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第六章 姦姦蛇螺編
第323話
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「嫌いではない……」
誤魔化した。
好意はある。
だが、それは男女間の好き嫌いで言えば、好きという範疇なわけで――、つまり好きということだが……。
俺には、そんな言葉を語って良い資格なんてある訳がない。
そもそも、一度は、都を殺されておいて――、守れなくて――、その結果に今があるのだ。
好きなんて言葉を彼女に語るなんて罪深き事が許されるわけがない。
「むーっ」
「とりあえず、さっさと帰るぞ」
俺の腕に絡めていた都の腕から自身の腕を器用に引き抜き、都の頭を撫でたあと、俺は歩き出す。
「ま、待ってよ! 優斗!」
それにしても、この世界の都は、どうして、ここまで積極的なんだ……。
俺が知っている都は、友人ではあったが、ここまで積極的にアタックしてくるような彼女ではなかったはずだが……。
都を自宅まで送り帰路に着いた俺は自宅のドアを開ける。
「ただいまー」
誰からの返事もない。
理由は簡単。
エリカは、妹の護衛に。
白亜は、都の護衛に付いているからだ。
つまり、自宅には俺しかいない事になるわけで――。
「風呂でも入るか」
湯舟に身体を沈めたあと、瞼を閉じる。
そして、魔王軍と戦った際に破損した肉体の状況を確認していくが50%ほど回復したようだ。
問題は、生体エネルギーが不足している点。
莫大な力を使ったために人間が本来有している生体エネルギーがほぼ枯渇している状況で、今は食事で徐々に回復している状態だが、戦闘になった場合に、戦えるのは1分が限度と言ったところだろう。
「食べ放題にいくか……」
食物からの摂取は効率が悪いが、それしかないだろう。
地脈から力を回収してもいいが、そうした場合、その地域は砂漠地帯になるからな。
「ふう、やれやれ――。ご主人様の御背中を流すことができないとは――」
一人、風呂に浸かりながら考えていたところで、脱衣場の方から白亜の声が。
「白亜か?」
「さようです。ご主人様の夕餉を作るために戻ってまいりました」
「都の護衛を任せたはずだが?」
「妾の式に任せておりますゆえ」
「式って式神のことか。式神で大丈夫なのか?」
「妾の身体の一部ゆえ、その力は天狐と同等ですのじゃ」
「なるほど。よく分からん」
「以前の、妾の力は白狐の神格でありましたが、その数倍の力を有していると思ってくれればよいのじゃ」
「ほー」
曇りガラス一枚を隔てたところで、白亜が説明をしてくる。
「それじゃ、かなり強いな」
「うむ。少なくとも、以前の妾達を襲撃してきた呪物を取り込む前の奴程度であるのなら、十分に時間が稼げるのじゃ」
「なるほどな……」
「それに妾の身体の一部ですので、感覚も共有しているのじゃ」
それは便利だな。
「つまり、もう一人の白亜が、都の護衛に付いているみたいなものか?」
「そうなるのですじゃ」
「便利な機能だな」
「ご主人様と契約した賜物なのですじゃ」
「そうか。あ――、白亜」
「どうかしたので?」
「今日は、外食にいくから夕食は作らなくていいぞ」
「外食というのは、レストランというところで食事をする場所ですか?」
「そんなモノだ」
何だかんだ言って、白亜は、この世界のことを色々と知っているよな。
まぁ多少は体感時間には差があるが。
誤魔化した。
好意はある。
だが、それは男女間の好き嫌いで言えば、好きという範疇なわけで――、つまり好きということだが……。
俺には、そんな言葉を語って良い資格なんてある訳がない。
そもそも、一度は、都を殺されておいて――、守れなくて――、その結果に今があるのだ。
好きなんて言葉を彼女に語るなんて罪深き事が許されるわけがない。
「むーっ」
「とりあえず、さっさと帰るぞ」
俺の腕に絡めていた都の腕から自身の腕を器用に引き抜き、都の頭を撫でたあと、俺は歩き出す。
「ま、待ってよ! 優斗!」
それにしても、この世界の都は、どうして、ここまで積極的なんだ……。
俺が知っている都は、友人ではあったが、ここまで積極的にアタックしてくるような彼女ではなかったはずだが……。
都を自宅まで送り帰路に着いた俺は自宅のドアを開ける。
「ただいまー」
誰からの返事もない。
理由は簡単。
エリカは、妹の護衛に。
白亜は、都の護衛に付いているからだ。
つまり、自宅には俺しかいない事になるわけで――。
「風呂でも入るか」
湯舟に身体を沈めたあと、瞼を閉じる。
そして、魔王軍と戦った際に破損した肉体の状況を確認していくが50%ほど回復したようだ。
問題は、生体エネルギーが不足している点。
莫大な力を使ったために人間が本来有している生体エネルギーがほぼ枯渇している状況で、今は食事で徐々に回復している状態だが、戦闘になった場合に、戦えるのは1分が限度と言ったところだろう。
「食べ放題にいくか……」
食物からの摂取は効率が悪いが、それしかないだろう。
地脈から力を回収してもいいが、そうした場合、その地域は砂漠地帯になるからな。
「ふう、やれやれ――。ご主人様の御背中を流すことができないとは――」
一人、風呂に浸かりながら考えていたところで、脱衣場の方から白亜の声が。
「白亜か?」
「さようです。ご主人様の夕餉を作るために戻ってまいりました」
「都の護衛を任せたはずだが?」
「妾の式に任せておりますゆえ」
「式って式神のことか。式神で大丈夫なのか?」
「妾の身体の一部ゆえ、その力は天狐と同等ですのじゃ」
「なるほど。よく分からん」
「以前の、妾の力は白狐の神格でありましたが、その数倍の力を有していると思ってくれればよいのじゃ」
「ほー」
曇りガラス一枚を隔てたところで、白亜が説明をしてくる。
「それじゃ、かなり強いな」
「うむ。少なくとも、以前の妾達を襲撃してきた呪物を取り込む前の奴程度であるのなら、十分に時間が稼げるのじゃ」
「なるほどな……」
「それに妾の身体の一部ですので、感覚も共有しているのじゃ」
それは便利だな。
「つまり、もう一人の白亜が、都の護衛に付いているみたいなものか?」
「そうなるのですじゃ」
「便利な機能だな」
「ご主人様と契約した賜物なのですじゃ」
「そうか。あ――、白亜」
「どうかしたので?」
「今日は、外食にいくから夕食は作らなくていいぞ」
「外食というのは、レストランというところで食事をする場所ですか?」
「そんなモノだ」
何だかんだ言って、白亜は、この世界のことを色々と知っているよな。
まぁ多少は体感時間には差があるが。
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