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54.真実
しおりを挟むジルベルトはまだ、飛竜の解体やら片付けの最中だった。
レティシアはジルベルトに先程の話をすると、かなり顔がひどいことになった。
本気で怒っているようだ。レティシアはこの時、この人もシスコンだったなと思い出した。
「お前は、だいぶ記憶力がわるいんだな」
ジルベルトはシリウスに、近づく。初めから喧嘩をうるような話しだしだ。
「何だと」
シリウスは顔が引き攣る。
「お前が昔会ったという少女は、俺の妹だ。間違いはない。母上が亡くなった後、屋敷を飛び出した事がある。その時に会ったんだろう。妹を探している時に、お前の氷華の魔法を俺も見た。ディアも話していた。迎えがくるまで一緒にいてくれたと」
シリウスは、ジルベルトのいうことが、信じられなかった。だが、ジルベルトが言うことは間違ってはいなかった。
確かに自分は迎えが来るまで一緒にいたし、氷華の魔法使用する事で、迎えの者に居場所をわかりやすいようにした。
ジルベルトが言う事が本当なら、自分は彼女に、リーディアにひどい態度をとったことになる。
自分が探していた少女に対して、嫌われるような態度を・・・。
「私が勘違いしていたのか・・・。もう一度、きちんと彼女と話をしてくる」
シリウスは、そう言うと、足早にリーディアの部屋に向かった。
レティシアは、これで2人はやっと結ばれると思い、ジルベルトと顔を見合わせ安堵するのだった。
しかし、シリウスはすぐに戻ってきた。リーディアは部屋には居なかったと言う。
「部屋を開けて確かめたの?」
「ああ、返事もなかったし、居留守かもしれないと思って、転移魔法を使用して部屋に入った。だか、部屋にはこのブレスレットがおいてあった」
シリウスがあげた居場所がわかるブレスレットだった。
「じゃあ、ディアはどこに行ったっていうの」
レティシア達が話していると、周りが騒がしくなる。保管していた飛竜の卵がなくなったと騒いでいるのだ。
ライナス様が報告をうけ、此方にむかってきた。
「リーディア嬢を見ていないか。彼女が卵を持っていたのをみかけた者がいるらしく、探している」
ジルベルトは、飛竜の話をリーディアに話した事があり、憶測だが意見を述べた。
「もしかしたらだが・・・、ディアは卵を返しに行ったのかもしれない。飛竜のメスの死骸は見つかっていないんだ。産んだ後に、体が弱るから、卵を探しにはあの時きていなかったんだと思う。ディアも、一時的に弱るのは知っているからな」
ジルベルトが憶測を話すと、シリウスは飛竜のいる山へ迎おうとした。
「まて、もうじき暗くなる。地理を知らない者が無闇に山へ行こうとするな」
ライナス様がシリウスをとめる。
「帰りは一瞬だから問題ない。彼女の身が心配だから、私は先に探しに行く」
シリウスはそういい、転移魔法で探しに行ってしまった。
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