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プロローグ

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 私は、公爵家のリーディア=フォード。私は叶わぬ恋というものをしている。
 好きな人には嫌われているし、それは私自身のせいではないはずなのだが。上手くはいかない。


 好きな人に嫌われるというのは、とても辛い。
私は自分の想いが叶うことはないと、わかっている。
 けれど、諦めなければならないと、思っていても、彼に普通に接してもらう事ができなくても、視線があうだけで、姿をみるだけで、声をきけるだけで、私はとても幸せだった。


 私の兄と、彼の妹の婚約が発表される前までが、人生で1番幸せな時間だったと思う。 

 彼は、シリウス様は、私の兄が嫌いだ。昔からのライバルだった。
 ライバルの妹である自分には、少し嫌味をいうくらいだったが、婚約発表後、その関係は変わってしまった。さらに悪い方向へ。

 彼はいわゆるシスコンだから、ライバルである兄に妹ががたぶらかされたのだと、思いこんだ。
 今まではひねくれたような物言いだった彼の言葉が、しっかりと悪意に満ちた言葉にかわっていった。


 兄と親友の婚約を聞いた時、喜ばしかったが、自分の恋は実らないのだと思うと、苦しかった。
 貴族の結婚とは、家同士の繋がりを意味する。女は嫁ぎ、男は家を継ぐ。
 子が多ければ、それだけ婚姻は増え家同士の繋がりは広がる。だから、同じ家同士での婚姻は意味を成さない。
 兄が、彼の妹と結婚しなければ、自分にも彼との婚姻を夢見ることができたというのに。


 今からでも婚約をめちゃくちゃにしてしまいたいくらい、私は彼が、シリウス様が好きだった。


 彼に嫌われていようが、夢だけはみていたかった。いろいろ言われはしたが、話ができるだけで、嬉しかった。
 彼の声をきけるだけで、とてもドキドキした。けれど、そんな恋も、終わらせなければならない。

 近々、わたしにも婚約の話が来ているため、決断をしなくてはならない。

 彼を忘れる事ができるだろうか。この思いを胸に秘めて、嫁ぐ事など、できるのだろうか。不安しかない。


 いっそ修道院で、彼を思いながら、幸せな思い出だけですごせたら。婚約を祝う裏で、2人を恨む感情を少しでももつ自分がいるのを隠したくて。彼に醜い自分をしられる前にいなくなってしまいたかった。
 そんなことを公爵令嬢である自分が望めるはずがないと理解していながら。


 だから、ほんの少し幸せな思い出に浸りたい。

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