好きな人は兄のライバル〜魔導師団団長編〜【本編完結】

ドール

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59.対抗心

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 翌日魔物狩りが行われ、なぜかシリウス様が参加をされていた。どうやら、ライナス様と競うつもりのようだ。

 レティシアは、兄は対抗心が強いからと言っていた。
たしかに、昨日もライナス様を牽制していたようだが、前にリーディアはライナス様が生理的に無理だと伝えているのに、何故牽制したり、対抗心を燃やすのか理解できなかった。
 
 さらに、急遽エイダン様も参加されており、レティシアは面白くなってきたと目を輝かせていた。

 参加者には、1人ずつ判定するため同行者がつく。討伐数と魔物のランクで優勝者が決められる。


 結果的には、転移魔法で距離をかせげ、広域魔法も使用できるシリウス様が討伐数を伸ばした。
 
 討伐要請していたこともあり、近場の魔物の数が減っていたのと、高いランクの魔物は騎士団が先に討伐していた事が、勝敗を分けた。

「まあ、あたり前の結果だな。私が参加しては申し訳なかったくらいに差がついたな」
 シリウス様は勝者の笑みを浮かべていた。

「確かに、とにかく数で差がついたな。次からはそのあたりも考慮して、制限をかけさせてもらわないといけないな。勝負どころか圧倒されたよ」
 ライナス様は、さっそく次のために思案され、発言をされている。シリウス様の嫌味な言い方に動じはしない。

「まあ、私も暇ではないからな。次は参加する事はない。討伐依頼があれば、来るまでだ」

「そうか。それは残念だ。とにかく、優勝者にはこれを贈呈するよ」
 ライナス様はシリウス様に何かを手渡した。

「これは・・・ずいぶん貴重なものをくれるんだな」
シリウス様は驚かれている。

「今回は特別にだ。君の健闘を祈って、今後を期待するよ。・・・ぜひ彼女を幸せにしてやるといい」
 ライナス様は、最後は誰にも聞こえないように、シリウス様の耳元でつげた。

「・・・あなたは、身を引くというのか」
2人は周りには聞こえない声量で話し続ける。

「君のように、彼女のためには行動できそうにない。魅力的ではあったが、諦めるよ。見込みも薄いようだからな。公爵には私から話をしておく。君は、彼女ときちんと話をした方がいい。上手く行ったら式くらいはよんでくれ」
 ライナス様は、シリウスにアドバイスし去っていく。


「シリウス様ッ、おめでとうございます。さすがですね」
シリウスの元に、子爵令嬢がかけよってきた。
 リーディアはそれを見て、レティシアと顔をあわせて呆れる。まだ、誤解だったと言ってもいないのかと。

 シリウス様は、自分が勘違いした事もあり、少したじろいでいる。
 子爵令嬢は、その間1人で話している。ぐいぐいくるタイプみたいだ。

「さすが、師団長のシリウス様ですね。差をつけて優勝だなんて素敵です。賞品は何を貰ったんですか?よかったら、みせて頂きたいです」
 子爵令嬢は、シリウスの腕に手を添えて寄り添うようにしている。

 リーディアは冷ややかな視線をシリウス様へ向けてしまう。シリウスはリーディアの視線に気づき子爵令嬢とは距離をとった。

「すまないが・・・距離をきちんと保って話してくれ。それと、勘違いさせて悪かったのだが、このように接してくる事も話し方も気をつけてほしい」

 子爵令嬢は何を言われたかわからない様子だったが、ショックを受けたようにシリウス様へ、詰め寄る。

「先に声をかけてきたのは、シリウス様ではありませんかッ。いきなり手をとって、私を見つめてこられてッ。私に探していたとおっしゃられました。なのにどうしてそのようにおっしゃるのですかッ」

 子爵令嬢はシリウス様からなかなか離れようとはしない。
 
 シリウスを見る、リーディアの冷ややかな視線はかわらず、レティシアはその横で自業自得ねと呟き、見ている。
 
 リーディアは、シリウス様の様子を冷ややかな視線をむけながら、冷静に見ていた。子爵令嬢がなかなか離れないの為、リーディアはつかつかと、近づいていった。
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