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5 長谷川 祐一という男 (Side 祐一)

5 やってしまった ★

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 『日本の教育を担う諸君!じゃぁね~』

 終始ご機嫌の加藤先生を自宅まで見送って、それから俺のアパートまで回ってもらった。
こんな酔っ払い連中を最後まで見届けてくれるなんて、野中先生の心の広さにまたうるっとしそうだ。
 涙腺と鼻腔が繋がってるもんだから、鼻からつつ…っと出そうになるのをずず…っといったん吸い込んで、タクシーから下りようとした時だった。

 ガッ!

「‥‥ぃって!」
 タクシーのステップに足を引っかけてそのまま路上へ倒れ込んでしまった。
「長谷川先生?!」
 びっくりしたのは野中先生の方だろう。
無事に最後まで酔っ払いを見送った安堵感、と思いきや最後の最後にやってくれた俺。
 慌てて反対側から下りてきてうつ伏せて倒れている俺を支えてくれた。
「す…すみませぇん‥‥」
「かなり回ったみたいだね」
 不慣れなアルコールのせいで視界はぼんやりしてたけど、また笑った野中先生の顔が見えた気がした。
「長谷川先生、部屋はどこ?」
「えぇ…っとぉ‥‥だいじょぶです!歩うけます‥‥」
「ろれつが回ってないよぉ―?大丈夫じゃない。部屋まで連れてくから、ほら立って」
 強度のアルコールとタクシーの心地良い揺れで今度は睡魔が襲ってきたようだ。
 最後の最後まで手を煩わせてしまった。ほんと、ごめんなさい野中先生!





 少し酔いが醒めてきた?
我に返った時には後悔すでに遅し。
「ほんと、すみません!ごめんなさい!」
「大丈夫だよ。長谷川先生こそ、まだ大丈夫じゃないよね?」
 そうなんだけど‥‥
 野中先生には分かってた。
「あれだけ飲まされれば‥‥」
 く…って含んだ笑いで俺の方を見た。
「そ…そんなにぃ?!」
「心配したよ。なかなかトイレから帰ってこないから」
「でも、野中先生も飲まされてたでしょう?」
「そこは経験の差だね」
 って言いながらコップを持つような仕草でそれをひっくり返すようにして見せた。
「あああぁぁ!そういうこと?!」
 思わず声がでかくなってしまって、同時にきた頭痛。
「‥‥ん…っ」
「ほらね。大丈夫じゃない。少しだけお邪魔するよ」
 野中先生は自分ちみたいにして俺んちを物色し始めた。


 とりあえず「座ってて」と、俺んちなのに促されて居間にちょこんと座ってる。

 それから少しして野中先生は
「はい、水」
 独身住まいだからそれほど置いてる物もないから分かりやすかっただろうけど、コップに水を入れて持ってきてくれた。
「すみません‥‥」
 って、俺んちだけど。なんか誤ってた。
「明日が休みでよかった」
「はい‥‥」
 学校自体は夏季休暇中だから休みなんだけど、部活動には休みはないと言っていいくらいほぼ毎日、練習か他校との練習試合で日程は埋め尽くされていた。たまたま、明日は部活動も休みだったからよかったようなものだけど。

 テーブルに置かれたコップに手を伸ばして、一気に水を飲み干した。したせいもあって体内の水分が抜けてた感じ。喉を鳴らしながら水を呑み込む俺の様子が面白かったのか、野中先生は声にして笑ってた。
「はは…これでまた1つ、経験が増えたね」
 そう言いながら俺の横に座った。
「意外に、きれいにしてるんだね」
 部屋を見回しながらへぇって顔してる。
「意外って…それって俺のことけなしてるんですか?それとも褒めてるんですか?」
「…どっちも」
 って、冗談ぽく笑う。そんな野中先生の深い深い紺色の髪が揺れていた。
ちょっと見せた少年のような笑顔に、俺の想いは抑えられなくなった。

