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第三章 呪われし異界の鉄道駅編
第113話
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――コンコン
「失礼します」
そう言って室内に入ってきたのは、先ほど退出した神谷。
そして、その後ろには肩幅が、一般成人女性の倍はあろうかと言うほど、体躯の大きな男。
身長も、俺が見上げるほど大きく、身長は2メートル近いだろう。
「宮原警視監、連れてきました」
「ご苦労様。桂木君、彼が君の教育担当です」
「竜道寺君」
「竜道寺(りゅうどうじ)幸三(こうぞう)だ。お前の教育係りを任された。よろしく頼む」
握手のつもりなのか俺に手を差し出してくる。
「ああ、宜しく頼む。桂木優斗だ。桂木でも、優斗でも好きな風に呼んでくれて構わない」
俺は椅子から立ち上がり、竜道寺の手を握る。
掌の大きさは、俺よりも一回り程度大きい程度だが、肉厚がまったく違う。
明らかに、鍛えているというのが、一目どころか握手しただけで分かる。
「ふむ……」
竜道寺は、そう小さく呟くと、頭上から俺を見降ろしながらも目を細め興味深そうに俺を見て来た。
「どうかしら? 竜道寺警視」
「宮原警視監」
「何かしら?」
「自分が教育を任されたのは、平和な日本という国で暮らしてきた日本人の高校生という話でしたが?」
「そんな事は言った覚えはないのだけれど、どういう意味かしら?」
「――いえ。どう見ても目の前に居る男は……。何でもありません」
竜道寺の口ぶりから、どうやら、他者の力量を測れる程度には実力があるようだな。
まぁ、俺から見た竜道寺の戦闘力は、冒険者ランクで言うのならBランク程度だが――。
「余計なことは詮索しないこと。いいわね? それと桂木君には、勉強も教えてあげて欲しいの」
「はぁ……、どの程度の?」
竜道寺が溜息をつきながら、握手していた手を離す。
「東京大学に入学できる程度でいいわ」
「「それは無理なのでは?」」
俺と、竜道寺の言葉が思わず重なる。
どうやら、一目で俺の学力レベルを見抜いたようだな。
あと、否定から入るのは良くないぞ?
俺じゃなかったら落ち込んでいるところだ。
「貴方ならできるわ。期待しているから」
「……分かりました宮原警視監。桂木優斗君、携帯を貸してもらえないか? 自分の電話番号を登録しておきたい」
「ああ、別に構わない」
俺は、宮原から受け取っていた携帯電話を竜道寺に渡す。
「登録しておいた。何かあれば連絡をくれ」
「それと竜道寺警視。桂木君には、護身術を仕込んで欲しいの。彼には、自身の身を守る術が必要だと思うから」
宮原の言葉に嘆息した竜道寺は俺の方を見てくる。
「護身術、必要か?」
「必要ないな」
肩を竦めながら答えるが――、
「桂木君。護身術を習うのも、仕事の一貫だと思って欲しいわ」
「それは命令ということか?」
「そうね。貴方の身に何かあったら警察庁としても困るもの。あとは、私もね――」
「なるほど……。――で、俺に護身術を教えるのは竜道寺でいいのか?」
「桂木君。目上の人を名前で呼ぶときは『さん』付けか敬称を付けなさい」
面倒だな。
どう考えても、この中では俺が一番、年を経ているのだが……。
「宮原警視監、若者は往々にして、そういう世界と自分は同一の価値があると思うことはありますので。では、桂木君」
「――ん?」
「これから軽く護身術を教えたいと思うがいいかな?」
「もう午前3時だぞ? そろそろ帰って寝たいんだが?」
「大丈夫だ。すぐに済む。自分の見たところ、君も何かしらの武術をしていると見ている。基礎が出来ているのなら、すぐに終わるだろう」
「宮原、良いのか?」
「ええ。ただ気を抜かないようにね。竜道寺警視は、オリンピックの柔道の部門で金メダルを取ったことがあるの。それに剣道と合気道と柔道と空手の有段者だから。手加減はしてくれると思うけど、無理はしないようにね」
そう、俺に忠告してくる宮原。
