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第五章 幕間
第276話 ロシア首都モスクワ炎上 第三者side
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日本国――、首相官邸。
時刻は、桂木優斗とアディールとの会話が終ってから数時間後の夜半。
「総理!」
首相官邸で勤務をしていた職員が血相を変えた表情で、夜分遅くまでG20に対しての閣僚会議を行っていた部屋へと入ってくる。
「どうかしたのか?」
「はい。ロシアのモスクワが、大規模な攻撃を受けたと報告が入ってきました」
「攻撃? どこの国がだ?」
「分かりません。ただ――、ロシア連邦の首都、モスクワ市の中心――、ロシア大統領府の官邸『クレムリン』が焼け落ち壊滅したとのことです」
その職員の言葉に、誰もが『何を言っている?』と、言う表情を見せるが――、
「これをご覧ください」
職員がタブレットを夏目内閣の閣僚たちへと渡していく。
そして、その画面を見た閣僚たちの表情が険しいモノへと変わっていく。
タブレットには、ロシア国営放送が流している映像で――、クレムリンが焼け落ち、周囲の建物どころか、辺り一面が焼け焦げている様子が映し出されていた。
「これは、本当のことなのか?」
川野外務大臣は険しい表情のまま職員に問い詰めるが――、
「はい。間違いありません。すでに各国のジャーナリストや報道官が、こぞってニュースを流しています」
「馬鹿な……。それでロシア大統領は?」
「消息は、現在は不明ということです」
「まさか、ロシアに宣戦布告する国が出てくるとは――」
川野外務大臣の一人ごとに誰もが反応することは出来ずにいた。
核弾頭を7000近く保有し、配備している弾道数は1600発を数える軍事大国であるロシアに――、しかも首都に攻撃を直接行う国があるとは世界中の誰しもが理解出来なかったからであった。
「川野」
「はい、総理」
「外務大臣として、ロシアの首都モスクワに攻撃をするような国を事前に察知することは出来なかったのか?」
「そのような国は――」
川野外務大臣は、呟きながら頭をフル回転させる。
ロシアに対して――、首都を直接攻撃するような国で考えられる国と言ったらウクライナかバルト三国くらいであったが、川野は、その考えをすぐに消す。
首都を攻撃すれば、ロシアであったら核ミサイルの報復をする可能性があると考えたからであったが――。
「思いつかないということか?」
「はい。総理」
そこまで会話をしたところで、閣議室に別の職員が走り込んでくると――、
「総理。ホットラインです」
「どこからだ?」
「アメリカ合衆国大統領からです」
「分かった」
日本国首相である夏目一元は、椅子から立ち上がると、足早に執務室へと向かいホットラインを取る。
「夏目一元、ロシアのニュースは見たかね?」
電話を取ると同時に話しかけてきたのは、アメリカ合衆国大統領であるニクソン・K・ロンドンからであった。
「先ほどな。それより、ロシアを攻撃したのはアメリカ合衆国なのか?」
「……それは違う」
「それでは、どこの国が?」
「国ではない」
「国ではない?」
「その反応からして、日本国政府は、関与はしてないということか」
「何の話だ?」
アメリカ大統領のニクソンの言葉に、夏目一元は眉間に皺を寄せる。
「分からないならいい。すまなかったな。失礼する」
電話を一方的に切られた夏目一元は、自身が手に持っていた受話器へと視線を落した。
そして――、夏目一元との対話を終わらせたニクソン・K・ロンドンと言えば――。
「大統領、良かったのですか?」
そう彼に話しかけてくる国防長官を一瞥もせずに――、
「ああ、必要ない」
ニクソンは、国防長官が報告してきた資料を見て笑みを浮かべる。
それは複数の衛星写真。
そこには一人の人影が写り込んでいた。
時刻は、桂木優斗とアディールとの会話が終ってから数時間後の夜半。
「総理!」
首相官邸で勤務をしていた職員が血相を変えた表情で、夜分遅くまでG20に対しての閣僚会議を行っていた部屋へと入ってくる。
「どうかしたのか?」
「はい。ロシアのモスクワが、大規模な攻撃を受けたと報告が入ってきました」
「攻撃? どこの国がだ?」
「分かりません。ただ――、ロシア連邦の首都、モスクワ市の中心――、ロシア大統領府の官邸『クレムリン』が焼け落ち壊滅したとのことです」
その職員の言葉に、誰もが『何を言っている?』と、言う表情を見せるが――、
「これをご覧ください」
職員がタブレットを夏目内閣の閣僚たちへと渡していく。
そして、その画面を見た閣僚たちの表情が険しいモノへと変わっていく。
タブレットには、ロシア国営放送が流している映像で――、クレムリンが焼け落ち、周囲の建物どころか、辺り一面が焼け焦げている様子が映し出されていた。
「これは、本当のことなのか?」
川野外務大臣は険しい表情のまま職員に問い詰めるが――、
「はい。間違いありません。すでに各国のジャーナリストや報道官が、こぞってニュースを流しています」
「馬鹿な……。それでロシア大統領は?」
「消息は、現在は不明ということです」
「まさか、ロシアに宣戦布告する国が出てくるとは――」
川野外務大臣の一人ごとに誰もが反応することは出来ずにいた。
核弾頭を7000近く保有し、配備している弾道数は1600発を数える軍事大国であるロシアに――、しかも首都に攻撃を直接行う国があるとは世界中の誰しもが理解出来なかったからであった。
「川野」
「はい、総理」
「外務大臣として、ロシアの首都モスクワに攻撃をするような国を事前に察知することは出来なかったのか?」
「そのような国は――」
川野外務大臣は、呟きながら頭をフル回転させる。
ロシアに対して――、首都を直接攻撃するような国で考えられる国と言ったらウクライナかバルト三国くらいであったが、川野は、その考えをすぐに消す。
首都を攻撃すれば、ロシアであったら核ミサイルの報復をする可能性があると考えたからであったが――。
「思いつかないということか?」
「はい。総理」
そこまで会話をしたところで、閣議室に別の職員が走り込んでくると――、
「総理。ホットラインです」
「どこからだ?」
「アメリカ合衆国大統領からです」
「分かった」
日本国首相である夏目一元は、椅子から立ち上がると、足早に執務室へと向かいホットラインを取る。
「夏目一元、ロシアのニュースは見たかね?」
電話を取ると同時に話しかけてきたのは、アメリカ合衆国大統領であるニクソン・K・ロンドンからであった。
「先ほどな。それより、ロシアを攻撃したのはアメリカ合衆国なのか?」
「……それは違う」
「それでは、どこの国が?」
「国ではない」
「国ではない?」
「その反応からして、日本国政府は、関与はしてないということか」
「何の話だ?」
アメリカ大統領のニクソンの言葉に、夏目一元は眉間に皺を寄せる。
「分からないならいい。すまなかったな。失礼する」
電話を一方的に切られた夏目一元は、自身が手に持っていた受話器へと視線を落した。
そして――、夏目一元との対話を終わらせたニクソン・K・ロンドンと言えば――。
「大統領、良かったのですか?」
そう彼に話しかけてくる国防長官を一瞥もせずに――、
「ああ、必要ない」
ニクソンは、国防長官が報告してきた資料を見て笑みを浮かべる。
それは複数の衛星写真。
そこには一人の人影が写り込んでいた。
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