「野中先生―――‥‥」
 次の瞬間には、野中先生の両手首を押さえつけて馬乗りになってた。
もう、自分でもコントロールが効かない。
「はせ…?がわせん…せ?」
「俺、俺…先生のこと好きです!」
 きょとんとしてた。
 だよな。いきなり押し倒されて、告られて、俺だってわけ分かんなくなりそうだもん。
「酔ってると思ってます?」
「‥‥さぁ?」
「野中先生‥‥いい?」
「‥‥いいよ」
 その答えが、俺を沸騰させた。


 始めは軽くタッチする感じでキスをした。何度も、何度も。
野中先生を感じていたいから。
 俺の身体に野中先生の熱が伝わってきて、そこから加速してしまった。
「野…中先…生っ」
「‥‥ん、はぁ…」
 唇を舌先で押し広げて野中先生の口内を舌で掻き回す。
塞がれた唇の隙間から、熱くなった息が漏れた。
 少しだけ呼吸をした先生の舌が今度は俺の舌に絡みついてくる。
互いに熱くなる身体と荒くなる息づかい。
 むさぼるようにシャツを剥いで、露になった先生の胸に舌を這わす。
す…っと舌を滑らせていくと微かに舌先に突起物を感じた。
「ん…くふ…ぅ‥‥」
 ビクンって、先生の身体が撓る。
こんなにも熱く感じる人だなんて‥‥

 お互いのはもうすでに硬く硬く膨れ上がってた。ズボンの中にを押し込めたままで互いに腰を擦り合わせる。擦られるたびに俺も野中先生も気持ちよくなった。
「は…はぁ…野中…せんせ‥‥」
「‥‥ふ…ぅぅ…」
 
 もう、どっちが受けでどっちが攻めなんて、どうでもいい!
俺と野中先生は、下半身をさらに激しく擦り合わせた。
「あっ、あ…もう…だめ‥‥だ」
 先に俺がイってしまいそう。
 野中先生の両腕を自分の首に回して、俺は先生のズボンを剥ぐように脱がした。

 閉じ込められていた野中先生のモノが勢いよく顔を出してきたのに俺はヒートアップ。
先生の両太腿をぐいっと広げて、一気に自分のモノを入れてしまった。
「いっ‥‥!」
 加減もなく入れてしまったもんだから、痛さに先生がぎゅって瞼を硬くした。
「ご…ごめんなさ‥‥いい‥‥」
 って謝りながらも俺は野中先生のを無理やりこじ開けて根元まで押し込んだ。
野中先生のは柔らかくて、あったかくて、気持ちよすぎだ。
 理性なんて、こんな時にあるもんか。
「野中せん…せ‥‥っ!」
 強く、強く野中先生の腰を突き上げる。

 俺と先生の息づかいだけが部屋中に響いた。

 野中先生への想いと俺の欲液が溢れ出た――――

「っはぁ…はっ…はぁぁ‥‥」
 呼吸するのも忘れてたくらいにイってしまった俺に
「…ん…んふぅ―――‥‥今度は僕がお返ししていいかな?」
 ってまだ火照った顔つきで野中先生が吐息交じりの声でそう言った。


 なんか‥‥成り行きでこうなってしまったような。
でも、互いに肌を感じて、求めて、繋ぎ合った。






 俺が我に返ったのは―――


「…ん…ん―――っ‥‥んん?」

 身体はルーティンを覚えてるらしく、朝、いつもの時間に目が覚めた。

 と、隣に全裸で寝てるのはぁぁぁ?!

 はぁぁ‥‥やってしまったぁ。

 昨夜の野中先生とのエッチなことが脳裏をよぎる。
(俺…こんなことして‥‥あんなことして‥‥)
 自分がやってしまったことに頭を抱えて髪をクシャクシャに掻いた。

 でも、野中先生も嫌じゃなかった?‥‥よな?

 そんなこんなで、俺と野中先生との秘密?のお付き合いはこの時から始まった。


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