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第四章 囚われし呪詛村の祟り編
第171話
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「優斗、ここって山の中だよな?」
「ああ……」
俺は頷く。
少なくとも高清水旅館付近には森や草原などは存在していたが、他に建物は存在していなかった。
だが――。
「なら、旅館の外の建物って何なんだ?」
「さあな。俺も良く分からん」
本職の元・陰陽師の厚木も知らないのだから、俺が知る訳がない。
「とりあえず、向こうに向かってくれ」
俺は、牧場がある方角を指さす。
「了解」
純也がハンドルを切る。
車は、俺が指定した方角へ向けて走るが――、次々と建物が地面から生えてくる。
さらに生えてくるだけでなく、古臭い屋根や壁から、漆喰を使った壁や、瓦を使った屋根へと変わっていく。
「一体、どうなってやがんだ!」
「運転に集中しろ、純也」
「分かっているけどさ――」
「きーっ」
「ききーっ」
純也の不満な感情に同調するかのように茶色と黒色の2匹の猿が声を上げる。
「…………純也」
「どうした?」
「猿の数、増えてないか?」
「ああ、さっき旅館から逃げている最中に廊下で倒れている猿を見つけたから連れてきた」
「連れてきたって……お前な……、得体の知れないモノを拾ってくるなよ。今が、異常事態だって分かるだろ?」
「だからこそだろ、優斗。助けられるなら、助けないと」
その純也の言葉に俺は肩を竦める。
今がどういう状況なのか分からない状態で、余計なモノを守る余裕なぞ無いというのが俺の考えだからだ。
人間一人が守れる範囲なんて高が限られている。
余計なモノを背負い込むなど、俺からしたらリスク以外の何物でもない。
「優斗」
「どうした?」
「お前、少し変わったよな」
「そうか?」
「本当なら、優斗が真っ先に助けていただろ? いつも、優斗が率先して捨て猫とか捨て犬とか拾っていただろ」
「そんなこと、あったか?」
そんな記憶、俺には無いな。
「誰かと勘違いしているんじゃないのか?」
「俺が忘れる訳がないだろ」
「そうか」
まぁ、どちらにせよリスク管理から見て自分が育てられない物を拾ったりはしないし、誰かが助けなければ生きていけない命なんてものは、自然淘汰されるのは自然界では常識だ。
短く言葉を交わしたあと、車は5分ほど走り牧場前に到着する。
牧場には、俺が掃討したからなのか魔物の姿は一切見えない。
都を抱きかかえ、純也と共に地下室へと向かう。
「戻ってきたか」
「ああ、何とかな」
「――で、そっちの二人が連れと言う事かの?」
「そうだ。純也、こっちの爺さんが厚木さんだ」
「峯山純也です」
「厚木源十郎じゃ。源十郎と呼んでくれればよい」
「それじゃ源十郎さん!」
「何だの?」
「この場所って何かの祭祀場ですか?」
「そうだの。それよりも、峯山君」
「何でしょうか?」
「君の肩に乗っている2匹の猿は、ずいぶんと懐いているようだが?」
「あ、わかります? 自分の親はペットブリーダーをしているので、動物に好かれやすいんですよ!」
「なるほどのう」
厚木が、笑みを浮かべると俺の方へと視線を向けてくると首を動かす。
それは外へ出ろという意味である事に俺はすぐに気が付く。
「純也、妹と都を見ていてくれ。俺と厚木さんは、牧場を見てくるから。とりあえず、ここに居れば安心らしい」
「そうだな。少し休ませてもらうよ。モノホンの車を運転して疲れたし」
妹の隣に都を寝かせたあと、純也を地下室に残し俺と厚木は地下を出る。
「ああ……」
俺は頷く。
少なくとも高清水旅館付近には森や草原などは存在していたが、他に建物は存在していなかった。
だが――。
「なら、旅館の外の建物って何なんだ?」
「さあな。俺も良く分からん」
本職の元・陰陽師の厚木も知らないのだから、俺が知る訳がない。
「とりあえず、向こうに向かってくれ」
俺は、牧場がある方角を指さす。
「了解」
純也がハンドルを切る。
車は、俺が指定した方角へ向けて走るが――、次々と建物が地面から生えてくる。
さらに生えてくるだけでなく、古臭い屋根や壁から、漆喰を使った壁や、瓦を使った屋根へと変わっていく。
「一体、どうなってやがんだ!」
「運転に集中しろ、純也」
「分かっているけどさ――」
「きーっ」
「ききーっ」
純也の不満な感情に同調するかのように茶色と黒色の2匹の猿が声を上げる。
「…………純也」
「どうした?」
「猿の数、増えてないか?」
「ああ、さっき旅館から逃げている最中に廊下で倒れている猿を見つけたから連れてきた」
「連れてきたって……お前な……、得体の知れないモノを拾ってくるなよ。今が、異常事態だって分かるだろ?」
「だからこそだろ、優斗。助けられるなら、助けないと」
その純也の言葉に俺は肩を竦める。
今がどういう状況なのか分からない状態で、余計なモノを守る余裕なぞ無いというのが俺の考えだからだ。
人間一人が守れる範囲なんて高が限られている。
余計なモノを背負い込むなど、俺からしたらリスク以外の何物でもない。
「優斗」
「どうした?」
「お前、少し変わったよな」
「そうか?」
「本当なら、優斗が真っ先に助けていただろ? いつも、優斗が率先して捨て猫とか捨て犬とか拾っていただろ」
「そんなこと、あったか?」
そんな記憶、俺には無いな。
「誰かと勘違いしているんじゃないのか?」
「俺が忘れる訳がないだろ」
「そうか」
まぁ、どちらにせよリスク管理から見て自分が育てられない物を拾ったりはしないし、誰かが助けなければ生きていけない命なんてものは、自然淘汰されるのは自然界では常識だ。
短く言葉を交わしたあと、車は5分ほど走り牧場前に到着する。
牧場には、俺が掃討したからなのか魔物の姿は一切見えない。
都を抱きかかえ、純也と共に地下室へと向かう。
「戻ってきたか」
「ああ、何とかな」
「――で、そっちの二人が連れと言う事かの?」
「そうだ。純也、こっちの爺さんが厚木さんだ」
「峯山純也です」
「厚木源十郎じゃ。源十郎と呼んでくれればよい」
「それじゃ源十郎さん!」
「何だの?」
「この場所って何かの祭祀場ですか?」
「そうだの。それよりも、峯山君」
「何でしょうか?」
「君の肩に乗っている2匹の猿は、ずいぶんと懐いているようだが?」
「あ、わかります? 自分の親はペットブリーダーをしているので、動物に好かれやすいんですよ!」
「なるほどのう」
厚木が、笑みを浮かべると俺の方へと視線を向けてくると首を動かす。
それは外へ出ろという意味である事に俺はすぐに気が付く。
「純也、妹と都を見ていてくれ。俺と厚木さんは、牧場を見てくるから。とりあえず、ここに居れば安心らしい」
「そうだな。少し休ませてもらうよ。モノホンの車を運転して疲れたし」
妹の隣に都を寝かせたあと、純也を地下室に残し俺と厚木は地下を出る。
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