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二 充稀 10years
体育って嫌い
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僕を変わった目で見てくる。
それは、小学五年生の時から始まった。
今まで何も変わらずいつものように接してくれてた友達が、急に僕を変な奴みたいに見るようになったんだ。僕はなに一つ変わらないのに、僕の周りが変わり始めたんだろうか?大体、思春期って早いうちでもこのくらいの年頃から始まるってことも聞いたことはあるけど、そうだよ。そうなんだよ、きっと。そう思うようにした。
体育の授業があった日だった。
僕の小学校は男女別々で更衣するようになってたから、男子は体育館内にある倉庫、っていっても部活生が使ってるちゃんとしたロッカーも設備されてるとこなんだけど、端にはパイプ椅子が整列してるかのようにきちんと並べられてた。
授業終了のチャイムの後に自分のロッカーから体操服入れの巾着袋を取り出して、体育館に移動しようとしてた時、
「充稀は、着替えんの教室だろ?」
「ははは・・・・!」
「いいよなぁ充稀は。わざわざ移動しなくっていいから!」
「はははは・・・・・!」
って、茶化した奴の後に大勢で笑ってくる。
そんな冷やかしを背中に、僕はぐっと巾着袋を握り締めて教室を出た。
それからが始まりだった。
体操服に着替えたら着替えたで、決まって始めに茶化す奴ってこいつなんだよなって奴が、
「うわっ、充稀、ほそっ!」
僕の腕や足を順繰りに上から下まで見てきて、急に引っ張られたかと思ったら親指と中指で僕の腕の太さを測るみたいにして強く力を入れる。
「こんなんでお前、走れるの?」
「離して」
「え?なに?聞こえな~い!」
「ははっははは・・・・・」
また大勢で笑うんだ。
その周辺に集まってた女子も一応、遠慮がちに「クスクス・・・」って笑ってた。
この前の体育の授業の時なんか、長距離走だったけど(ま、僕も走るの好きな方じゃないし、長距離走なんてめまいがする・・・)始めは女子からのスタートだったんだけど、
「ほら!充稀!」
どんっ、て背中押されて半分転びそうな状態で女子が並んでる集団の中に突っ込まれた感じになった。
すぐにさわさわする女子の声が僕の頭の周りを飛び交った。
突然、突っ込んできた僕に驚いた先生の硬い声が頭の上に落ちてきた。
「新田、何やってんだ?!」
そんなこと・・・僕だって聞きたいさ。どうして僕がこんなことされてるのか。
そのまま何も言う気にもなれなくて俯いたまま誤魔化した。
「気分悪いです」
そう言えば行くところは決まってる。
保健室のベッドに横になってた。別にほんとにどうかあるわけでも、熱があったわけでもないけど、あの集団の中にいることが嫌だった。
さっき保健の先生がちらって顔を覗かせて横向きに寝てた僕の背後から優しく声をかけてくれた。
「先生、授業に出るけど・・・どうしても気分悪かったらお母さんかお父さんに連絡しようか?」
こんな僕にでも優しく声をかけてくれる人はいたんだね。
「大丈夫です。もう少ししたら教室に帰ります」
「・・・そぉ?無理しないようにね」
そう言い残して先生は保健体育の授業があるらしく出てった。
ほんわりフラワー系の香りがした。
僕にとって体育の授業は苦痛でしかなかった。
それは、小学五年生の時から始まった。
今まで何も変わらずいつものように接してくれてた友達が、急に僕を変な奴みたいに見るようになったんだ。僕はなに一つ変わらないのに、僕の周りが変わり始めたんだろうか?大体、思春期って早いうちでもこのくらいの年頃から始まるってことも聞いたことはあるけど、そうだよ。そうなんだよ、きっと。そう思うようにした。
体育の授業があった日だった。
僕の小学校は男女別々で更衣するようになってたから、男子は体育館内にある倉庫、っていっても部活生が使ってるちゃんとしたロッカーも設備されてるとこなんだけど、端にはパイプ椅子が整列してるかのようにきちんと並べられてた。
授業終了のチャイムの後に自分のロッカーから体操服入れの巾着袋を取り出して、体育館に移動しようとしてた時、
「充稀は、着替えんの教室だろ?」
「ははは・・・・!」
「いいよなぁ充稀は。わざわざ移動しなくっていいから!」
「はははは・・・・・!」
って、茶化した奴の後に大勢で笑ってくる。
そんな冷やかしを背中に、僕はぐっと巾着袋を握り締めて教室を出た。
それからが始まりだった。
体操服に着替えたら着替えたで、決まって始めに茶化す奴ってこいつなんだよなって奴が、
「うわっ、充稀、ほそっ!」
僕の腕や足を順繰りに上から下まで見てきて、急に引っ張られたかと思ったら親指と中指で僕の腕の太さを測るみたいにして強く力を入れる。
「こんなんでお前、走れるの?」
「離して」
「え?なに?聞こえな~い!」
「ははっははは・・・・・」
また大勢で笑うんだ。
その周辺に集まってた女子も一応、遠慮がちに「クスクス・・・」って笑ってた。
この前の体育の授業の時なんか、長距離走だったけど(ま、僕も走るの好きな方じゃないし、長距離走なんてめまいがする・・・)始めは女子からのスタートだったんだけど、
「ほら!充稀!」
どんっ、て背中押されて半分転びそうな状態で女子が並んでる集団の中に突っ込まれた感じになった。
すぐにさわさわする女子の声が僕の頭の周りを飛び交った。
突然、突っ込んできた僕に驚いた先生の硬い声が頭の上に落ちてきた。
「新田、何やってんだ?!」
そんなこと・・・僕だって聞きたいさ。どうして僕がこんなことされてるのか。
そのまま何も言う気にもなれなくて俯いたまま誤魔化した。
「気分悪いです」
そう言えば行くところは決まってる。
保健室のベッドに横になってた。別にほんとにどうかあるわけでも、熱があったわけでもないけど、あの集団の中にいることが嫌だった。
さっき保健の先生がちらって顔を覗かせて横向きに寝てた僕の背後から優しく声をかけてくれた。
「先生、授業に出るけど・・・どうしても気分悪かったらお母さんかお父さんに連絡しようか?」
こんな僕にでも優しく声をかけてくれる人はいたんだね。
「大丈夫です。もう少ししたら教室に帰ります」
「・・・そぉ?無理しないようにね」
そう言い残して先生は保健体育の授業があるらしく出てった。
ほんわりフラワー系の香りがした。
僕にとって体育の授業は苦痛でしかなかった。
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