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後日談

後日談:新たな作戦

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 シリウス様は、あれから随分と大人しくなってしまった。態度も控えめで、どこかよそよそしい。だがそれはリーディアを目の前にしていたらの話で、それ以外は割と自然体で、気にかけていればいつもと違うと気づく程度だった。

 リーディアはそんなシリウスに戸惑い、そんなに自分の嫌い発言で傷つけてしまったのかと不安になっていた。
 謝ろうにも、シリウス様はリーディアと2人にはなろうとされずに、避けられているのがわかった。

 さすがに、話しもさせてもらえない、目を逸らされるを続けていると、どうしていいか分からず気持ちが沈んでいく。
 傷つけるつもりはなくても、シリウス様の態度が変わってしまったので、自分は嫌われてしまったのではないかと思うようになる。
 
 その考えにたどり着いてしまってからは、それ以外に考えられなくなってしまった。

 リーディアは、こんな時は相談をしようと、レティシアの元を訪れた。

「あら、そんな事・・・?お兄様静かでいいんじゃないかしら?いつもうるさいでしょうに・・・」
 レティシアは、相談する内容が、自分の兄の事だからか興味が薄そうな反応だった。

「そんなこと思わないわ・・・。私はいつものシリウス様がいいの、それに嫌われたんじゃないかって不安になってしまって・・・」

「それはないから、安心しなさい。幾つになってもお兄様はディアにぞっこんなんだから・・・不安なら私がお兄様を呼び出すから、ここで話をするといいわ」
 レティシアはそう提案してくれた。リーディアは頷き、レティシアはイヤリングを触ってシリウス様を呼び出す。

 シリウス様はやはり直ぐに転移し現れたが、少し不機嫌そうな様子だった。
「シア、何かよう」

 シリウス様は、リーディアを視界にとらえると、いいかけていた言葉を最後までや言わずに、一瞬固まる。

 だが、すぐにシリウス様は忙しいから相手は出来ないと、また転移してしまった。

 リーディアは流石にショックで、涙ぐむ。

「何あれ・・・、あからさま。いつもと違う感じね・・・でも、嫌われてる感じではないわよ?嫌いならもっと態度が悪いわ」
 レティシアはフォローをいれてくれる。

「でも、あの態度・・・私の大切な親友に対してだと思うと、あの時みたいに不愉快だわ。お兄様には前にちゃんと指導したはずだけれど、再指導しないといけないようね」
 レティシアは口元が笑みを浮かべるが、目が笑ってはいなかった。

「シア・・・私、どうしたらいいのかしら。早く謝って、もっと嫌われる前に仲直りしたいのだけど、これからずっと逃げられるようなら・・・耐えられないわ」
 これからを考えると、いい案が浮かんでこない。

「なら、やめたらいいわ。謝るって考えをね。お兄様の1番は間違いなくディアなんだから。もっと強気にいきなさい。なんでそんなに弱気なのかわからないわ」

 強気にか・・・。愛されている自覚はあったけれど、結婚してから嫌いだなんてシリウス様には一言も言ったことがなかった、だからって、避けられ続けていると、段々と思うところがある。

 リーディアは決心したようで、シアの手をとった。
「わかったわ!シリウス様があんな態度なら、こっちも対抗するしかないわ!」

「そうそう!その意気よ。私は元気なディアが好きなんだから、お兄様をお尻にしいて、振りまわしなさいな」
 レティシアは楽しそうだ。

「でも・・・どうしたらいいのかしらね・・・何が効果的かしら」

「あら、そんなの決まってるでしょ?お兄様に効果的なのは、ディアに愛想をつかれる事とか、ディアに男の人が寄り付く事とか、ディアが剣を使って傷をつくるのが心配だとかじゃない?今まで全部経験してきてるじゃない」

「まあ・・・確かに、そうかもだけど・・・。今さら未婚でもない私に変に近づく男性はいないでしょうし、剣だって扱えるけど、怪我をするほど未熟じゃないし・・・」

「それなら・・・前にやったあの手は?模擬戦しに騎士団に行ったじゃない?あそこならほぼ男ばかりだし、息子のキールもいるから差し入れに一緒に行きましょうよ。それで、前から言ってたキールのお手並みを体感したら?普段屋敷ではできないでしょ?」

「確かに、理由もあるし、変ではないけど・・・あの方がいるから近寄らないようには言われてるのよね・・・」

「ん?あー、副団長の事ね・・・。でも流石に既婚者をくどきはしないでしょ」

「そうね・・・ちょっとしつこい方だったから・・・。私ったら自意識過剰ね、恥ずかしいわ」
 リーディアは4人産んだか、外見はあまり変わってはいない。自分では若い頃より老いたとはおもっているが、年齢を重ねた事で若かった時の魅力とは別に淑女、女性としての包容力、優美が増していた。

 そんなリーディアに誰も近づけないように、日々シリウスが牽制をしているとは知りもしないだろうが、変わらずにリーディアは男女から人気があるのを知らないのは本人だけだった。

「じぁ、明後日。騎士団の公開練習でもあるから、差し入れ持って現地集合よ!」
 レティシアは楽しそうに意気込んでいる。リーディアは目的とはずれるが、キールにも見学にいく事は内緒にして驚かせようと楽しみに思うのだった。
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