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36.出発
しおりを挟むパーティ当日、シリウスはリーディアを迎えにレティシアと馬車に乗ってきた。
事前にドレスは預かり、ドレスアップは済ませてある。
「2人のドレスは、似たような感じだな。髪型も左右に違うが・・・。意図的か?」
シリウスはリーディアとレティシアを交互に見る。
「今回は露出が控えめで、良かったじゃないか。」
シリウスはリーディアへ話しかける。
「はい。ジロジロみられなくて安心できます」
「だが、ここが空きすぎだ」
シリウスはリーディアの腰に手を添えたあと、背中に沿わせる。
「そこはッ、シアが譲らなくて・・・すみません」
リーディアはシリウスの手の温かさを感じ慌てる。
そこへ遅れて来た、ジルベルトが目ざとく見つけ、リーディアに添えられた手を払う。
「無闇に触らないで頂きたい。婚約者ではないのだから」
「お前はまず、遅れてきたことも詫びれんのか。今回は私のパートナーだ。文句があるならパートナーを交換してやってもいいぞ」
シリウスからすれば、別にパートナーがリーディアであろうが、望んでなったことではないし、意味があるわけではないのだろう。
自分は大事な妹に比べれば、シリウスの気遣いでパートナーになっただけにすぎないのだから、交換と言われても仕方ないのかもしれない。
それでも、簡単に交換といわれると、さすがに傷つきはする。
「お兄様!ディアに失礼ですよ!いいかげんにしてください」
レティシアがシリウスに注意してくれる。シリウスはリーディアの方を見て気まずそうに表情を崩す。
「いや、今のはリーディア嬢に問題があるとかではない・・・失言だった。すまない、今日の私のパートナーは君だ。変わることはない、許してくれ」
シリウスはリーディアの手をとり、手の甲に口付け謝罪してくる。
リーディアは、それだけで悲しくなったのが吹き飛んでしまう。
「仕方ないので、許して差し上げます」
恥ずかしさから、少し上からな発言になった。
「では、許して頂けたところで、出発しよう」
シリウスはリーディアの手を引き馬車へエスコートしてくれた。
王城に着くまでに、今日のメインは兄達の学友でもあった皇太子殿下、コーネリウス様のお妃を発表するという事を目的としたものだと説明された。
隣国の姫君が来られるため挨拶をし交流を深めるようにとも言われる。
兄達は国を支え、守る役割の職であるため、未来の皇太子妃にも仕える事になる。リーディアやレティシアにも王女を支える存在になってほしいようだった。
隣国の王女は皇太子殿下が自ら妃に望んだそうだ。王女は黒髪にピンク色の瞳だという。性格は王女らしく、責任感があり、内政に対しても意見が述べられるくらいらしいが、少し物言いというか、口調が強く、勝ち気な部分があるらしい。
らしいというのが、兄達も、皇太子殿下から聞かされた惚けみたいな話からしか、しらないと言った。
皇太子殿下に好かれる王女に興味がわくのだった。
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