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50.魔力補充

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 シリウス様は、リーディアの泊まっている部屋へ、運んでくれベッドに寝かせてくれた。
 
 リーディアは、初めて魔力の限界を体験した。こんなに目眩がし、立っていることもままならないものだとは思わなかった。
 魔力がなくなれば、剣技だけで、戦わないといけないと思っていたが、魔力がなくなったらそれすらできなくなるという事を理解し、シリウス様が来てくれなかったらと考えてしまう。
 
「魔力を回復するものはあるか?急いで来てしまったから持ってきていないんだ」

「もう・・・使ってしまって・・・しばらくすれば回復するでしょうか」
 リーディアはすぐにでも、この状態が改善するのであればそうしたかった。
 
「限界まで魔力が枯渇すると、自然に回復するのは難しい。目がまわって、気分は最悪だろう」
 シリウス様の冷たい手がリーディアの目を覆う。

「はい・・・、シリウス様も経験があるのですね」
 リーディアは前にも、シリウス様の手が冷たくて気持ちいいと気分が悪い中で思った。

「魔力量を増やすために、限界まで魔力を使用し、自然に回復させ、また限界まで魔力を使用するを繰り返す事をしていた。小さい頃しか増えないから、始めた時はかなりきつかったのを覚えている。自分の魔力量を知るためには魔力を使う者なら一度は経験したことがあると思っていたが、君は初めてみたいだな」

「この、状態を何度も・・・だから、あの歳で氷華の魔法が使えたんですね。シアのために」
  リーディアは、シリウス様が見せてくれた、魔法を思い出す。魔力不足でか、あまり考えずに話しをしてしまっていた。

「・・・治療として、魔力を分ける事ならできる。つらいならするか」
 シリウス様は、提案してこられる。

 リーディアは、頷き、シリウスに手をにぎられた。
「了承は、確かにとったからな。今回も、治療としてだ」

 シリウスは、ベッドに横になっているリーディアに、ゆっくりと顔を近づけ口付けた。
 リーディアは閉じていた目を見開いた。なぜ、シリウス様に口付けをされているのか、わからない。治療の了承をして、手を握られたはずだ。

 身体に魔力が流れてくるのがわかる。人の魔力を通した事はないが、冷んやりとした心地いいこの感覚が、シリウス様の魔力だと感じる。

 リーディアは、手に力が入り、シリウス様は目を開けて、視線があうと、目を細められ笑っている様だった。

 リーディアは恥ずかしくなり、目をぎゅっとつぶる。シリウス様は、リーディアの反応を楽しむように、合わせているだけだった唇を、舐めたり、食んできた。

 シリウス様の冷んやりした魔力が、身体をめぐるが、シリウス様の行動で身体は、逆に火照ってしまう。
 
 これも治療だと、シリウス様は言った。魔力を貰うのに口付けが本当に、必要なのだろうかと思ってしまうが、リーディアは既に、シリウス様との口付けは初めてではないため、恥ずかしさはあるが、勿論嫌ではなかった。

 前回と違うのは、意識は割としっかりしている事だ。前回は、魅惑の香の影響で、リーディアはシリウスを自分から求めた。キスも強請るように、したのを記憶している。

 前回の記憶があるからか、舌を絡めるキスではないが、リーディアは段々と目がとろんとなってしまうのだった。

 

 
 

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