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第六章 姦姦蛇螺編
第294話 第三者Side
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褐色の肌を持つ女の周囲は、見渡す限り暗闇に閉ざされていた。
そして――、そんな女の近くには一人の白人の男が、転がされていた。
男は、息も絶え絶えであり、いつ命を失ってもおかしくない状況であった。
「この我を同胞を救うとは、どういう了見か? 異世界の者よ」
さらに、男の傍には、一人の女が立っていた。
青白い肌に青い髪をした20代後半の女性。
「別に――」
「我を救ったという事は何か交渉をしたいと考えていると思っておったが?」
「そう思ってくれるのなら力を貸してくれるだけでいい」
「ほう。それは自主的に力を貸して欲しいということか?」
「そうね」
無表情なまま口を動かす褐色の肌の女は、齢20代前半に見えた。
人とは思えないほど整った容姿に肉体――、同性であっても魅了される程のものであり、それを真正面から見据えている青い髪の女も、同レベルの美女であり――、
「イシス。お前の望を聞かせてもらおうか?」
「簡単なことよ。日本と言う島国の八百万を皆殺しにして欲しいのよね」
「ほう……。最古の神々を――、本来の――、精霊信仰を根源とする神々を皆殺しにして欲しいとは大きく出たものだな」
「アナタなら出来ると思っているわ」
「ふむ。まぁ、容易ではないが――」
青い髪をした青白い肌を持つ女は、足元に転がっている男の腕を踏みつけ軽く力を入れる。
それだけで、男は絶叫し――、男の右腕は塩の塊のように白く染まり砕け散る。
「まぁ、よい。イシス、お前には、同胞を助けてもらった恩もあるからな。力を貸すとしよう」
「それは助かるわ。アザトース」
「ふん。だが――、どうして、あのような島国に固執する? 他に浄化しなければいけない場所があるであろうに」
女の言葉に、イシスが笑みを浮かべるだけ。
「まぁよい。恩義には恩で報いよう。貴様にも何かしらの考えがあるのであろう?」
「そうですわ。人間は浄化しなければいけない不完全な生き物ですから」
「それが本当であるのなら――よいがの」
肩を竦めるイシス。
「食えん死霊だ」
そう呟くアザトースに一瞬だけ殺気を向けたイシスに――、
「感情というのは、交渉の上では必要であるぞ? イシス」
そう語ると倒れている男の頭を掴み持ち上げると共に、アザトースは、その場から姿を消す。
「イシス様」
「ブレスウェル、ディアモルドは?」
「ディアモルドですが、痕跡だけは発見することが出来ました」
「痕跡だけ?」
「はっ。こちらをご覧ください。人間の資料になります」
「これは……」
イシスが目を通した一枚の写真。
そこには、白髪と化した桂木優斗が映っていた。
「なるほど……。ディアモルド程度では、話にならないという訳か」
「――と、申しますと?」
「ブレスウェル。お前は、決っして、この化け物には手を出すな」
「何故ですか? たかが人間では――」
「たかが人間か……。お前は、何も分かっておらんな」
「何も?」
そのブレスウェルの問いかけに答えることもなく無表情で、写真を握りしめ斜面を登っていくイシス。
そして斜面を登りきったところで、視界が開ける。
イシスの正面には、地球が存在していた。
彼女が居る場所は、月面のクレーターであった。
「理性を失った狂気の神殺しの化物――、まさか……、世界を破壊した貴様が、この世界に来ているとは思っても見なかったぞ?」
イシスは、笑みを浮かべる。
彼女の瞳には、憎しみと狂気を綯交ぜにした光が煌々と灯っていた。
そして――、そんな女の近くには一人の白人の男が、転がされていた。
男は、息も絶え絶えであり、いつ命を失ってもおかしくない状況であった。
「この我を同胞を救うとは、どういう了見か? 異世界の者よ」
さらに、男の傍には、一人の女が立っていた。
青白い肌に青い髪をした20代後半の女性。
「別に――」
「我を救ったという事は何か交渉をしたいと考えていると思っておったが?」
「そう思ってくれるのなら力を貸してくれるだけでいい」
「ほう。それは自主的に力を貸して欲しいということか?」
「そうね」
無表情なまま口を動かす褐色の肌の女は、齢20代前半に見えた。
人とは思えないほど整った容姿に肉体――、同性であっても魅了される程のものであり、それを真正面から見据えている青い髪の女も、同レベルの美女であり――、
「イシス。お前の望を聞かせてもらおうか?」
「簡単なことよ。日本と言う島国の八百万を皆殺しにして欲しいのよね」
「ほう……。最古の神々を――、本来の――、精霊信仰を根源とする神々を皆殺しにして欲しいとは大きく出たものだな」
「アナタなら出来ると思っているわ」
「ふむ。まぁ、容易ではないが――」
青い髪をした青白い肌を持つ女は、足元に転がっている男の腕を踏みつけ軽く力を入れる。
それだけで、男は絶叫し――、男の右腕は塩の塊のように白く染まり砕け散る。
「まぁ、よい。イシス、お前には、同胞を助けてもらった恩もあるからな。力を貸すとしよう」
「それは助かるわ。アザトース」
「ふん。だが――、どうして、あのような島国に固執する? 他に浄化しなければいけない場所があるであろうに」
女の言葉に、イシスが笑みを浮かべるだけ。
「まぁよい。恩義には恩で報いよう。貴様にも何かしらの考えがあるのであろう?」
「そうですわ。人間は浄化しなければいけない不完全な生き物ですから」
「それが本当であるのなら――よいがの」
肩を竦めるイシス。
「食えん死霊だ」
そう呟くアザトースに一瞬だけ殺気を向けたイシスに――、
「感情というのは、交渉の上では必要であるぞ? イシス」
そう語ると倒れている男の頭を掴み持ち上げると共に、アザトースは、その場から姿を消す。
「イシス様」
「ブレスウェル、ディアモルドは?」
「ディアモルドですが、痕跡だけは発見することが出来ました」
「痕跡だけ?」
「はっ。こちらをご覧ください。人間の資料になります」
「これは……」
イシスが目を通した一枚の写真。
そこには、白髪と化した桂木優斗が映っていた。
「なるほど……。ディアモルド程度では、話にならないという訳か」
「――と、申しますと?」
「ブレスウェル。お前は、決っして、この化け物には手を出すな」
「何故ですか? たかが人間では――」
「たかが人間か……。お前は、何も分かっておらんな」
「何も?」
そのブレスウェルの問いかけに答えることもなく無表情で、写真を握りしめ斜面を登っていくイシス。
そして斜面を登りきったところで、視界が開ける。
イシスの正面には、地球が存在していた。
彼女が居る場所は、月面のクレーターであった。
「理性を失った狂気の神殺しの化物――、まさか……、世界を破壊した貴様が、この世界に来ているとは思っても見なかったぞ?」
イシスは、笑みを浮かべる。
彼女の瞳には、憎しみと狂気を綯交ぜにした光が煌々と灯っていた。
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