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42.お酒禁止の意味
しおりを挟む翌日、リーディアは目を覚ましたが、馬車に乗ったあたりからの記憶がなかった。やはり、あのままお酒を飲んでしまったから寝てしまったのだと考える。
兄に話があると呼ばれ、やはり昨日の事で、また説教だった。
そして自分の酒癖を教えられた。
「どうして、もっと詳しく教えてくださらなかったのですかッ。そんな癖があるなら、もっと注意していました!」
リーディアは馬車内での事も聞いたのだ。シリウスの頬にキスをした事も、膝に乗ったことも、それをレティシアと兄にみられていたのもあり、恥ずかしくて顔は真っ赤だ。
「仕方ないだろう、父にも口止めされていた」
「お父様が・・・、父が2人の時によく晩酌を一緒にしようと言ってくるのは、そのためですか・・・」
リーディアには思い当たる節があった。
「だろうな。お前が甘えてくるのが、嬉しいんだろう。顔は毎回緩みっぱなしだ」
「毎回・・・では、お兄様もその場にいるんじゃないですか。飲む前にはいないのに。そういうことですか・・・」
リーディアにしては珍しく怒っている。
「俺は父が羽目を外さないか監視に、確認に行っていただけだ」
「わかりました・・・そういうことにしておきましょう。お父様とは金輪際、お酒をご一緒しないことにいたします」
リーディアは兄に宣言する。要は、兄から父に伝えろということだ。
「そうか。だが、お前のその行為で気づいた事がある。ディアは・・・あいつが、シリウスが好きなのか・・・?」
リーディアは固まり、目を見開く。
「なぜ、ですか・・・そのような事をあの場で言ったのですか・・・」
「目を合わせたら抱きついてはくるが、抱きついている者より好きか同等であればの話だ。お前は、シリウスからは、俺やシアが目を合わせても離れはしなかった。あの場で知り得る事ができたのは俺だけだから、問題ないが・・・いつからだ」
リーディアはシリウス様に知られたのではない事に安堵する。
「母が亡くなって、私が家を飛び出したあの日に、シリウス様とお会いしてからだと思います」
「もしかして、あの空に光る魔法を放ったのが、シリウスなのか」
「はい。迎えが来る前に去られてしまわれましたが、白いローブ姿でしたし、転移魔法で現れましたので間違いはないです」
「そうだったのか・・・。お前はそれなのに、シアのためにシリウスに嫌われる行動をしていたのか・・・、辛くなかったのか」
ジルベルトは、悲痛な表情でリーディアをみてくる。
「いいではありませんか、私の気持ちは・・・、私は自分のしたいように行動しているのです。悔いはありません。この思いにはきちんと決着を付けますから、心配はいりません」
リーディアは真っ直ぐに兄の目を見た。
「辺境伯との話を断りたいのも、それが理由か・・・?」
「それだけではありません。ライナス様は本当に触られたりするだけで鳥肌がたつくらい、生理的にうけつけないだけです。ライナス様は私自身には興味はありません。あるのは私の体だけです。そんな人と添い遂げるなど無理です」
「その言い方だと何か言われたんだな・・・、シリウスは気に食わないし、お前を大事にしてくれるかもわからないぞ。自分の妹が1番なやつだからな。俺はお前を幸せにしてくれる所に嫁がせたいと考えている。お前は俺にとって大事な妹だからな」
ジルベルトはそう言って頭をなでてくれた。小さい頃、兄がよくしてくれる仕草だった。
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