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思わぬ再開

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「今日から高校生か」
 少し憂鬱な気持ちと新しい生活への胸の弾みを感じながらドアを開ける。
 朝陽の通う高校はここら一帯では有名な学校で文化祭や体育大会は大きな規模で開催される。
 ただその分勉強のレベルも高く留年する人もめずらしくない。
 まぁなんとかなるだろう、と呑気なことを考えながら歩いていると自分の名前を呼ぶ聞き馴染んだ声が聞こえた。
「朝陽ー!!」
 朝からテンションが高すぎる……
(道の真ん中で名前を呼ばないでくれ…)
 周りには自分と同じ制服を着ている人、すなわち今日入学する同級生がたくさんいるのだ。第一印象が大声で名前を呼ぶ変人の友達など勘弁してほしい。
 俺は名前を呼ぶのを止めるべく声をかける。
「翔太、道の真ん中で名前を叫ぶな。俺まで変人扱いされるだろう。」
「変人ってなんだよ、俺はいたって真面目な一般市民だぞ?」
 そう言ってケラケラ笑いながら背中を叩いてくるのは俺の唯一の友達、立花翔太たちばなしょうた。中学の頃から仲がよく、高校も同じだ。
 変人とは言ったもののこの学校に合格してることから分かる通り頭がいい。おまけに運動もでき、顔も爽やかな感じなのですごくモテる。
「普通の人は場所を選ばず大声で名前を叫ばない。」
「そんなに不機嫌になるなよぉ~、俺は朝陽と同じ学校に通えて嬉しいんだぜ?」
 こういう自分の気持ちを素直に言えるのは翔太のいいところだがさっきのことを誤魔化そうとしてるように思えたので横腹を小突いておく。
「ま、俺もお前と一緒の学校に通えることは嬉しく思ってるよ。これからもよろしくな。」
「あぁ、よろしく。ひねくれてる朝陽にしては素直に言えたな。」
「それわざわざ言う必要あった?」
 と不機嫌なのを隠すことなく睨んだがやはり翔太はケラケラと笑っている。
(こういう笑顔を見ると毒が抜かれるというか、なんか憎めないんだよな。)
 と少し悔しさを感じつつ歩いていると学校が見えた。
「おぉ!すげぇ!でかいしでけぇ!きれい!」
「翔太、うるさい。あと2回でかいって言ってる」
 学校は翔太が言う通り大きかった。なんでもこの大きくてきれいな校舎を目当てに入る人もいるらしい。
 翔太の興奮が冷めるのを待ちつつ学校を見ていると校門前に人だかりができているのに気がついた。
「すげぇ可愛い子がいるらしいぜ!」
「まじ!?俺達も見に行こーぜ!」
 周りの男子生徒の発言から察するにすごい可愛い子がいると話題になりそれを見るために人が集まっているということらしい。
 この学校は勉強のレベルが高いと言ったが顔のレベルも高いことでも有名なのだ。だから可愛い子と言ってもそんなに珍しいものでもないだろう、と思い翔太を呼んで教室に向かうべく校門に足を進めた。
「うおぉ、すげえ」
 隣の翔太から感嘆の声が聞こえる。視線は人だかりの方を向いてる。女性にあまり興味のない翔太が感動するほどのものなのか、と思い俺も見てみた。
 俺は言葉を失った。可愛さで失ったわけじゃない。
 俺はあの少女を見たことがあるのだ。それも昨日。
 視界に映っていた少女は昨日ナンパされていた少女だった。それを理解した瞬間頭が高速で回転する。
(なんでこんなところにいるんだ?!年下じゃなかったのか?制服を着ているということはこの学校に通う生徒?まじか……)
 そして驚きと同時にとてつもなく嫌な予感がした。
 早く教室に行こうと将太の腕を掴んだ時だった。
「あ!この前の!」
 嫌な予感は的中した。気づかれてしまったのだ。
 別に少女に気づかれるのが嫌なわけじゃない、少女と関係があると周りにバレるのが嫌なのだ。
(バレてしまうとめんどうになる。)
 そう思い早足でその場を去ろうとしたが遅かった、既に少女が前にいたのだ。
「この前のって、知り合いなのかな?」
「あんないかにも陰ってやつが?」
 既に噂になっている、噂の中に馬鹿にしてる言葉も混ざっているがこの際どうでもいい。
 これ以上噂になるようなことを増やすのはごめんなので、少女の横を通り抜けようと思ったが腕を掴まれていた。場が驚愕の声で溢れる中少女は言い放った。
「私の友達になって下さい!!!」
 これが、俺の波乱な学校生活の始まりである。
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