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第四章 囚われし呪詛村の祟り編

第139話

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 都が入院していた2日の間、教育委員会から連絡が回ってきた。
 内容としては、山王高等学校の校舎の復旧に目途が立たないということで、新しく校舎を移転したという話。

「お兄ちゃん! 私、もう学校行って来るけど!」
「俺も行く」
 
 学生服に着替えたあとは、今日は高校移転初日と言う事もあり、教材などは入れずにカバンだけを片手に妹と玄関を出る。
 ドアを閉めたあと鍵を閉めて妹と公団住宅の階段を降りた後は、バス停に向かう。

「そういえば、お兄ちゃん」
「ん?」
「アルバイト始めたって言っていたけど、何時、出勤なの?」
「……連絡が来る事になっている」

 正直、『きさらぎ駅』事件で、都を助けることに必死で力を振るい過ぎたこと。
 そして、さらに言えば神谷にも中々に無理難題を押し付けたから、もしかして俺はクビになったかも知れないという自覚が薄々とあった。
 まぁ、神社庁の方も一応は契約をしているが、同じ公務員である以上、やらかした俺に仕事を依頼してくるかは難しい点だ。
 やっぱり、道路工事のアルバイトとか家屋解体のアルバイトをした方がいいかも知れない。
 問題は、そんな仕事を斡旋してくれるような伝手が無いという点だ。

「本当に? もしかして、お兄ちゃん……」
「な、なんだよ……」
「クビになったとか? 初日からクビになるとか、そう言う人っていないよね?」
「当たり前だろ――はっはっはっ」

 バス停に到着したあとは、妹と別れ千葉駅行きのバスが到着したところでバスに乗り込む。
 バスは直ぐに走り出し、20分ほどで千葉駅のロータリー前に到着する。
 
「千葉都市モノレールに乗るのも久しぶりだな」

 千葉駅中央改札入口から繋がっている千葉都市モノレールに乗ったあとは京成線の千葉みなと駅まで移動する。
 そのあとは、千葉みなと駅から、電車に乗り換え――、10分ほどで京成検見川浜駅に到着した。
 改札口から出たところで、スマートフォンで目的地の場所を確認する。

「東方向か」

 大雑把な学校の位置などは、教育委員会から送られてきていた書類に書かれていたから目を通していたが、初めて来る場所だと、やはり地図が必要だな。

「優斗! 遅い!」
「そうだぞ。また遅刻するぞ」

 改札を出て住所を確認していたところで、都と純也が話しかけてくる。

「二人とも、待っていなくても良かったのに――」
「都が待ってよ! って、煩かったんだよな」
「純也だって、同じだったくせに!」
「はいはい。どうせ、俺が悪いんだよ。それより優斗、早く行かないと遅刻するぞ?」
「もうそんな時間か?」

 時間を見ると、午前8時40分。
届いた始業式の時間が9時からなので、まだ余裕があると思うが――。
 
「ここからだと、まだ距離があるんだぞ? 地図見てたんだろ?」
「そういえば、そうだな」

 高校として利用するために、統合して廃校となった小学校。
 そこまでの距離は、それなりにあり、歩いていくと時間ギリギリと言ったところだ。
 俺の場合は、最低限の身体強化をすれば、数分で到着できるが一般の人間ではきついだろう。

「急ぐか」
「ああ。都は大丈夫なのか? 退院したばかりだけど――」
「純也に心配されなくても私は大丈夫だから!」

 そして――、何とかギリギリ始業式に俺達は間に合った。

 


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