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第四章 幕間

第219話 峯山純也(3)第三者side

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「貴方は、桂木優斗君から本当のことを教えられたのよね? だったら、私よりは、彼に関しては詳しいと思うわ。ただ――」

 そこで、住良木は純也の表情を見る。
 彼の考えを読み取るかのように。

「彼の存在を日本政府が把握してからの事に関しては、貴方達よりも知っていると思うわ」
「……」
「さて、それじゃ、まずは私の自己紹介をさせてもらうわ。私は、神社庁、奥の院の神薙の一人で住良木鏡花。桂木優斗君の、神社庁における秘書をやらせてもらっているわ」
「神社庁における?」
「そう。彼は、もう一人、秘書を抱えているの。でも、その事に関しては、私の口から話すのは機密上、問題があると思うし、割愛させてもらうわね」
「優斗は、アンタたちとは、組織的に繋がっているということか?」
「そうなるわね。ただ、貴方が考えるように強制を出来るような有利な契約で、彼を縛ってはいないわ。どちらかと言えば、彼のサポートをする方が近いかしら?」
『なるほどな。あれだけの力を有しているのだから、強制できるほどの立場にはなれないということか?』

 住良木と純也の会話の合間に割って入ってきた前鬼を見て、住良木は目を大きく見開く。

「ただの犬じゃないと思っていたけど……。私の話を理解して会話できるなんて、相当位の高い式神なのね。――それは、桂木優斗君から?」
「違う。安倍珠江からだ」
「安倍珠江から?」
「ああ」

 短く答える純也に、黙りこくり思案する住良木は、数秒を置き――、

「その式神って、もしかして前鬼か後鬼なの?」
『前鬼だ』
「――! 役小角から安倍晴明に引き継がれて、土御門家が秘蔵していた前鬼なの!? 契約できるほどの霊力を貴方は有しているの!?」

 途中まで言葉にしたところで、純也を見る住良木。

『我だけではない。後鬼とも、契約は済ませている。霊力の容量については、ギリギリと言ったところだ。だが――、器の伸びしろは大きい』
「そうなのね……」
「――なあ、サポートをしていたって言っていたけど、優斗は、どういう立場なんだ? 一体、アンタたちは優斗と何をしているんだ?」
「だから言ったでしょう? 神社庁の仕事は祭事が殆どだって、あと霊障などがあった場合には、対処する部門なのよね。その中でも、桂木殿は、最も能力が高くて――、そして危険だから日本国政府からは、きちんと管理するように言われているの」
「……それは……」
「友人である貴方なら理解しているわよね? 彼は、精神的に異常性が見られるという事に。強大な力を有しているのに、何を考えているのか分からない。そんな人物を管理する為に、私は――」
「学校に保険医として入ってきたということか?」
「理解が早くて助かるわ。それで話は戻すけど、神社庁に入らない? 神社庁では霊力の強化や戦闘技術に関しても教えることができるわ」
『ある程度の力と知識を得るまでなら、神社庁に所属するのもありかも知れないぞ? 主よ』

 前鬼の言葉に頷く純也。
 何も知らない彼にとって、少しでも知識を得ることは最優先だと判断した結果であった。

「了承してくれて嬉しいわ。それじゃ――」
「……なあ、陰陽連ってのがあるんだろ? 俺は、そいつらから式神の使い方を教えてもらいたい」
「陰陽連から!?」

 

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