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第六章 姦姦蛇螺編
第282話
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「う、うん……」
きちんと説明していないということもあり、妹は頬を膨らませたまま俺を睨みつけてくる。
これは、あとで機嫌を取らないと駄目だな。
「師匠」
「何だ?」
「師匠の部屋はどこ?」
「あーっ、それなら――」
俺は指差すと、アディールは、キャリーバックを持ち上げると、俺の部屋へと向かう為に妹の横を通り過ぎる。
「ちょっと待って!」
妹が、アディールの肩をガシッと掴む。
「どうした? 警護対象」
「私は胡桃! 胡桃って名前があるから! それと、無断で家に上がらないでくれる?」
「どうして?」
「どうしてもこうも! ここは、私とお兄ちゃんの家なの! 他人が無断で上がっていいわけではないの!」
「師匠の許可なら得ている」
「本当なのっ!! お兄ちゃん!!」
「――お、おう……」
思わず、俺は数歩引き下がる。
「少し家族会議するから、アディール・エリカ・すふぉる……」
「エリカでいい。師匠の身内なら、エリカと呼んでいい」
「――ならエリカ! 少し、待っていて! 来て! お兄ちゃん!」
俺の腕を掴むと妹は引っ張り、俺の部屋へと連れ込まれるが――、
「――ん? どうしてお前のベッドが、俺の部屋にあるんだ?」
俺は思わず首を傾げる。
「それはいいの! それより、お兄ちゃん。あの子誰なの?」
「簡単に説明するなら、お前の命の恩人だな。詳しい話は、あとで説明するが、そこまで強く当たるな」
「ムーッ!」
「とにかく、アディールは、父さんと母さんの部屋に泊まらせればいいだろ」
「都さんが戻ってこないなら、それでいいと思うけど……」
どうして、そこで都の話が出てくるのか。
「戻ってくるも何も、都がどうして関係あるんだ?」
アイツが、俺の家にお泊り会で来るというのか?
「――え?」
「何を驚いた顔をしているんだ?」
「だって! 都さん、うちに泊まっていたの」
「都が? お泊り会でもしていたのか?」
「ううん。綾子さんが泊まりに来てたから、それで都さんも――」
「綾子? 誰だ、そいつは……」
「山城綾子さんだよ!」
「山城綾子……」
たしか山王高等学校の生徒会長が、そんな名前だった気がするな……。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「ああ。問題ない」
おそらく山城綾子が、自宅に泊まっていたというのは本当だろう。
妹が、そんな事で嘘をつくはずがない。
――となると考えられるのは……。
書庫の番人リオネデイラに、戦闘以外の経験と知識と言う事で回収されたと見た方が早いか。
「そういえば、そんな事があったな」
とりあえず話を合わせておくことが先決か。
そうなると一度、家の中を見て整合性を付けておいた方がいいな。
「ほんと、お兄ちゃん、大丈夫なの?」
「あ、ああ。少しボーッとしていた。とりあえずアディールについては、しばらく自宅で寝泊まりする事になると思うから、宜しく頼むというか……」
家を買った方がいいかも知れないな。
「お兄ちゃん?」
「――いや、何でもない。それより都が来るまで、待つとしよう」
「こんにちわー」
そう言いかけたところで、俺の言葉に被せるかのような都の声が聞こえてきた。
きちんと説明していないということもあり、妹は頬を膨らませたまま俺を睨みつけてくる。
これは、あとで機嫌を取らないと駄目だな。
「師匠」
「何だ?」
「師匠の部屋はどこ?」
「あーっ、それなら――」
俺は指差すと、アディールは、キャリーバックを持ち上げると、俺の部屋へと向かう為に妹の横を通り過ぎる。
「ちょっと待って!」
妹が、アディールの肩をガシッと掴む。
「どうした? 警護対象」
「私は胡桃! 胡桃って名前があるから! それと、無断で家に上がらないでくれる?」
「どうして?」
「どうしてもこうも! ここは、私とお兄ちゃんの家なの! 他人が無断で上がっていいわけではないの!」
「師匠の許可なら得ている」
「本当なのっ!! お兄ちゃん!!」
「――お、おう……」
思わず、俺は数歩引き下がる。
「少し家族会議するから、アディール・エリカ・すふぉる……」
「エリカでいい。師匠の身内なら、エリカと呼んでいい」
「――ならエリカ! 少し、待っていて! 来て! お兄ちゃん!」
俺の腕を掴むと妹は引っ張り、俺の部屋へと連れ込まれるが――、
「――ん? どうしてお前のベッドが、俺の部屋にあるんだ?」
俺は思わず首を傾げる。
「それはいいの! それより、お兄ちゃん。あの子誰なの?」
「簡単に説明するなら、お前の命の恩人だな。詳しい話は、あとで説明するが、そこまで強く当たるな」
「ムーッ!」
「とにかく、アディールは、父さんと母さんの部屋に泊まらせればいいだろ」
「都さんが戻ってこないなら、それでいいと思うけど……」
どうして、そこで都の話が出てくるのか。
「戻ってくるも何も、都がどうして関係あるんだ?」
アイツが、俺の家にお泊り会で来るというのか?
「――え?」
「何を驚いた顔をしているんだ?」
「だって! 都さん、うちに泊まっていたの」
「都が? お泊り会でもしていたのか?」
「ううん。綾子さんが泊まりに来てたから、それで都さんも――」
「綾子? 誰だ、そいつは……」
「山城綾子さんだよ!」
「山城綾子……」
たしか山王高等学校の生徒会長が、そんな名前だった気がするな……。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「ああ。問題ない」
おそらく山城綾子が、自宅に泊まっていたというのは本当だろう。
妹が、そんな事で嘘をつくはずがない。
――となると考えられるのは……。
書庫の番人リオネデイラに、戦闘以外の経験と知識と言う事で回収されたと見た方が早いか。
「そういえば、そんな事があったな」
とりあえず話を合わせておくことが先決か。
そうなると一度、家の中を見て整合性を付けておいた方がいいな。
「ほんと、お兄ちゃん、大丈夫なの?」
「あ、ああ。少しボーッとしていた。とりあえずアディールについては、しばらく自宅で寝泊まりする事になると思うから、宜しく頼むというか……」
家を買った方がいいかも知れないな。
「お兄ちゃん?」
「――いや、何でもない。それより都が来るまで、待つとしよう」
「こんにちわー」
そう言いかけたところで、俺の言葉に被せるかのような都の声が聞こえてきた。
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