好きな人は兄のライバル〜魔導師団団長編〜【本編完結】

ドール

文字の大きさ
上 下
64 / 103

63.まだ駄目

しおりを挟む


 シリウスは転移魔法で、リーディアの泊まっている部屋のベッドの上へ移動した。

 そのまま押し倒し、リーディアを組み敷く。リーディアが言葉を発する前に、貪るように口付けをし、服をはだけさせた。

「シリウス様ッ外じゃなくても、少しでも、まだだめです!なんで、部屋に転移できるんですか!」
 リーディアは必死で抵抗する。自分達は婚約者でもないので、思いが通じあったとしても、順序は守らなくてはならない。

「入った事ある所は転移可能だ。今更そう恥ずかしがらなくても、私に体を見られるのも、触られるのは初めてではないだろ」
 シリウスの手がドレスを捲り、リーディアの素足にふれようとする。


「そこまでだ」
 シリウス様の首元に剣先が当てられ、兄の地を這うような声で静止がかかった。

 首元に当てられた剣先が徐々に凍りつき出す。
「無粋なやつだな。行為中に部屋に入ってくるな」

「残念だが、あとに来たのはお前だ。俺たちは先にここにいた」
 兄が言った事を理解した。部屋にはレティシアもいる。手で顔を覆っているが指の隙間からちゃんと、見えているようだ。

 シリウス様は状況を理解すると、リーディアの服を整えてくれた。
 兄は、まだシリウス様を睨んでいる。

「・・・邪魔が入ったな。少し気が急いたようだ。次は婚約してからにしよう」
 シリウス様は耳元で、兄に聞こえないように囁かれた。

「それと、この腕輪は返しておく。もう二度と離さないでくれ、いつでも私に君の居場所がわかるように。よんだらすぐ駆けつける。何度でも」
 シリウス様はリーディアに再度口付け、兄の視線から逃げれるようにさっと転移してしまわれた。

 兄の視線が、今度はリーディアに向く。

「本当にあいつがいいというのか、あんな手が早い、我慢がきかないようなやつが」

「お兄様、あまりシアの前ですし、そのような事は言わないでください」
 レティシアは、頷いてる。

「あぁ、すまない。あのようなのをみせられて、頭に血がのぼった。ちゃんとやつの手綱は握っておけ。今更反対はしない」
 リーディアは兄が、反対はしないと言ってくれた事が嬉しかった。

「はぃ。ありがとうお兄様」

 話が終わり、兄は部屋から出て行く。兄はまだ残って討伐は続けるようだ。
 部屋にはレティシアと、2人になる。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜

藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。 __婚約破棄、大歓迎だ。 そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った! 勝負は一瞬!王子は場外へ! シスコン兄と無自覚ブラコン妹。 そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。 周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!? 短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

呪われた白猫王子は、飼い主の王女様を可愛がりたい 【ネコ科王子の手なずけ方】

鷹凪きら
恋愛
セレナはとある国の四番目の王女として生まれたが、その存在を疎んでいた国王である父は彼女を城に軟禁した。 3人の姉からは陰湿な苛めが繰り返される毎日。 そんな風に人と会うこともなく城の中で生きてきたセレナに、何故か隣国の王子から結婚の申し込みが。 その王子とは全く面識がなかったが、彼はセレナを知っているようだった。 「あぁ、やっと会えた」 そう言って嫁いだ先で出迎えてくれたその人は、セレナを溺愛し始める。 しかし顔よし、頭よし、性格よし(?)のその王子には秘密があった。 それはある条件に触れると、呪いによってその姿を『猫』へと変えてしまうことで――!? これは、虐げられて生きてきた王女と、そんな彼女を愛してしまった呪われた王子の物語。

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい

春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。 そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか? 婚約者が不貞をしたのは私のせいで、 婚約破棄を命じられたのも私のせいですって? うふふ。面白いことを仰いますわね。 ※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。 ※カクヨムにも投稿しています。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

侍女から第2夫人、そして……

しゃーりん
恋愛
公爵家の2歳のお嬢様の侍女をしているルイーズは、酔って夢だと思い込んでお嬢様の父親であるガレントと関係を持ってしまう。 翌朝、現実だったと知った2人は親たちの話し合いの結果、ガレントの第2夫人になることに決まった。 ガレントの正妻セルフィが病弱でもう子供を望めないからだった。 一日で侍女から第2夫人になってしまったルイーズ。 正妻セルフィからは、娘を義母として可愛がり、夫を好きになってほしいと頼まれる。 セルフィの残り時間は少なく、ルイーズがやがて正妻になるというお話です。

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

処理中です...