最強の英雄は幼馴染を守りたい

なつめ猫

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第四章 囚われし呪詛村の祟り編 エピローグ

第224話 桂木胡桃(1)

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 テレビの電源を入れれば、連日のように流れる遠野市での発生した大規模なガスによる爆発事故のニュース。
 それはワイドショーにもなっていた。

「えー、それでは遠野市で起きた大規模な爆発や倒壊による被害は、ガスによるものと言う事ですか?」

 ワイドショーに出ている司会が、大学教授へと話を振っている。
 私は、そんなテレビの画面を見ながら、膝を抱えながら――、呟く。

「そうですね。以前に発生した大規模な大地震により地層が不安定になっている事もあり、
事前に学会は危険だと言う事を日本政府に打診しておりました」
「つまり、学術会議は、以前から、ガス田の爆発については認識していたという事でしょうか?」
「そうなります。そのおかげもあり、日本政府と警察関係者の協力もあったことで、死者はゼロと言う事で――」
「なるほど……」

 テレビ画面に映っている大学教授は、遠野市で起きた事件は、地下の大規模なガス田の爆発と言う事で、説明をしている。
 
「嘘ばかり……」

 他のチャンネルでは、盛岡駅前のホテルで起きた火災は、タバコの不始末ということで、説明している。
 死者の数は17人で――。

「嘘ばかり!」

 私は、テーブルの上に載せていた読み途中の雑誌をテレビに投げつけていた。
 そんな私に声をかけてきたのは、都さんだった。

「胡桃ちゃん。大丈夫?」

 エプロン姿の都さんが、心配そうな表情を私に向けてくる。

「都さんは――、都さんは! 平気なんですか! テレビでは、嘘ばかりの報道ばかり流しているんですよ! 連日っ!」
「それは……、私も納得いかないけど……」
「マスコミは真実を報道するのが仕事じゃないんですか! まるで! 事件が、無かったかのような報道ばかりして――! ……こ、……こんなの……こんなの……。もうっ! な、何を信じていいのか分からないじゃないですか!」

 ソファーから立ち上がり、私は、抑えきれない感情に任せて――、声を絞りだすかのように言葉を都さん叩きつけてしまう。

「そうね……」

 私から、目を逸らす都さん。
 そんな都さんを見て――、私も体から力が抜けるような気がして、ソファーへと座り込み足を抱える。
 都さんに八つ当たりをしても何の意味もない事くらいは分かっているのに……。

「お兄ちゃん……」

 私達の前で、理解できない力を振るったお兄ちゃん。
 そして、純也さんと喧嘩したあと、私達を見たあと――、お兄ちゃんは無表情だったけど、私には分かった。
 それは悲痛と呼べるモノだったということに。
 それ以降、お兄ちゃんは姿を消して、一度も家には帰ってきてない。

「都さん……」
「……」
「どうして――」

 どうして、お兄ちゃんを拒否するような目で見たの? と、言いかけた所で、私は喉元まで出かけていた言葉を呑み込んだ。
 そんな――、私には都さんを責めるような資格なんてないから。
 あの時――。
 お兄ちゃんの姿をホテルで見た時、お兄ちゃんを止めなくてはいけなかったのは、私の役目だったから。
 だって――、もう私の家族はお兄ちゃんしかいないから……。
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