、無礼な男は性根を叩き直さないとね。最初が肝心よ。リンジーも、バレた後は頑張ってね」
ディミドラは、リンジェーラに獣人の執着はしつこいぞという意味をこめて応援するのだった。
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