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第三章 呪われし異界の鉄道駅編

第124話

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 ダラダラと一日を過ごす俺と妹。
 俺は、ノートパソコンをリビングに持ってきて、生活必需品を検索する。

「お兄ちゃん、さっきから何をしているの?」
「家具を買おうと思ってな」
「家具って?」
「ほら、都が家に居ついているからな。クローゼットとか箪笥とか足りないだろ?」
「そういえば、そうだね。でもいいの? お父さんたちから、お金が振り込まれないのに、買っちゃて」
「アルバイトを見つけたから問題ない」
「お兄ちゃんは、貯蓄するってことをした方が胡桃はいいと思うの」
「それはソレ、これはコレだ」

 妹と会話していたとこで、携帯電話が鳴る。
 鳴ったのは、俺が普段から利用している電話で純也や都も知っている番号。

「はい! 胡桃です!」

 俺が取る前に、妹が携帯に出る。

「はい。はい。お兄ちゃんなら、今居ますよー。お兄ちゃん、純也さんから電話」
「純也か? どうかしたのか?」
「どうかしたのか? じゃない! お前、最近、変な噂が流れているぞ?」
「変な噂?」
「ああ。何でも自宅に次々と新しい女が来てるとか――」
「どういう噂だ……」

 まあ、強ち間違っていないから否定はできないが……。

「とりあえず、今日は暇なのか?」
「暇と言えば暇だな」

 時計を確認すると時刻は、午後5時過ぎ。
 あと2時間もしたら日が沈む時間だが、まぁ――、気にするほどのことではない。

「そうか。そしたら、少し遊びにいかないか?」
「別に構わないが、何のゲームで?」
「オンラインゲームの話はしてねーよ! まったく……。とりあえず、今から、お前の家に行くから出かける用意しておけよ?」
「分かった」

 電話を切る。

「純也さんとデートなの?」
「男とデートなんかしないからな?」
「そしたら、帰りにプリン買ってきて!」
「分かった。覚えていたらな」

 すぐに俺は着替えて、外へと出る。
 すると丁度、純也が公団住宅の敷地に入ってくるところで――、

「お前、自転車漕ぎながら電話してきたのか?」
「まあな」
「事故ったらどうするんだ……」
「それよりも、遊びにいこうぜ!」
「分かった」

 純也と一緒に、向かった先は京成千葉駅から千葉駅へと向かった先の交差点近くのゲームセンター。
 すでに時刻は午後6時近くと言う事もあり、辺りはネオン灯で眩しく照らされている。
 二人で、レースゲームを始めた所で――、

「なあ、優斗」
「何だ?」
「最近、お前の家に都が通い詰めているって噂になっているけどさ」
「ああ。そのことか。山城綾子って人、純也も知っているよな?」
「生徒会長だろ?」
「そうそう。その生徒会長様が、俺の家に泊まりに来ている事があったんだよな」
「マジかよ!? その話、本当かよ! ――た、たしか……山城家って、かなりの金持ちだろ? どうして優斗の家なんかに泊まりにきてたんだ?」
「色々と引っ掛かるところはあるが、俺の生活態度が問題だとか言っていた気がするが、きっと俺に惚れていたと思う」
「自意識過剰だよな……」
「褒められても困るな」
「褒めてねーよ!」

 純也が叫んだあと溜息をつく。

「――で、その山城綾子って生徒会長とはどうなったんだ?」
「同居解消」
「なるほど……。まぁ、仕方ないよな」
「どうして、そこで俺を憐れむような態度をとってくるのか俺はツッコミたいんだが?」
「すでに言っている件について」
「まぁ、とりあえずだ……、山城綾子が泊まりに来たことに気が付いた都が、生徒会長の身を案じて俺の家に泊まりに来ていたってわけだ」
「そういうことか……。つまり都が勝ったということだな」
「何の勝ち負けかは知らんが――」
「まぁ、優斗の感想はどうでもいいとして、そういう事だから噂になっていたのか。まぁ、どっちにしても都が優斗の家に泊まりに行く可能性はありそうだとは俺は思っていたけどな」

 純也は面白そうな顔で笑みを向けてくる。



 
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