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5.ダンス対決 後編
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ダンスが終盤になり、そろそろ団長対決である。
ダンスの前にリーディアは、シリウスとたくさん話をした。兄の弱点を探るような会話もみられたが、リーディアは思い人と一緒にいれて幸せだった。
もちろん、ダンスの打ち合わせも行った。あとは、どんなテンポの曲が流れるかが重要だ。
「さぁ、最後だね。2人とも、準備はいいかい?」
皇太子は2人に合図した。
曲の変わり目で、リーディアはシリウスに手を引かれ踊り出す。テンポは遅すぎず、早すぎない曲だ。
リーディアの腰にはシリウスの手が添えられ、リーディアはとても恥ずかしかったが、やっと踊りたかった相手と踊る機会が貰えて、夢みごこちだった。ステップも軽やかにこなせる余裕がある。
「上手いじゃないか、謙遜するくらいだから、リードをしっかりしないといけないかと思ったが」
シリウスはリーディアのダンスに満足しているようだ。
「ありがとうございます。一応公爵令嬢ですから、恥をかかせない程度には踊れますよ?シリウス様のリードがよくて、踊りやすいですし」
「ふっ、君は私をたててくれるのだな。あいつと違ってリードはどうだ?私の方が上手いか?」
シリウスはちらりと、ジルベルトに視線を移す。
「はい。とても踊りやすいです。兄はちょっと強引なので、合わせる方は疲れるかと思います。」
「そうか、君もあいつが兄で大変だな。そのドレスは余り見たことがない形だと思うが、あいつの指定なのか?」
「よくわかりましたね。兄の指定です。動きやすいようにマーメイドラインでもスリットが入っています。実はこれは、シアがデザインしてくれたんですが、スリットがはいっているので、恥ずかしくて勿体ないですが、着たことがなかったのです」
リーディアはドレスの感想をシリウスがくれるとは思わず、照れたような自然な笑みを浮かべる。
「そうか、シアがデザインを。だから普通のドレスと違ったのか。君によく似合っているよ。素敵なラインがでて、君にピッタリだ。とても、魅力的だと思うよ。シアは本当にセンスがあるな」
リーディア褒められているのだろうが、ほぼシアの名前がでてくるため、苦笑いだ。
音楽が変わり、少しテンポが速くなった。
「少し、君を試してみてもいいかな?練習の成果とやらを」
シリウスはリーディアの返事をまたず、逆ステップを踏み出した。しかし、しっかりリードするようにピッタリと体が密着しているため、なんとかついていくことができた。
「シリウス様!いきなりだと、びっくり致します。」
リーディアはシリウスのために必死だ。
「でも、大丈夫だっただろう?しっかりと支えているし。特訓の成果なのだろうな」
シリウスは悪戯心なのか、たびたびステップをかえ、リーディアを翻弄した。自然と互いに笑みを浮かべ、周りからみたら相思相愛のようだった。互いにパートナーをかえたとは思えないくらい、息はあっている。お互いのドレスが彼らの瞳の色だと気づいた者もいただろう。
音楽がとまり、拍手が響いた。
すっかり勝負をしていたことを忘れるほど、すっきりしていた。
「ありがとう。とてもよかったよ。もともとパートナーだったかと錯覚するほどの、息の合わせ方だったよ」
皇太子殿下が兄たちに声をかける。
「この勝負、どうだろうね。どちらがより素晴らしかったか。僕の一存で決めていいものかな。勿体無いし、会場の皆様方の拍手の多さで決めてみようか。」
皇太子殿下はジルベルト、シリウスの順で名前をあげる。
どうやら、拍手の量は、シリウスの方が多いようだった。
「実に素晴らしかったよ。息のあったステップの切り替えに何度も挑戦して、ひきつけられたよ。ジルベルト達も負けてはいなかったが、今回はシリウスの方に多くの者たちが魅力されたみたいだね。」
皇太子はお開きの挨拶をしてパーティは終了した。
シリウスは帰りの馬車まで、リーディアをエスコートしてくれた。
「君のおかげだ。リーディア嬢。ありがとう。また君となら一緒にダンスを踊ろう。」
「はい、ぜひ。でも次はゆっくりとしたのも・・・お願い致しますね」
「ああ、善処しよう。今日の勝利の女神。では、ディア嬢良い夢を」
シリウスはリーディアの手の甲に口付け去っていった。その後のことは曖昧で、記憶にないのだった。
ダンスの前にリーディアは、シリウスとたくさん話をした。兄の弱点を探るような会話もみられたが、リーディアは思い人と一緒にいれて幸せだった。
もちろん、ダンスの打ち合わせも行った。あとは、どんなテンポの曲が流れるかが重要だ。
「さぁ、最後だね。2人とも、準備はいいかい?」
皇太子は2人に合図した。
曲の変わり目で、リーディアはシリウスに手を引かれ踊り出す。テンポは遅すぎず、早すぎない曲だ。
リーディアの腰にはシリウスの手が添えられ、リーディアはとても恥ずかしかったが、やっと踊りたかった相手と踊る機会が貰えて、夢みごこちだった。ステップも軽やかにこなせる余裕がある。
「上手いじゃないか、謙遜するくらいだから、リードをしっかりしないといけないかと思ったが」
シリウスはリーディアのダンスに満足しているようだ。
「ありがとうございます。一応公爵令嬢ですから、恥をかかせない程度には踊れますよ?シリウス様のリードがよくて、踊りやすいですし」
「ふっ、君は私をたててくれるのだな。あいつと違ってリードはどうだ?私の方が上手いか?」
シリウスはちらりと、ジルベルトに視線を移す。
「はい。とても踊りやすいです。兄はちょっと強引なので、合わせる方は疲れるかと思います。」
「そうか、君もあいつが兄で大変だな。そのドレスは余り見たことがない形だと思うが、あいつの指定なのか?」
「よくわかりましたね。兄の指定です。動きやすいようにマーメイドラインでもスリットが入っています。実はこれは、シアがデザインしてくれたんですが、スリットがはいっているので、恥ずかしくて勿体ないですが、着たことがなかったのです」
リーディアはドレスの感想をシリウスがくれるとは思わず、照れたような自然な笑みを浮かべる。
「そうか、シアがデザインを。だから普通のドレスと違ったのか。君によく似合っているよ。素敵なラインがでて、君にピッタリだ。とても、魅力的だと思うよ。シアは本当にセンスがあるな」
リーディア褒められているのだろうが、ほぼシアの名前がでてくるため、苦笑いだ。
音楽が変わり、少しテンポが速くなった。
「少し、君を試してみてもいいかな?練習の成果とやらを」
シリウスはリーディアの返事をまたず、逆ステップを踏み出した。しかし、しっかりリードするようにピッタリと体が密着しているため、なんとかついていくことができた。
「シリウス様!いきなりだと、びっくり致します。」
リーディアはシリウスのために必死だ。
「でも、大丈夫だっただろう?しっかりと支えているし。特訓の成果なのだろうな」
シリウスは悪戯心なのか、たびたびステップをかえ、リーディアを翻弄した。自然と互いに笑みを浮かべ、周りからみたら相思相愛のようだった。互いにパートナーをかえたとは思えないくらい、息はあっている。お互いのドレスが彼らの瞳の色だと気づいた者もいただろう。
音楽がとまり、拍手が響いた。
すっかり勝負をしていたことを忘れるほど、すっきりしていた。
「ありがとう。とてもよかったよ。もともとパートナーだったかと錯覚するほどの、息の合わせ方だったよ」
皇太子殿下が兄たちに声をかける。
「この勝負、どうだろうね。どちらがより素晴らしかったか。僕の一存で決めていいものかな。勿体無いし、会場の皆様方の拍手の多さで決めてみようか。」
皇太子殿下はジルベルト、シリウスの順で名前をあげる。
どうやら、拍手の量は、シリウスの方が多いようだった。
「実に素晴らしかったよ。息のあったステップの切り替えに何度も挑戦して、ひきつけられたよ。ジルベルト達も負けてはいなかったが、今回はシリウスの方に多くの者たちが魅力されたみたいだね。」
皇太子はお開きの挨拶をしてパーティは終了した。
シリウスは帰りの馬車まで、リーディアをエスコートしてくれた。
「君のおかげだ。リーディア嬢。ありがとう。また君となら一緒にダンスを踊ろう。」
「はい、ぜひ。でも次はゆっくりとしたのも・・・お願い致しますね」
「ああ、善処しよう。今日の勝利の女神。では、ディア嬢良い夢を」
シリウスはリーディアの手の甲に口付け去っていった。その後のことは曖昧で、記憶にないのだった。
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