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第四章 囚われし呪詛村の祟り編

第161話

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 安倍先生が居る部屋のドアを何度かノックする。

「はい。どうぞ」

疲れ切ったような声が聞こえてくる。
どうやら、体調が悪いようだが――。

「失礼します」

 一応は、教師と生徒という間柄なので、一応は礼儀を弁えながらドアを開くと、白装束を身に纏った安倍先生の姿が目に入った。

「烏丸じゃないのねって――、桂木君?」
「どうも――。今日、朝の勉強会があるからと聞いていて待っていたんですが?」

 そこで、安倍先生は「あっ!」と、呟く。

「別に体調が良くないならいいんですが……」
「そう。ごめんなさいね。今日は大事な用事があるから――、勉強は明日でもいいかしら?」
「分かりました。体調には気をつけてください」
「そうね。桂木君も、重々気を付けてね」

 何故か含みのある言い方。
 それは、おそらく俺の勉強の点数についてだろうが、もう少しオブラートに包んでほしいものだ。
 朝食まではする事が無くなった俺は、部屋に戻り少し時間を潰したあと、大広間に向かう。
 大広間に到着すると安倍先生以外は全員が集まっていた。

「お兄ちゃん! 今日の、朝食は、すごく豪華なの!」
 
 和食中心の食事内容だが、品数が20品以上ある。

「それにしても、安倍先生の実家は、随分と良い旅館を経営しているわよね。まぁ、これも優斗が勉強できないおかげなのかな?」
「俺が勉強できないは余計だ」

 まったく、最近の都は意地が悪くなった気がするぞ。
 俺は自分の席に座る。
 料理は目の前にドン! と、置かれており、いくらの量もすごい。

「めっちゃ高そうだな……」
「ほら、バナナだ」

 そんな事を思っていると、横では純也が日本猿にバナナを剥いて渡していた。
 何と言うか、一日ですごく仲良くなっているよな……。
 異世界で言う所のテイマーに近い気がする。

「何だか純也さん、すごく動物の扱いがうまいの」
「そうだな」

 俺も妹の意見には賛成だ。

「それよりも優斗。今日は、安倍先生には朝の勉強は教わらなかったの?」
「ああ。なんか体調が悪いらしくてな」
「そういえば、いまも居ないものね」

 安倍先生用に用意された食事。
 用意されていると言う事は、彼女も一緒に食事する予定だったのだろう。

「まぁ体調が悪いのは仕方ないからな」

 一応、フォローを入れておく。
 そして朝食を摂り始める。

「そういえば優斗。今日って勉強はどうするの?」
「ああ。今日は、休みだって言っていたからな。とりあえず、牧場に行こうと思う」
「牧場って昨日行ったところ?」
「ああ。いくつか気になった点があったからな」
「へー」
「私も! 私も行きたい!」

 俺と都が会話していたところで妹が手を上げて立候補してくる。
 まぁ、妹も何もやる事がないし、牧場に行くのは初めてだから行ってみたいという好奇心があるのだろう。

「分かった。あとで行ってみるか」
「わーい!」
「純也と都はどうする?」
「俺は、コイツを放っておくことは出来ないから、旅館内で暇潰ししてるよ」
「おーけー。都は?」
「えっと……、私もお留守番しておこうかな?」

 おや、珍しいな。
 都なら一緒に付いてくると思ったんだが……。

「都さんは来ないの?」

 ふふーんと言う顔で都を見る妹。
 何だが挑発しているような顔をしているように見えるが気のせいだろう。

「食べたばかりで牧場はちょっと……」
「それは残念なの! お兄ちゃん! あとで一緒にいこっ!」
「お、おう……」

 食事を終えたあとは、従業員の人間を探す。

「あ、烏丸さん」
「おや。これは桂木優斗様。どうかなさいましたか?」
「ちょっと、牧場まで行きたいんですが」
「牧場ですか?」

 そう呟くと烏丸は、俺ではなく妹の方へと視線を向けたあと、笑みを浮かべ――。

「分かりました。私が、ご案内しましょう」

 快く引き受けてくれた。


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