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66.話し合い
しおりを挟むそして、後日シリウス様が改めて、フォード家へやってこられた。
父は少し急用が入ったため、応接室で、父を待つ間リーディアは気になっていた事を、シリウスに聞いていた。
「それにしても、お招きするのも、返事もとても早かったように思うのですが、何かありましたか?」
「君の父から、私宛に手紙が届いたんだ。それも、ジルベルトがわざわざ、うちの団に届けにな。相変わらずな態度で、お前は手が早いからさっさと婚約しておけと。だが婚約前にだけは、絶対に手を出すなと言われた」
「お兄様ったら」
リーディアは赤くなる頬を隠すように手で覆う。
「と言う事は、婚約すれば手を出してもいいということだな。と言い返したら、最後まで手を出していいのは、確実に結婚した後だと睨まれたよ」
シリウスは、リーディアの手をとり、目線を合わせる。
「あいつの気持ちは、わからないでもない。かわいい妹が嫌いな奴に取られるんだからな。私も同じような気持ちだった。今は・・・妹が幸せになれるなら、良いかと思っている。これも君が私を変えさせたから、そう思えるんだろうな」
シリウスにじっと見つめられ、リーディアは動けない。
「これから、私が大事にしてきた妹はあいつが守る。私はあいつが大事にしていたディアを、今後は守る。私の1番はシアではなく、君になる。あいつの1番もディアではなく、シアになる。妹よりも、ディアを優先する。だから、君もあいつより私を優先してくれ」
リーディアはシリウスに言われた言葉が嬉しかった。レティシアより、自分を優先すると・・・。シリウス様の1番はリーディアだと言ってくれた。
リーディアの瞳には、涙が溜まってしまう。
「泣かないでくれ、これから君の父上がこられるんだからな、泣かせたら、君を妻にくれなくなるかもしれないだろう?」
シリウス様は、リーディアの溜まった涙が溢れる前に口付けて涙を吸ってしまう。それだけで、リーディアは涙をとめ、今度はまた赤くなるのだった。
「可愛い顔をして、煽るのはまた後にしてくれ。今日はまだだめだ」
シリウス様はリーディアに軽く口付けて、離れられた。
そして、この後の予定を話しながら父を待った。
ノックをして、父が遅れた詫びを言いながら入ってくる。
「遅れてすまない。またせたね」
「彼女と一緒なので、待つ時間は気にはなりません。気にされないで下さい」
「娘に相手をさせてよかったよ。では、さっそく本題に入るとしよう」
父は、シリウス様に、娘を妻に望む理由、リーディアと思いあうようになった経緯などを質問したりして、シリウス様の真意を確かめた。
シリウス様は、小さい時に出会った時の事から話した。
「あの時の魔法が、シリウス殿のものだったのか。おかげでディアを見つける事ができた。感謝する。それに、ジルベルトとの事も、少しは和解ができたようで何よりだ。私よりも兄のあやつが認めたなら、反対はしない。もとより娘の幸せになる結婚を望んでいた。ディアが望む相手なら喜んで託そう」
シリウス様は父を納得させ、婚約式については婚約書の内容が定まってから、日にちを決めるようということになった。
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