319 / 330
第六章 姦姦蛇螺編
第318話
しおりを挟む
「ふむ……」と、意味深ありな目で妹の方を見る白亜の頭を掴み力を加えていく。
「イタっ! イタタタタタッ! ご主人様、力を入れすぎなのじゃー!」
「まったく、お前は――」
溜息をつきながら手を離す。
そんなアホなことをしていると、エリカが食事をテーブルの上に並べていた。
「今日もエリカが作ったのか?」
「うん。師匠でありマスターの食事を作るのは弟子の役割と見た事ある」
「そ、そうか……」
「そう。それに家族の食事を作るのは女の仕事」
「こ、今度は、妾も作るじゃ!」
「胡桃も作るから!」
「――いや、そこは当番制でいいんじゃないのか?」
「お兄ちゃんは、いいから!」
「うむ。ご主人様は、座っていればいいのだ」
「マスターの食事を作るのは、私の仕事」
「一応、俺も異世界では料理人として、少しの間、働いていたことがあったんだが……」
冒険者の仕事でも調理場のクエストもあったからな。
まぁ、余計なことを言う必要もないか。
夕飯を用意してくれている間に、俺は自室からノートパソコンを持ってくると、ソファーに座り電源を入れる。
「お兄ちゃん、何か探し物なの?」
隣に座ってきた妹が、身を乗り出すような形で、俺が操作しているノートパソコンの画面を見てくる。
「ああ。白亜やエリカも一緒に暮らすようになったからな。4人だと、さすがに公団住宅だと手狭だし家を買おうと思っている」
「そういえば、お兄ちゃんは高給取りだもんね」
「これは、マスターが私を娶る準備するということ?」
「エリカは、少し落ち着こうか?」
テーブルの上に、フォークやナイフを並べていたエリカが目を輝かせながら、物騒なフレーズを口にしていたので、一応、注意しておく。
「妾は、いつでもバッチこいじゃ!」
「お前は、エリカの手伝いをしていろ」
「しょぼーんなのじゃ……」
「ネットスラングを使う妖狐とか、どうなんだ……」
思わずツッコミを入れつつ、パソコンで検索をかけていく。
場所としては、妹が通っている高校から近く駅からも近い場所。
あとは、それなりに規模の大きい家が好ましい。
「もう少し、大きい家がいいな……」
「大きい家って、お兄ちゃんが見ている家、すごい大きいけど! 価格も、すごいの!」
「ほうほう」
エリカの手伝いの為に食器を並べていた白亜も気になったのか、ソファーに座っていた俺の横に座る。
図らずしも、それは妹とは俺を挟んだ反対側で――。
「2億5000万円とな……。中々に高額ではあるのう」
「白亜は、お金の価値を知っているのか?」
「馬鹿にするではない。実際に、妾も小判などを量産して買い物をしていた事があるからのう」
「お前……、それは本物の金を使っていたとしても偽造だからな。二度とするなよ?」
「分かっておる。そのような事くらいは、妹君から聞いておるのじゃ」
「まったく……」
「お兄ちゃん。今って、貯金はいくらくらいあるの?」
「3000億円くらいはあるな」
「――え!?」
俺の言葉に呆気にとられる妹は口をあんぐりと開いたままフリーズする。
「さすがはご主人様なのじゃ」
「マスター、それは日本政府から巻き上げたお金?」
「巻き上げたんじゃない。正当な報酬だ」
「お兄ちゃん!」
「どうした?」
「少し生活費に入れて! 電気、水道光熱費とか、そろそろヤバイから!」
「そういえば、そうだったな……」
都の父親が言っていた両親が死んだというのが本当なら、両親が失踪してから生活費が振り込まれなくなっていたのは納得ができる。
それにしても、後見人となっているのなら、きちんと生活費くらい出して欲しいモノだと思うが、その辺は、記憶が欠落している所で、【何か話し合いがあったんだろうな】と推測するだけして妹には確認しない事にする。
「分かった。明日、振り込みしておく」
「うん、ありがとう。お兄ちゃん」
「胡桃」
「何?」
「胡桃は、どんな家に住みたいとか、そういう要望はあったりするか?」
「うーん。お兄ちゃんと一緒なら、どこでもいいの!」
「そ、そうか……」
「イタっ! イタタタタタッ! ご主人様、力を入れすぎなのじゃー!」
「まったく、お前は――」
溜息をつきながら手を離す。
そんなアホなことをしていると、エリカが食事をテーブルの上に並べていた。
「今日もエリカが作ったのか?」
「うん。師匠でありマスターの食事を作るのは弟子の役割と見た事ある」
「そ、そうか……」
「そう。それに家族の食事を作るのは女の仕事」
「こ、今度は、妾も作るじゃ!」
「胡桃も作るから!」
「――いや、そこは当番制でいいんじゃないのか?」
「お兄ちゃんは、いいから!」
「うむ。ご主人様は、座っていればいいのだ」
「マスターの食事を作るのは、私の仕事」
「一応、俺も異世界では料理人として、少しの間、働いていたことがあったんだが……」
冒険者の仕事でも調理場のクエストもあったからな。
まぁ、余計なことを言う必要もないか。
夕飯を用意してくれている間に、俺は自室からノートパソコンを持ってくると、ソファーに座り電源を入れる。
「お兄ちゃん、何か探し物なの?」
隣に座ってきた妹が、身を乗り出すような形で、俺が操作しているノートパソコンの画面を見てくる。
