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第4話 小道
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カフェから出ると、外はすっかり暑さが和らいでいた。
帰りに、巣ごもり用の食料を買うために、隣駅と家の間くらいの場所にあるスーパーに寄った。
これだけ暑いと、アイスも買い込みたくなるな
必要な食料品の他に、気になったアイスを手当たり次第カゴに入れて、レジへと向かう。
手持ちのエコバッグじゃ全部入りきれそうもなく、ビニール袋を一枚追加した。
スーパーにくると、どうも気持ちが大きくなって買いすぎてしまう。
でも、コンビニに比べたら安いから
買い込んでおいて損はない。
両手にアイスや菓子パン、冷凍食品の入った袋を持って、また数時間前に通った道を歩く。
すると、行きには気付かなかった小道が、ふと目に入る。
こんなところに道あったっけ?
何度も通ったことがある道のはずなのに、こんなところに道があるなんて気づかなかった。
どうもその小道が気になって、覗き込んでみる。両側が草の垣根で囲われていて、どこか別の世界に繋がっていそうな雰囲気がした。
どこに繋がってるんだろう
そんなちょっとした好奇心で足を踏み入れる。
地面は石畳のようになっていて、奥に行けば行くほど、なんだか不思議な空気感に包み込まれる。
ふと視線を下げると、小道の途中に何か丸まっているものが目に入った。
影になっていてよく見えない。猫だろうか?
そのままゆっくり近づいてみると、猫ではなく、人がしゃがみこんでいるようだった。
真っ黒なシャツと真っ黒なズボンを穿いていて、まるで影と一体化している。
白に近い銀色のメッシュが前髪の一部に入っていて、他が黒ばかりだからやけに目立っていた。
それだけじゃない、黒い服から覗いている青白い肌も、浮き立って見える。
俯いた顔でもハッキリとわかるキレイな横顔に、思わず心臓がドクンと脈をうった。
年齢は……20歳くらいだろうか?
「あの~……大丈夫ですか?」
いかにも具合が悪そうで、無視するわけにもいかずおそるおそる声をかけてみる
「……ッ!」
声をかけたことで私の気配に気づいたのか
彼はビクッと身体を震わせ、私を見上げた。
「近寄るなッ!!」
そう言って、私のことを睨みつける彼の瞳は
「えっ――」
赤く光ったように見えた。
いや、まあ。赤い目のうさぎだっているんだから、赤い目の人くらい世界のどこかにはいるだろう……。
っていうか、カラコンじゃない?
そうだよ、カラコンだ。
若い子の間では当たり前だもんね。
赤く見えた瞳に、心の中でプチパニックを起こしながらも、ひとまず助けてあげなきゃという気持ちが大きくなってくる
「あの、でも具合悪そうで……」
「うるさい! 黙れ! それ以上近づいたら食うぞ! 」
く、食うぞ?
殴るぞ! ぶっ殺すぞ! ならわかるけど
食うぞ?
本当は恐がらなきゃいけないところなんだろうけど想像の斜め上をいく返答に、思わず笑いがこみあげてしまう
「く、食わないでください……ただ、具合が悪いなら救急車を……」
「放っておけ! なんでもない!」
この子から出てくる言葉が、いちいちツボに刺さる。
アニメでしか見たことないんだけど「放っておけ」なんて言葉。
もしかしてあれかな? 何かのアニメのコスプレイヤーさんなのかもしれない。
「頭痛いとか? お腹? お水飲みますか?」
「近寄るなと言っているだろう…!」
「いや、でも、お家はこのへんですか?」
「うるさいッ……!」
心配する私の言葉を遮るように、覆い隠すように両腕で頭を抱えこむ。
どこか息遣いも荒いように感じるし……
もしかして、なにか発作とか?
「ちょっ……大丈夫!?」
「ハァッ……触るなッ……近づくなッ……」
両手に持っていた荷物をその場に置いて、駆け寄ると、私の腕を振り払おうとして、その場に倒れ込んでしまった。
「ちょっと! 救急車!」
慌ててポケットからスマホを取り出そうとすると、さっきよりも青白く感じる手がのびてきて、私の手からスマホを奪った。
その触れられた手があまりに冷たくて、一瞬へんな声が出そうになる。
っていうか、さっきまで髪の毛黒かったよね? なんで今、ほとんど銀髪になっているの……。
早く救急車を呼ばなくちゃって焦る気持ちと
目の前でだんだんと人間離れしていく彼の姿に、私の息まで上がっていく。
――ビュン
「ひゃっ」
何故だかわからないけど、彼の苦しそうな呼吸と共鳴するように、私も過呼吸にでもなりそうなくらい呼吸が苦しくなってくる。
そしてどこからともなく、すごい速さで黒い何かが飛んできた瞬間――
辺りがフワッと甘い香りに包まれて
急に視界が真っ白になった――
帰りに、巣ごもり用の食料を買うために、隣駅と家の間くらいの場所にあるスーパーに寄った。
これだけ暑いと、アイスも買い込みたくなるな
必要な食料品の他に、気になったアイスを手当たり次第カゴに入れて、レジへと向かう。
手持ちのエコバッグじゃ全部入りきれそうもなく、ビニール袋を一枚追加した。
スーパーにくると、どうも気持ちが大きくなって買いすぎてしまう。
でも、コンビニに比べたら安いから
買い込んでおいて損はない。
両手にアイスや菓子パン、冷凍食品の入った袋を持って、また数時間前に通った道を歩く。
すると、行きには気付かなかった小道が、ふと目に入る。
こんなところに道あったっけ?
何度も通ったことがある道のはずなのに、こんなところに道があるなんて気づかなかった。
どうもその小道が気になって、覗き込んでみる。両側が草の垣根で囲われていて、どこか別の世界に繋がっていそうな雰囲気がした。
どこに繋がってるんだろう
そんなちょっとした好奇心で足を踏み入れる。
地面は石畳のようになっていて、奥に行けば行くほど、なんだか不思議な空気感に包み込まれる。
ふと視線を下げると、小道の途中に何か丸まっているものが目に入った。
影になっていてよく見えない。猫だろうか?
そのままゆっくり近づいてみると、猫ではなく、人がしゃがみこんでいるようだった。
真っ黒なシャツと真っ黒なズボンを穿いていて、まるで影と一体化している。
白に近い銀色のメッシュが前髪の一部に入っていて、他が黒ばかりだからやけに目立っていた。
それだけじゃない、黒い服から覗いている青白い肌も、浮き立って見える。
俯いた顔でもハッキリとわかるキレイな横顔に、思わず心臓がドクンと脈をうった。
年齢は……20歳くらいだろうか?
「あの~……大丈夫ですか?」
いかにも具合が悪そうで、無視するわけにもいかずおそるおそる声をかけてみる
「……ッ!」
声をかけたことで私の気配に気づいたのか
彼はビクッと身体を震わせ、私を見上げた。
「近寄るなッ!!」
そう言って、私のことを睨みつける彼の瞳は
「えっ――」
赤く光ったように見えた。
いや、まあ。赤い目のうさぎだっているんだから、赤い目の人くらい世界のどこかにはいるだろう……。
っていうか、カラコンじゃない?
そうだよ、カラコンだ。
若い子の間では当たり前だもんね。
赤く見えた瞳に、心の中でプチパニックを起こしながらも、ひとまず助けてあげなきゃという気持ちが大きくなってくる
「あの、でも具合悪そうで……」
「うるさい! 黙れ! それ以上近づいたら食うぞ! 」
く、食うぞ?
殴るぞ! ぶっ殺すぞ! ならわかるけど
食うぞ?
本当は恐がらなきゃいけないところなんだろうけど想像の斜め上をいく返答に、思わず笑いがこみあげてしまう
「く、食わないでください……ただ、具合が悪いなら救急車を……」
「放っておけ! なんでもない!」
この子から出てくる言葉が、いちいちツボに刺さる。
アニメでしか見たことないんだけど「放っておけ」なんて言葉。
もしかしてあれかな? 何かのアニメのコスプレイヤーさんなのかもしれない。
「頭痛いとか? お腹? お水飲みますか?」
「近寄るなと言っているだろう…!」
「いや、でも、お家はこのへんですか?」
「うるさいッ……!」
心配する私の言葉を遮るように、覆い隠すように両腕で頭を抱えこむ。
どこか息遣いも荒いように感じるし……
もしかして、なにか発作とか?
「ちょっ……大丈夫!?」
「ハァッ……触るなッ……近づくなッ……」
両手に持っていた荷物をその場に置いて、駆け寄ると、私の腕を振り払おうとして、その場に倒れ込んでしまった。
「ちょっと! 救急車!」
慌ててポケットからスマホを取り出そうとすると、さっきよりも青白く感じる手がのびてきて、私の手からスマホを奪った。
その触れられた手があまりに冷たくて、一瞬へんな声が出そうになる。
っていうか、さっきまで髪の毛黒かったよね? なんで今、ほとんど銀髪になっているの……。
早く救急車を呼ばなくちゃって焦る気持ちと
目の前でだんだんと人間離れしていく彼の姿に、私の息まで上がっていく。
――ビュン
「ひゃっ」
何故だかわからないけど、彼の苦しそうな呼吸と共鳴するように、私も過呼吸にでもなりそうなくらい呼吸が苦しくなってくる。
そしてどこからともなく、すごい速さで黒い何かが飛んできた瞬間――
辺りがフワッと甘い香りに包まれて
急に視界が真っ白になった――
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