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後日談
後日談:パーティーで一騒動 前編
しおりを挟むリーディアは、双子を出産後、半年後には社交会に復帰した。というか、シルヴィア様の期待にそえずにまたしても男の子、それも双子だったので、シルヴィア様の欲求を満たすために磨き上げられたのだ。
シルヴィア様が満足するまで着せかえられ、出産後の体型を元に戻したのち、社交会に連れ出されてしまった。
体型が元に戻り、シルヴィア様はリーディアを仕上げて行く。シリウス様は、隣国に遠征中で帰ってくる日にパーティーがあるので、少し遅れるらしい。
シルヴィア様は、シリウス様がいないためリーディアをいつもの装いとは違う風にドレスアップさせた。
少女のような可憐さをコンセプトに、編み込んでポニーテールをふんわりとし雰囲気の髪型にされ、更に若返った様な感じにさせられた。
白のベアトップでハイウエスト。スカートは瑠璃色でカラーブロックでプリーツになっている。
スカートには銀色の蝶の刺繍が施され、後ろと前の丈に高低差があり、足首が見えていた。
子がいる女性のドレスには見えない・・・。リーディアはシリウス様に見られたら、何と言われてしまうか不安になった。
色をもっと明るい色にと言われたが、シリウス様の色だけは譲らなかった。赤も絶対に似合うといわれたが、断固そこは拒否をした。
レティシアも兄と参加すると言っていたが、兄もシリウス様と遠征に行っているため兄だけ遅れるらしい。
パーティー会場でレティシアと、シルヴィア様と一通り挨拶をした。
シルヴィア様はリーディアとレティシアを娘と紹介しご満悦のようだった。レティシアも仕方なしに付き合ってくれている。
「お母様、ディアがお嫁に来てくれて、本当に嬉しそうね。最近はお兄様に邪魔され、お兄様がいない時はお母様に邪魔されて、全然ディアを貸してもらえないんだから」
レティシアは不満気に話す。
「子ども達もいるから、今はあまり時間がとれないわね。落ちついたら、お邪魔するわ」
「子どもねぇ・・・。そろそろ私も考えてるんだけど・・・ジル様とはそういう雰囲気にならないのよねぇ」
「そうなの?シアが私に作ってくれたようなネグリジェ来てみたら?」
「あーゆーのは、恥ずかしいじゃない・・・」
レティシアは人に着せるのはいいが、自分だと恥ずかしいようだ。
「あら・・・私に着せたのに、自分は着れないと・・・?なら私も二度とシアの作る服は着ない事にするわ」
リーディアはそっぽを向く。
「~~ッ、わかったからッ頑張りますッ。だから私の服を着ないなんて言わないでッ」
レティシアは随分必死だ。そんなに着せたいのかとリーディアは苦笑いしてしまう。
「なら、約束ね。期待してるから、ちゃんと報告してね」
レティシアは頭を悩ませている様だ。結果はまたしっかり聞くとしよう。
兄達が到着するまで、レティシアやシルヴィア様は、しっかりと社交行うためまた、会場の中心に向かって行った。
リーディアは、2人について行けず、バルコニーでシリウス様が到着されるのを待つ事にした。
跡取りもできた事で、公爵は爵位をシリウス様に譲られる予定だ。リーディアも公爵夫人として、最近はシルヴィア様指導のもと頑張っていた。だが、シルヴィア様みたいな社交はなかなかに難しい。シルヴィア様はリーディアの実の母並みに大切にしてくれ、気をつかってくれる。
今日も、リーディアの気分転換もかねて、着飾ってくれたのだ。半分は、シルヴィア様の満足を満たすためではあるのだろうが・・・。
少したつと、会場が賑やかになった。リーディアは会場を確認するとこの国の騎士ではない男達が迎えられていた。
どうやら隣国、イザベル様の祖国の騎士たちのようで、イザベル様に挨拶をしていた。
彼らがいるという事は、シリウス様も帰った頃だろう。さすがに何度も、城内で転移魔法を使うわけにはいかないだろうから、すぐにはこられないだろう。
だがシリウス様はリーディアの居場所がわかるから、来るのを待っていた方が早いとわかっている。
リーディアは大人しく、シリウス様が来るのを待つ事に人が少ないバルコニーに引きかえそうと、会場から視線を移そうとした。
騎士から視線を外そうとしたら、その内の1人と目が合った。騎士の中でも他の者とは違う格好で、青い髪でモテそうな顔をしている。兄と同じような肉体派のようだった。
相手が視線を外すと、リーディアはバルコニーに出る。ああいうのは、関わらないほうがいいとわかっていたが何故か、彼は会場をでてバルコニーまで来てしまった。
「やっと見つけた・・・探していた俺の理想の女性だ」
彼は何やら、不穏な事をいった。
「エスコートはされていないということは、婚約者はいないのか?」
名も知らない彼はリーディアに近づきながら質問してくる。
「・・・婚約者はいませんが、おっ」
「そうかッ。それはよかった。ならばぜひエスコートさせてくれ、一緒に一曲踊って頂きたい」
彼はリーディアの言葉を途中で遮ってしまう。そこへ後ろから彼の仲間の騎士達がやってきた。
「隊長ー何してるんですか、おいて行かないでくださいよー。あれ?可憐なお嬢さんがいる」
軽口で隊員が、彼を隊長だと言っている。
「ああ、我が国では出会えなかった理想の女性だ。隣国に来て出会えるとは」
あっという間に騎士達に囲まれてしまった。
「よかったですね!彼らのおかげで、討伐も早く済んで、パーティーにも参加できたおかげですね!」
「彼らのおかげだが、早く帰りたいらしく、えげつない攻撃力だったよなぁ・・・あの師団長に、騎士団長」
「確かに!遠征が長引くと、妻に変な輩がよってくるとか言ってたよな・・・あれで、むっちゃ愛妻家なんてなー」
彼らは、兄とシリウス様の事を言っているようだ。
「敵対したくない相手だよなぁ」
「そうだな。それより、俺は今からこの令嬢と一曲踊ってくるから、邪魔をするなよ」
彼はリーディアの手を引いてくる。
しかし、リーディアは身体強化し、微動だにしない。
「なんだ?」
「手を離して頂けますか・・・隣国では名も名乗らず、いきなり女性に触れるのが礼儀なのですか」
リーディアは彼の礼儀を問う。
「失礼、急ぎすぎたな。俺の名は」
彼が名乗ろうとしたが、それは叶わなかった。
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