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31.赤面率
しおりを挟むシリウスが転移した場所は、レティシアの部屋だった。
リーディアはシリウスから、謝罪される。
「母がすまない事をした。あんなに触られて嫌だっただろう。気持ち悪くなったりしていないか?」
「大丈夫ですよ。シアで慣れていますから、嫌な気持ちにもなっておりません。」
レティシアの言ったとおり、シルヴィア様はレティシアと趣向が似ていた。
行動がかぶって見え、見た目は違うが親子だなと感じた。
「それならいいが・・・。シアになれているということは、同じ様な被害にはあっているのだな。行動がそっくりすぎて被害が拡大してないか、気にはしていたんだが。すまないな」
シリウスは、苦労しているようだ。
「それから、母が言った戯言は気にしなくていい」
シリウスがいう戯言とは、シルヴィア様が言った嫁発言だろう。
「はい・・・わかっています」
リーディアはそう返事を返すしかなかった。
リーディアとしては、少し期待したが、シリウス自身が、了承しなければ話は進まないため無駄な事とはわかっている。
シルヴィア様がリーディアの胸を強調して見せた時も、前回の様に表情は変わらなかった。
既に直に見られているし、触られてもいるためだろうか。
動揺する可愛らしい姿がまた見たいなとリーディアはシリウスをじっと見てしまう。
シリウスは視線に気づき、背をむけてしまった。
「あまり密室に2人でいるのは、よくない。シアが戻るまで、君はここで待っているといい」
シリウスは、少し振り返り
「母が言う通り、君は魅力的だから、また魅惑されないうちに失礼するよ」
シリウスはこの間の、魅惑の香での行為を匂わせた。
リーディアの頬が赤く染まる。最近は、シリウスがリーディアを赤くする事の方が多い気がして、悔しくなった。
シリウスがドアを開けようとすると、先にノックの音が鳴る。
「誰だ」
ドアから顔を覗かせたのはレティシアだった。
「お兄様、私です」
「早いな」
確かに早い、転移からあまり時間はたっていない。
「ディアに至急の知らせが来たから急いできたの。辺境伯が来るらしいから屋敷に戻るようにって、迎えが来ているわ。ごめんね、私との時間なのに邪魔されたから聞き出しちゃった」
普通は内容まで聞き出すことなどできないと思うが、さすが公爵令嬢といったところだろう。兄の妻として心強い。
「・・・そう。わかったわ。内容は別に大丈夫だから気にしないで」
リーディアは、また顔を合わせないといけないと思うと憂鬱になった。
「急ぎなら送ろう。母上のお詫びも兼ねてな。早くしないとまた現れたらめんどうだ」
シリウスが送ってくれると、提案をしてくれたが、気は晴れそうにない。それほど、辺境伯と会うのは嫌だった。
せっかくシリウス様とも会えたのに、あまり話もできず残念に思う。
「ディア、今日を乗り切って、早めにお父様に話をつけなさいね。わたしも協力するから」
またしても、レティシアは何か企んでいる様な素振りだ。
シリウスにお礼を言い、前回と同じように屋敷の門前まで送ってもらうことにした。
シリウスに手をさしだされ、リーディアはエスコートされるように手を引かれた。魔法陣が足元に光り2人を包んだ。
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