上 下
69 / 103

68.デート途中

しおりを挟む



 エスコートされ、薔薇園に入る。会員制らしくシリウス様は慣れたように、案内の者についていく。


 案内されたのは、幾つもの薔薇のアーチをくぐった先の、白一色の大輪の薔薇が咲き誇っている場所だった。
 噴水があり、ブルーのタイルで塗装されている。水が流れていて光り、白い薔薇とのコントラストが目を引いた。


 水に囲まれ、中央にあるガゼボのソファに座る。シリウス様はすぐ横に座られた。お茶とお菓子が準備され、2人だけになる。

「素敵な場所ですね」
 リーディアは、シリウスと2人になってしまい、急に落ち着かなくなった。

「そうだろう。ここは、うちの公爵家が
経営している。配置やデザインのアイデアはシアや、母が行ったと聞いている。それに、この場所は会員制だからな、変な輩は入ってはこない・・・」
 シリウス様は、リーディアの手を握ってくる。

「シアはやはり、センスがありますね。シリウス様の色がいっぱいで・・・」
 シリウス様に見つめられている様だと・・・。

 シリウスの瞳がリーディアと合わさり、どちらともなく引き合い口付けを交わす。

 リーディアはやんわりと、シリウスの口付けを手で静する。
「んっ、シリウス様、ここは外ですよ」

 シリウスはリーディアの手にも口付ける。
「呼ばなければ、誰も来はしない。この前は邪魔されたからな・・・その続きだ」
 シリウス様はリーディアに口付け、口を塞ぐ。舌を絡めながらソファに押し倒した。

 リーディアは兄に言われた言葉が頭をよぎる。
「シリウス様ッ。まだ許可を貰っただけで、婚約が完了した訳ではありませんっ、だからッ」 

 シリウスの瞳がリーディアを射抜く
「だから・・・なんだ?」

「だっ、だから・・・キス以上は駄目、です」 

 シリウス様は、わかっていると言い、リーディアに口付ける。額に頬、目元、口元、首すじに。徐々に口付ける場所は下がっていく。シリウスはリーディアのドレスの肩を下げて鎖骨にもキスをする。

「シリウス様ッ!それ以上はキス以上になると思いますッ」
 シリウスへ抗議をすると、シリウスは顔を上げて、不敵に笑いリーディアの見えている胸元を少し下げて、吸い付いた。

 チクリとして、リーディアはシリウスが何をしたのか理解する。

「シリウス様ッ、これは・・・」

「あまりにも、嫌がるから、ちょっとした意地悪だ」
 シリウスは再度リーディアに口付け、リップ音が響いた。

「嫌な訳じゃありません・・・、私だって我慢してます!シリウス様が我慢が足りないんです!私だって。もっと、ずっとシリウス様と触れ合っていたいけど、だけど・・・まだ、だめなんです」
 やめてほしいわけじゃない・・・だけど、まだ、とにかく婚約も完了していないからダメなだけであって、嫌なわけじゃない。

「・・・悪かった。これ以上はやめておく。だが最後に、少し抱きしめてもいいか」

 シリウス様は、リーディアが頷くと、優しく抱きしめた。

「これから、まだ見ていないディアを見せてくれ、何が好きかも、まだ知らない事の方がら多いからな。まずは、一緒にお茶にしようか」
 シリウスは、リーディアを離して、紅茶を入れてくれた。リーディアはシリウス様がコーヒーより、紅茶が好きなのを知っている。

 リーディアはシリウス様が、今の自分を見てくれようとしてくれる事を嬉しく感じるのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻のち愛人。

ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。 「ねーねー、ロナぁー」 甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。 そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。

あの子を好きな旦那様

はるきりょう
恋愛
「クレアが好きなんだ」  目の前の男がそう言うのをただ、黙って聞いていた。目の奥に、熱い何かがあるようで、真剣な想いであることはすぐにわかった。きっと、嬉しかったはずだ。その名前が、自分の名前だったら。そう思いながらローラ・グレイは小さく頷く。 ※小説家になろうサイト様に掲載してあります。

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ★9/3『完全別居〜』発売
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

王太子の子を孕まされてました

杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。 ※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。

【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす

まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。  彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。  しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。  彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。  他掌編七作品収録。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」  某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。 【収録作品】 ①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」 ②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」 ③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」 ④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」 ⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」 ⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」 ⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」 ⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」

十年目の離婚

杉本凪咲
恋愛
結婚十年目。 夫は離婚を切り出しました。 愛人と、その子供と、一緒に暮らしたいからと。

恋人に捨てられた私のそれから

能登原あめ
恋愛
* R15、シリアスです。センシティブな内容を含みますのでタグにご注意下さい。  伯爵令嬢のカトリオーナは、恋人ジョン・ジョーに子どもを授かったことを伝えた。  婚約はしていなかったけど、もうすぐ女学校も卒業。  恋人は年上で貿易会社の社長をしていて、このまま結婚するものだと思っていたから。 「俺の子のはずはない」  恋人はとても冷たい眼差しを向けてくる。 「ジョン・ジョー、信じて。あなたの子なの」  だけどカトリオーナは捨てられた――。 * およそ8話程度 * Canva様で作成した表紙を使用しております。 * コメント欄のネタバレ配慮してませんので、お気をつけください。 * 別名義で投稿したお話の加筆修正版です。

旦那様、離婚しましょう

榎夜
恋愛
私と旦那は、いわゆる『白い結婚』というやつだ。 手を繋いだどころか、夜を共にしたこともありません。 ですが、とある時に浮気相手が懐妊した、との報告がありました。 なので邪魔者は消えさせてもらいますね *『旦那様、離婚しましょう~私は冒険者になるのでお構いなく!~』と登場人物は同じ 本当はこんな感じにしたかったのに主が詰め込みすぎて......

処理中です...