「ああ。白亜やエリカも一緒に暮らすようになったからな。4人だと、さすがに公団住宅だと手狭だし家を買おうと思っている」
「そういえば、お兄ちゃんは高給取りだもんね」
「これは、マスターが私を娶る準備するということ?」
「エリカは、少し落ち着こうか?」
テーブルの上に、フォークやナイフを並べていたエリカが目を輝かせながら、物騒なフレーズを口にしていたので、一応、注意しておく。
「妾は、いつでもバッチこいじゃ!」
「お前は、エリカの手伝いをしていろ」
「しょぼーんなのじゃ……」
「ネットスラングを使う妖狐とか、どうなんだ……」
思わずツッコミを入れつつ、パソコンで検索をかけていく。
場所としては、妹が通っている高校から近く駅からも近い場所。
あとは、それなりに規模の大きい家が好ましい。
「もう少し、大きい家がいいな……」
「大きい家って、お兄ちゃんが見ている家、すごい大きいけど! 価格も、すごいの!」
「ほうほう」
エリカの手伝いの為に食器を並べていた白亜も気になったのか、ソファーに座っていた俺の横に座る。
図らずしも、それは妹とは俺を挟んだ反対側で――。
「2億5000万円とな……。中々に高額ではあるのう」
「白亜は、お金の価値を知っているのか?」
「馬鹿にするではない。実際に、妾も小判などを量産して買い物をしていた事があるからのう」
「お前……、それは本物の金を使っていたとしても偽造だからな。二度とするなよ?」
「分かっておる。そのような事くらいは、妹君から聞いておるのじゃ」
「まったく……」
「お兄ちゃん。今って、貯金はいくらくらいあるの?」
「3000億円くらいはあるな」
「――え!?」
俺の言葉に呆気にとられる妹は口をあんぐりと開いたままフリーズする。
「さすがはご主人様なのじゃ」
「マスター、それは日本政府から巻き上げたお金?」
「巻き上げたんじゃない。正当な報酬だ」
「お兄ちゃん!」
「どうした?」
「少し生活費に入れて! 電気、水道光熱費とか、そろそろヤバイから!」
「そういえば、そうだったな……」
都の父親が言っていた両親が死んだというのが本当なら、両親が失踪してから生活費が振り込まれなくなっていたのは納得ができる。
それにしても、後見人となっているのなら、きちんと生活費くらい出して欲しいモノだと思うが、その辺は、記憶が欠落している所で、【何か話し合いがあったんだろうな】と推測するだけして妹には確認しない事にする。
「分かった。明日、振り込みしておく」
「うん、ありがとう。お兄ちゃん」
「胡桃」
「何?」
「胡桃は、どんな家に住みたいとか、そういう要望はあったりするか?」
「うーん。お兄ちゃんと一緒なら、どこでもいいの!」
「そ、そうか……」
0
お気に入りに追加
109
あなたにおすすめの小説
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。
なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。
しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。
探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。
だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。
――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。
Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。
Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。
それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。
失意の内に意識を失った一馬の脳裏に
――チュートリアルが完了しました。
と、いうシステムメッセージが流れる。
それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。
いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成!
この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。
戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。
これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。
彼の行く先は天国か?それとも...?
誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。
小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中!
現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる