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38.パーティー 中編
しおりを挟むシリウス様とダンスを踊りながら会話をする。
「今回も、注目を集めているようだな。シアのドレスのせいもあるだろうが、リーディア嬢は少し雰囲気が変わったか?」
シリウスは、踊りながらリーディアを見つめる。
「そうなんでしょうか・・・シアにも言われはしましたが、自分ではよくわかりません」
レティシアにも言われたが、どこがどう変わったのかリーディアが知りたいくらいだ。
「そうか・・・、そうだな、女性らしさが増したというのだろうか、明らかに男たちの視線が、シアではなく君に向けられている気がするのだが・・・。また魅惑の香でも吸ったか?」
シリウスは、あまり話題にしてほしくない事を、この場でリーディアに言ってくる。
「吸ってませんッ、あの時の事は言わないで下さいッ・・・もしかして背中が開いているから視線があるのでしょうか」
リーディアは背中が開いているのが原因かと、シリウスから視線を外した。
「よそ見はしないほうがいい・・・。シアも背中は見えているのだから違うだろう・・・おそらくは、魅惑の香の影響で、君が感じた感覚が原因だろうな。女性でよくある、女になったという事だ」
「・・・でも・・・最後までは、それにッ、あれは治療だと言ったではないですか。シリウス様は・・・私を、はずかしめたいのですか・・・、婚約式の事をまだ怒って、そのように言われるのですかッ」
リーディアはシリウスの言葉に泣きたくなった。泣けば化粧が崩れてしまうため、泣かないようにシリウスを睨みかえす。
「黙っていた事には、怒りは沸いたが、君がシアの事を思って行動してくれた事は、妹の友として、とても好ましいと思っている。私がいいたいのは・・・、次に踊る相手に、女の顔をみせないようにしろということが言いたかっただけだ」
シリウスが言った事は、リーディアを思ってくれての発言だとわかり安心した。リーディアは、それがわかり表情が緩む。
花がほころぶような、笑みでシリウスを見つめた。
「ッ、その顔は絶対に、他に見せない様にしておけ、群がる者達が増えるぞ。次の相手は辺境伯だ。顔を戻しておけ、なるべくなら誘われない様に、側にいればいい」
シリウスは、リーディアから視線を外して、最近ではあまり見なかった、照れている時の表情をした。
「はい・・・、では断れない相手以外は仕方ないですが、それ以外は一緒にテラスにでも避難してくれますか?」
「その方がいいだろう。今日の私のパートナーは君だから、しっかり最後までエスコートしよう」
シリウスは、すぐに表情を戻して、返事をしてくれた。
シリウス様とのダンスが終わり、次は予定通り辺境伯のライナス様と踊った。
やはり、鳥肌がたつ瞬間が何度もあり、今日の服はわかりにくかったので、よかったと思うリーディアだった。
リーディアが踊る間、シリウス様は、イザベル様と踊られていた。気になり視界には捉えていたが、シリウス様が表情を赤くする瞬間があり、心がざわついた。
3人目は、騎士団の副団長エイダン様が誘ってこられた。いつもパートナーに誘われて、断っていたので、ダンスくらいは踊る事にした。ライナス様の時よりは会話も問題なかったが、少し距離が近く感じた。
4人目は、魔導師団の副隊長エミリオ様に申し込まれた。どうやらシリウス様から言われたようだった。エイダン様とは違いとても紳士的で、安心して踊れた。
ダンスを終え、そのまま指示されたらしく、テラスへエスコートされた。
「ここでお待ちください。シリウス様はすぐに来られるそうです」
エミリオ様は、リーディアをエスコートし、会場へ戻って行った。
リーディアは1人になり、先程のシリウス様と、イザベル様が踊っている時の事を思い出し、ため息がでてしまった。シリウス様にあの表情をさせるのは、自分だけではないということが、苦しかった。
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