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第四章 囚われし呪詛村の祟り編

第213話

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 俺の言葉を聞いて首を傾げる純也。
 そんな純也の様子を黙って俺は見届けるが……。

「はぁー。優斗、異世界って……、ラノベとか物語だけの話だろ……」
「いやホントだから」
「本当って……」
『恐らく、この者の言っていることは本当だ』
「そうなのか? 前鬼」
『うむ。少なくとも、この者が力を振るう場面を見たが霊力を使った形跡は無かった』
「だからって……、異世界なんて突拍子も良い所だ」

 純也は、何とも言えない表情で俺を見てくる。

「俺も、お前の立場だったら同じことを思う」
「優斗?」
「だいたい、異世界なんて訳の分からないことを言われるよりも、神様から力を得ましたと言った方が、遥かに納得しやすいからな。特に、この世界は霊力って言うのが、異常な力を行使するファクターみたいなものだし」
「――ほ、本当に異世界に行ってきたのか?」
「残念ながらな――」

 肩を竦めながら答える。

「それって、やっぱりネット小説とかであるような?」
「ああ。剣と魔法の世界? そんな感じだ」
「ファンタジーだな」
「ほんと、笑えないレベルのファンタジーだったな」

 思わず苦笑いしてしまう。

「なあ、優斗」
「何だ?」
「英雄として異世界では活動していたって、さっき聞いたけど、異世界に召喚されたってことか?」
 
 その質問に俺は思わず心臓が跳ねあがるような気持ちになる。

「そうだな……」
「そっかー。もしかして、異世界に召喚されたのって、優斗の立ち振る舞いが――、優斗が自分自身を俺って言い出した時からか?」
「鋭いな」
「当たり前だ。何年、幼馴染をしていたと思っているんだ?」
「そりゃそうだな」
「――でも、そうすると都や俺が優斗に感じていた雰囲気が以前とは違っているように思えたのは当然だったんだな」
「まぁな」
「なあ、優斗」
「――ん?」
「どうして、異世界から戻ってきた時に――、千葉駅で転んだときに、俺達に何も言わなかったんだ?」
「言って下手に怖がらせるのは間違っていると思ったからだ」
「それって、本当のことを話したくないってことなのか?」
「そうじゃない。分かるだろう? 異常な力を持っていれば、疎外される可能性があると言う事くらいは」
「……それは」
「純也だって、今は式神と契約したんだから、俺側なんだぞ? その力を父親とか母親に説明できるのか?」
「言えないな」
「だろう? へんに心配はかけさせたくないんだよ」
「……そっか。すまなかった……優斗」
「いや。俺こそ黙っていたからな」
「それにしても英雄として異世界に召喚されたから、そのとんでもない力が備わったのか」
「まぁ、そんなところだ」

 まぁ、異世界に召喚された時には、俺は実際には何の力も付与されなかったが――、それを説明すれば、必ず力を得た経緯について疑問を持たれて聞かれることになるから、曖昧にしておく。

「純也、都と妹には、俺の力は『神から得た』力ってことで説明してくれないか?」
「よくある異世界召喚で神に力を授かるみたいな?」
「まぁ、それよりかは山王高等学校で、広範囲の土砂崩れがあっただろ?」
「――お、おい。まさか……」

 純也が、理解したのか深く溜息をつく。

「高校が半壊した事件って、優斗が関わっていたのか?」
「俺と、そこの土地神との戦闘の余波ってところだな」
「ほあー。俺の知らないところで、戦っていたのか……」
「まぁ、そうだな」
「だから、山城理事長は、お前のことを毛嫌いしていたということか……」
「そうとも言う」
「俺はてっきり山城先輩に手を出して問題になっとばかりに……」
「そんなことは断じてない!」
「分かってるって! それにしても、山王高等学校が崩壊したことに優斗が……、――ん? もしかして優斗」
「何だ?」
「奇跡の病院も……」
「察しがいいな」
「はぁー。よく考えれば、俺達の周りばかり異常な事が起こっている事に気がつけるはずだったのに……」

 吐露する純也。

「仕方ないだろ。超常現象的なモノが、普通に存在していると認識してないと紐づけなんて出来ないからな」
「まぁ、そうだよな……」
「だから、俺の力に関しては神から得た力ってことにしておいてくれ。色々と都や妹に心配は掛けさせたくないんだ」
「分かった」


 
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