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後日談

後日談:呼び名   *R18

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 シリウス様のお願いはなるべく聞いてあげたいと思う。シリウス様は、いつもリーディアを甘やかしてくれるから、自分も彼を甘やかしてあげたい・・・。だが、どうしても難しい事がある。

 それは、呼び名だ。


 結婚しても、子ができても、どうしてもシリウス様をシリウスとは呼べない。
 シリウス様を思っていた時期が長いせいもあるためか、シリウスと、呼び捨てにする事を許さない自分がいる。


 シリウス様には2人の時間の際に、様はつけずに呼んでほしいと言われたりもしたが、結局呼べずに何年も過ぎてしまった。


 シリウス様は名を呼んでほしいのだろうが、呼んでしまう事での変化が気になり出来なかった。


だが、身内での集まりの際に、レティシアにも言われたのだ。
 2人の時にまで、まだ様を付けているのかと・・・それをシリウス様がいるところで言うため、シリウス様から熱い期待の籠った眼差しを向けられた。
 

 普段ない眼差しは、ときめくくらいの威力だ。


 けれどやっぱり、言えなかった。


 あの頃と変わらず、いや、より愛されていると自覚はあるが、やはり、なかなか呼び名は変えられない。変えた事で、何が変わるわけではないかもしれないが、あの頃の事を忘れられそうで、変わってしまえば元に戻れない気がして声がでなかった。


 そして、珍しくシリウス様がお酒に酔われ様で、兄に肩を担がれ帰ってきた。
 
「ディア、こいつはだいぶ、辛抱強く待ったみたいだが、限界みたいだぞ。そろそろ名前を呼んでやれ、何が気になってるんだ」
 兄はシリウスを部屋まで運んでくれる。


「・・・・・・何故、今までの呼び方ではいけないのですか。私は変わりたくないんです」
 

「今までもいろんな変化があっただろう・・・それにこいつと夫婦になったのは変化があってこそだろう」
 兄の言い分もわかるのだが、やはり受け入れる気持ちにはなっていない。


「でも、変わりたくないものもあります」


「お前も頑固だな・・・」
 兄は腕を組み、仕方ないなと言った感じでため息をついた。

「お兄様に言われたくありません。シリウス様を送っていただきありがとうございます。今日はお帰りください」 
 兄と話しても、説き伏せようとするだけだとリーディアはシリウス様がいる寝室へ向かった。


 珍しく酔ったシリウス様を介抱する。シリウス様にお水を飲ませるのを介助して、服を脱がせてガウンに着替えをさせる。


 なんとか言われるままにシリウス様は着替えをされるが、酔っているのかふらふらだ。
「シリウス様・・・しっかりしてください」

 シリウスはリーディアの膝に倒れ込み腰に腕を回してきた。
「シリウス様ッ」


「ちゃんと呼ばれるまで、離さないからな・・・」
 ちょっと呂律が回らない感じで言われる。こんな感じになるのは初めてでリーディアは戸惑った。
 

「それとも、離れてほしくはないのか?」
 甘えるようにリーディアを見上げてくる。


「~~ッ」
  

「私はディアに、名だけで呼ばれたい」
 シリウス様は手を伸ばしてきて、リーディアを引き寄せた。膝枕をしている体勢で引き寄せられ、口付けされる。


「んッ」
 口内を蹂躙され、舌を絡めとられる。


「この、君の口から・・・」
 シリウス様はリーディアの唇を舐め、指でなぞってくる。いまつにも増して、シリウス様の行動に翻弄されてしまう。


「んんッ、やっ」


 シリウス様は、リーディアの夜着に手をかけてきた。
「おねだりもだめなら・・・お仕置きだな。今日はディアが言うまでやめない・・・」


「シリウス様ッ」
 シリウス様の力は酔っていても強いく、リーディアの抵抗は意味はない。リーディアの夜着はすぐに胸元を肌けさせられ、うなじに顔を埋めて舐めあげられた。


「やッ、首はッ、だめッん」
 シリウス様は執拗にリーディアの弱い所を刺激する。舐め上げられながら、曝け出された乳房を持ち上げられ、指で先端を捏ねくりまわされる。


「一緒ッ、嫌っ」


「嫌じゃないだろう・・・。いつも嫌がるから、しつこくはしないが今日はお仕置きだからな。ディアのここを、ずっといじっていじめてみようか・・・」
 シリウス様は宣言通り執拗にリーディアの先端を弄り続けた。


「もうッやっ・・・許してッ」


「今日は泣いてもやめない・・・ディア、頼む。よんでくれ」
 シリウス様はなんだか切実な表情をしている。こんな顔をさせたいわけじゃなかったのたが、こんなにも気にされているとは思わなかった。
 シリウス様に刺激され続けて、奥からトロリと愛液が溢れだす。 


「もうッシリウス様・・・ッ下さい」


「なら、相応のいい方があるだろう・・・私が望んでいるな」
 リーディアがなかなか言えずにいると、シリウス様は秘部に触れ指で中を掻き回してきた。

 だが、指1本での刺激では足りずに腰が揺らめく。

「足りないのだろう?・・・言えば、ディアがほしいものをやる」
 シリウス様は、リーディアに軽く刺激を与えながら片手で乳房を揉み見下ろしてくる。


 片手で乳房を揉みしだかれながら、片方もシリウス様の舌で食まれる。先端には直接の刺激がなく、避けられるように周りばかり舐められた。もどかしく、直接の刺激が欲しくて堪らなかった。


 生理的に涙が溢れ、シリウス様の表情が変わる。すぐに目尻にキスをして吸い取られ、頬へ手が添えられる。
「本当は、泣かせたいわけじゃない・・・意地悪すぎか?嫌だったか?」


 涙は嫌で、でたわけでなく、生理的なものだったのだが・・・結局泣いてもやめないと言われたが、やはりシリウス様はあまい。本当に泣けば、リーディアを気にして無理にすすようとはしないのだ。


「意地悪ですけど、嫌いにはなれません。だって・・・・・・シリウスを愛してますから」

 リーディアの涙を拭うシリウスの手に、頬擦りするように擦り寄る。シリウス様はリーディアに呼ばれて嬉しいのか、幸せそうなはにかむような笑みを浮かべた。


 リーディアの方が恥ずかしくなるくらいの笑みに、リーディアの頬の赤みも増してしまう。


「私も勿論愛しているよ」
そしてシリウスは、リーディアの蕩けきった中に自身を沈めた。


「ッん」


「・・・ありがとうディア」
 いつもより質量が増していて、既にシリウス様は限界なんだと感じる。リーディアはシリウスに奥を突かれて、高みに登らされていった。


「あッ、んっ、いきそう、ですッ、一緒にぃッ、シリウスッ」


「くッ、」
 リーディアはシリウスの名を呼び、シリウスはリーディアの最奥に精を注ぎこむのだった。




 だが、シリウスと呼ぶのはこの時だけで、日頃は今までのように様付けで呼ぶのは変わらなかった。
 名を呼んだ時に、シリウス様はたびたび、あの時の表情をされてしまうので、リーディアが耐えられなかったのと、周りにはシリウス様のあの表情は見せたくないと思ったからだ。
 時々は情事の時に呼ぶ事で話はついて、シリウス様は満足気だ。
 
 リーディアは結局、シリウス様には弱いなぁと、惚れた弱みだなと思うのだった。

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