225 / 330
第四章 囚われし呪詛村の祟り編 エピローグ
第224話 桂木胡桃(1)
しおりを挟む
テレビの電源を入れれば、連日のように流れる遠野市での発生した大規模なガスによる爆発事故のニュース。
それはワイドショーにもなっていた。
「えー、それでは遠野市で起きた大規模な爆発や倒壊による被害は、ガスによるものと言う事ですか?」
ワイドショーに出ている司会が、大学教授へと話を振っている。
私は、そんなテレビの画面を見ながら、膝を抱えながら――、呟く。
「そうですね。以前に発生した大規模な大地震により地層が不安定になっている事もあり、
事前に学会は危険だと言う事を日本政府に打診しておりました」
「つまり、学術会議は、以前から、ガス田の爆発については認識していたという事でしょうか?」
「そうなります。そのおかげもあり、日本政府と警察関係者の協力もあったことで、死者はゼロと言う事で――」
「なるほど……」
テレビ画面に映っている大学教授は、遠野市で起きた事件は、地下の大規模なガス田の爆発と言う事で、説明をしている。
「嘘ばかり……」
他のチャンネルでは、盛岡駅前のホテルで起きた火災は、タバコの不始末ということで、説明している。
死者の数は17人で――。
「嘘ばかり!」
私は、テーブルの上に載せていた読み途中の雑誌をテレビに投げつけていた。
そんな私に声をかけてきたのは、都さんだった。
「胡桃ちゃん。大丈夫?」
エプロン姿の都さんが、心配そうな表情を私に向けてくる。
「都さんは――、都さんは! 平気なんですか! テレビでは、嘘ばかりの報道ばかり流しているんですよ! 連日っ!」
「それは……、私も納得いかないけど……」
「マスコミは真実を報道するのが仕事じゃないんですか! まるで! 事件が、無かったかのような報道ばかりして――! ……こ、……こんなの……こんなの……。もうっ! な、何を信じていいのか分からないじゃないですか!」
ソファーから立ち上がり、私は、抑えきれない感情に任せて――、声を絞りだすかのように言葉を都さん叩きつけてしまう。
「そうね……」
私から、目を逸らす都さん。
そんな都さんを見て――、私も体から力が抜けるような気がして、ソファーへと座り込み足を抱える。
都さんに八つ当たりをしても何の意味もない事くらいは分かっているのに……。
「お兄ちゃん……」
私達の前で、理解できない力を振るったお兄ちゃん。
そして、純也さんと喧嘩したあと、私達を見たあと――、お兄ちゃんは無表情だったけど、私には分かった。
それは悲痛と呼べるモノだったということに。
それ以降、お兄ちゃんは姿を消して、一度も家には帰ってきてない。
「都さん……」
「……」
「どうして――」
どうして、お兄ちゃんを拒否するような目で見たの? と、言いかけた所で、私は喉元まで出かけていた言葉を呑み込んだ。
そんな――、私には都さんを責めるような資格なんてないから。
あの時――。
お兄ちゃんの姿をホテルで見た時、お兄ちゃんを止めなくてはいけなかったのは、私の役目だったから。
だって――、もう私の家族はお兄ちゃんしかいないから……。
それはワイドショーにもなっていた。
「えー、それでは遠野市で起きた大規模な爆発や倒壊による被害は、ガスによるものと言う事ですか?」
ワイドショーに出ている司会が、大学教授へと話を振っている。
私は、そんなテレビの画面を見ながら、膝を抱えながら――、呟く。
「そうですね。以前に発生した大規模な大地震により地層が不安定になっている事もあり、
事前に学会は危険だと言う事を日本政府に打診しておりました」
「つまり、学術会議は、以前から、ガス田の爆発については認識していたという事でしょうか?」
「そうなります。そのおかげもあり、日本政府と警察関係者の協力もあったことで、死者はゼロと言う事で――」
「なるほど……」
テレビ画面に映っている大学教授は、遠野市で起きた事件は、地下の大規模なガス田の爆発と言う事で、説明をしている。
「嘘ばかり……」
他のチャンネルでは、盛岡駅前のホテルで起きた火災は、タバコの不始末ということで、説明している。
死者の数は17人で――。
「嘘ばかり!」
私は、テーブルの上に載せていた読み途中の雑誌をテレビに投げつけていた。
そんな私に声をかけてきたのは、都さんだった。
「胡桃ちゃん。大丈夫?」
エプロン姿の都さんが、心配そうな表情を私に向けてくる。
「都さんは――、都さんは! 平気なんですか! テレビでは、嘘ばかりの報道ばかり流しているんですよ! 連日っ!」
「それは……、私も納得いかないけど……」
「マスコミは真実を報道するのが仕事じゃないんですか! まるで! 事件が、無かったかのような報道ばかりして――! ……こ、……こんなの……こんなの……。もうっ! な、何を信じていいのか分からないじゃないですか!」
ソファーから立ち上がり、私は、抑えきれない感情に任せて――、声を絞りだすかのように言葉を都さん叩きつけてしまう。
「そうね……」
私から、目を逸らす都さん。
そんな都さんを見て――、私も体から力が抜けるような気がして、ソファーへと座り込み足を抱える。
都さんに八つ当たりをしても何の意味もない事くらいは分かっているのに……。
「お兄ちゃん……」
私達の前で、理解できない力を振るったお兄ちゃん。
そして、純也さんと喧嘩したあと、私達を見たあと――、お兄ちゃんは無表情だったけど、私には分かった。
それは悲痛と呼べるモノだったということに。
それ以降、お兄ちゃんは姿を消して、一度も家には帰ってきてない。
「都さん……」
「……」
「どうして――」
どうして、お兄ちゃんを拒否するような目で見たの? と、言いかけた所で、私は喉元まで出かけていた言葉を呑み込んだ。
そんな――、私には都さんを責めるような資格なんてないから。
あの時――。
お兄ちゃんの姿をホテルで見た時、お兄ちゃんを止めなくてはいけなかったのは、私の役目だったから。
だって――、もう私の家族はお兄ちゃんしかいないから……。
0
お気に入りに追加
115
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。


せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。
なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。
しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。
探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。
だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。
――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。
Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。
Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。
それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。
失意の内に意識を失った一馬の脳裏に
――チュートリアルが完了しました。
と、いうシステムメッセージが流れる。
それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる