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第三章 呪われし異界の鉄道駅編

第117話

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「それはお断りだな」
「どうしてかしら?」
「どうしてかしらって……。どう考えても、特殊強襲部隊って名前の響きが危なそうだからだろ。俺は一般人として普通に生きたい訳で!」
「何と言うか、貴方って自分の力を理解しているのか理解していないのか分からないわね」
「好きで手に入れた力ではないからな」

 俺は神谷に言葉を返す。

「神様に与えられた力と言う事なのね」
「まぁ、そんなところだ」

 正確に言うと、まったく違うが――、結果は同じだ。
 だから否定はしない。

「分かったわ。それじゃ、当初の話どおり警察官から開始してもらうわね」
「理解してくれて助かる。あと、そろそろ、時間的に家に帰りたいんだが良いか?」
「分かったわ。もう、こんな時間ですものね。宮原警視監、私は桂木君を彼の自宅まで送ってきます」
「ええ。任せるわ」

 宮原と別れた俺は、神谷が運転する車に同乗することになり――、

「俺の家は知っているんだよな」
「ええ。千葉城の近くの公団住宅よね」
「調査済みってことか」
「そのくらいはね」

 車が走り出す。
 時刻は、すでに午前5時を回っている。
 早めに帰らないと、公団住宅の壁を伝って部屋に戻るのを目撃される可能性があるから急いでもらわないとな。

「そういえば、桂木君」
「ん?」
「宮原警視監が渡した携帯電話は持っているかしら?」
「ああ、持っているが?」
「なるべく携帯の電話は切らないでくれるかしら?」
「業務連絡があると言う事か?」
「それもあるわ。貴方の治癒能力に関して警察病院で試してもらう事が出てくると思うから、早めに連絡が取れないと困るからね」
「つまり、何かしらの実験に付き合えということか?」
「実験と言うよりも、警察病院には凶悪犯が病で服していて、取り調べが困難な人もいるから」
「なるほど……。だが、最初に言ったが寿命から来る病や、現在の医学では対処できない病については治療をするつもりはないからな」
「分かっているわ。その辺の選定もするから、なるべく携帯電話の電源は切らないで欲しいの」
「仕方ないな。分かった。だが――、俺は、いつから公務員として採用される形になるんだ?」
「そうね。嘱託という形にはなるけれど、今日から採用されているわ」
「ずいぶんと早急だな」
「だって、それだけ桂木君の力は魅力的だからね」
「そうか」

 短く答えながら、俺は助手席に身体を預けたあと、目を閉じた。 
 それから自宅に到着したのは10分後。
 神谷と別れた俺は、彼女の車が立ち去ったのを確認してから公団の壁を伝って妹の部屋の窓から部屋へと入り仮眠をとった。



 ――翌日。

「お兄ちゃん!」

 ドンドンドンと、何度も鉄扉が叩かれる。
 
「優斗! 開けなさいよ!」

 ドンドンドンドンドンと、扉がノックされる。
 現在、妹の部屋の扉が鉄製で、俺が溶接したことで外からは開けられない状況になっている。
 そして、そんな鉄扉を開けようと何度も扉をノックしてくる妹と都には、少しだけ恐怖を感じる。

「俺は眠いから寝かせてくれ」

 時刻を見れば、午前8時。
 まだ3時間も寝てない。
 正直、眠い。

「お兄ちゃんを尋ねて女の人が来たの!」
「女? 誰だ?」

 すぐに思い浮かぶのは神谷という女性だが……。

「東雲さんって人! お兄ちゃんに、会いたいって!」

 誰だ? 東雲って……、そんな名前の人物に心当たりとか一切無いんだが……。



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