「なるほど……」
「大丈夫だ。手加減はする」
そう俺に竜道寺は語り掛けてきた。
「失礼します」
そう言って室内に入ってきたのは、先ほど退出した神谷。
そして、その後ろには肩幅が、一般成人女性の倍はあろうかと言うほど、体躯の大きな男。
身長も、俺が見上げるほど大きく、身長は2メートル近いだろう。
「宮原警視監、連れてきました」
「ご苦労様。桂木君、彼が君の教育担当です」
「竜道寺君」
「竜道寺(りゅうどうじ)幸三(こうぞう)だ。お前の教育係りを任された。よろしく頼む」
握手のつもりなのか俺に手を差し出してくる。
「ああ、宜しく頼む。桂木優斗だ。桂木でも、優斗でも好きな風に呼んでくれて構わない」
俺は椅子から立ち上がり、竜道寺の手を握る。
掌の大きさは、俺よりも一回り程度大きい程度だが、肉厚がまったく違う。
明らかに、鍛えているというのが、一目どころか握手しただけで分かる。
「ふむ……」
竜道寺は、そう小さく呟くと、頭上から俺を見降ろしながらも目を細め興味深そうに俺を見て来た。
「どうかしら? 竜道寺警視」
「宮原警視監」
「何かしら?」
「自分が教育を任されたのは、平和な日本という国で暮らしてきた日本人の高校生という話でしたが?」
「そんな事は言った覚えはないのだけれど、どういう意味かしら?」
「――いえ。どう見ても目の前に居る男は……。何でもありません」
竜道寺の口ぶりから、どうやら、他者の力量を測れる程度には実力があるようだな。
まぁ、俺から見た竜道寺の戦闘力は、冒険者ランクで言うのならBランク程度だが――。
「余計なことは詮索しないこと。いいわね? それと桂木君には、勉強も教えてあげて欲しいの」
「はぁ……、どの程度の?」
竜道寺が溜息をつきながら、握手していた手を離す。
「東京大学に入学できる程度でいいわ」
「「それは無理なのでは?」」
俺と、竜道寺の言葉が思わず重なる。
どうやら、一目で俺の学力レベルを見抜いたようだな。
あと、否定から入るのは良くないぞ?
俺じゃなかったら落ち込んでいるところだ。
「貴方ならできるわ。期待しているから」
「……分かりました宮原警視監。桂木優斗君、携帯を貸してもらえないか? 自分の電話番号を登録しておきたい」
「ああ、別に構わない」
俺は、宮原から受け取っていた携帯電話を竜道寺に渡す。
「登録しておいた。何かあれば連絡をくれ」
「それと竜道寺警視。桂木君には、護身術を仕込んで欲しいの。彼には、自身の身を守る術が必要だと思うから」
宮原の言葉に嘆息した竜道寺は俺の方を見てくる。
「護身術、必要か?」
「必要ないな」
肩を竦めながら答えるが――、
「桂木君。護身術を習うのも、仕事の一貫だと思って欲しいわ」
「それは命令ということか?」
「そうね。貴方の身に何かあったら警察庁としても困るもの。あとは、私もね――」
「なるほど……。――で、俺に護身術を教えるのは竜道寺でいいのか?」
「桂木君。目上の人を名前で呼ぶときは『さん』付けか敬称を付けなさい」
面倒だな。
どう考えても、この中では俺が一番、年を経ているのだが……。
「宮原警視監、若者は往々にして、そういう世界と自分は同一の価値があると思うことはありますので。では、桂木君」
「――ん?」
「これから軽く護身術を教えたいと思うがいいかな?」
「もう午前3時だぞ? そろそろ帰って寝たいんだが?」
「大丈夫だ。すぐに済む。自分の見たところ、君も何かしらの武術をしていると見ている。基礎が出来ているのなら、すぐに終わるだろう」
「宮原、良いのか?」
「ええ。ただ気を抜かないようにね。竜道寺警視は、オリンピックの柔道の部門で金メダルを取ったことがあるの。それに剣道と合気道と柔道と空手の有段者だから。手加減はしてくれると思うけど、無理はしないようにね」
そう、俺に忠告してくる宮原。
「なるほど……」
「大丈夫だ。手加減はする」
そう俺に竜道寺は語り掛けてきた。
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