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第二章 逆さ鳥居の神社編
第84話
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近くの気配を確認しつつ、外へと出たあとは校舎の周りを移動しつつ、校舎裏に到着する。
裏山の方へ視線を向けると山城綾子を確認する事はできない。
おそらく、走って山を登っていったのだろう。
「それだけ必死ということか? それとも……、何かあるのか?」
神社庁の連中は何も言っていなかったが、裏山に向かったと言う事は、何かしらのモノが存在していると考えるのが普通だが……。
「――ったく」
すでに神社庁の連中は完全に撤退しているようで、情報を得られるような人間はいない。
話し合いで済めば問題ないんだがな……。
相手の性質がどういったモノか分からない以上、判断材料が乏しいというのは困りものだ。
仕方なく、俺は裏山に向けて走り出す。
それと同時に、けたたましいベルが校舎全体から聞こえてくる。
「これは……、火災警報器か? そうか……、山崎の仕業か……それにあれは……発煙筒か?」
赤い煙が、1階のトイレの窓から立ち上るのが見える。
「たしかに……。下手に学校側と交渉するよりかは、火災警報器の方が問題ないな」
慌ただしくなっていく校舎の雰囲気を感じながら、俺はすぐに裏山を登っていく。
しばらく走り、校舎が見えなくなったところで、身体強化を行い山道を一気に駆け上がっていく。
すると、数分で大きな岩が見えてくる。
もう追い付いていないとおかしい。
「綾子はどこだ?」
俺は周囲を見渡す。
だが、山城綾子の姿を見つけることは出来ない。
「入れ違いになったか?」
「いいえ。山城綾子さんは、来たわよ?」
「誰だ?」
咄嗟に波動結界を展開し周囲を索敵する。
それと同時に二つの生命体の反応を確認。
一つは山城綾子のモノだが、もう一つは知らない生命反応だ。
だが、距離と方角は分かる。
「出てこい。今は時間が惜しい」
「言われなくても出ていくわよ。それより、貴方……あの時の理事長室に呼び出されていた学生さんよね? どうして、こんなところにいるの?」
「それは、こっちのセリフだ」
「失礼な物言いをする学生ね。貴方のことは聞いているわ。桂木優斗、強い霊力を持っている素人だって。そんな素人が、どうして探偵の真似事をしているのかしら?」
「お前には関係の無いことだ」
「そんな事を言っていいのかしら? 君の家に宿泊している山城綾子さんの居場所を知りたくないの?」
「既に探知は済ませているから問題ない」
「――え?」
今は、目の前の女を相手にしている時間が惜しい。
俺は自分が立っている足元を見る。
山城綾子の反応は、間違いなく俺の足元の下から伝わってくる。
「なるほど……。そういうことか」
俺は、波動結界を維持しつつ大岩の方へと視線を向ける。
すると、大岩には大きな亀裂が入っていて中へと通じる階段が下へと伸びていた。
「結界か」
「貴方……一体、何者なの? た、たしかに……、この大岩には、逆社に通じる道が存在しているって調べた文献には書かれていたけど、私には何も発見できなかったけど……」
「だから、言っただろう? 結界が張られていると」
俺はベストから、ナイフを一本取り出し、体内で増幅した生体電流をナイフに纏わせる。
数千万ボルトの電圧と負荷による抵抗によりナイフは帯電を起し、ナイフの刀身は赤く染まっていく。
「な、なんなの……それ……」
女が目を見開くばかりか、大きく口を開けて俺を見ながら呆然と呟いてくるが――、俺は女を無視しつつナイフの刀身に生体電流を集中させていき――、何も存在しない空間を切り裂く!
すると何も存在しない空間が軋みを上げると同時に鏡を割った時のような音が周囲に響き渡る。
「さて――行くか」
結界を粉砕したことで、大岩の中心には隠されていた巨大な大穴が出現していた。
どうやって結界を山城綾子が突破したのかは謎だが、何かしらの因果関係があることは確かだ。
「待ちなさいよ!」
「何だよ?」
「貴方、一体何者なの? さっき、岩の中に吸い込まっていった山城綾子さんもそうだけど! 一体、どうなっているの!」
「お前に答える必要があるのか? 紅(くれない)幸子(さちこ)」
「――ッ!」
女が慌てて俺から距離を取る。
「貴方、どこで私の名前を……」
「理事長から聞いた。それよりも、お前と話している暇はない」
俺は、女を無視して大岩の中へと入る。
大岩の中は、光ゴケが照らしているのか思ったよりも暗くはない。
まぁ、身体強化した俺には暗闇なんてものは意味はないが。
俺は、炭化したナイフを捨て階段を駆け下りていく。
裏山の方へ視線を向けると山城綾子を確認する事はできない。
おそらく、走って山を登っていったのだろう。
「それだけ必死ということか? それとも……、何かあるのか?」
神社庁の連中は何も言っていなかったが、裏山に向かったと言う事は、何かしらのモノが存在していると考えるのが普通だが……。
「――ったく」
すでに神社庁の連中は完全に撤退しているようで、情報を得られるような人間はいない。
話し合いで済めば問題ないんだがな……。
相手の性質がどういったモノか分からない以上、判断材料が乏しいというのは困りものだ。
仕方なく、俺は裏山に向けて走り出す。
それと同時に、けたたましいベルが校舎全体から聞こえてくる。
「これは……、火災警報器か? そうか……、山崎の仕業か……それにあれは……発煙筒か?」
赤い煙が、1階のトイレの窓から立ち上るのが見える。
「たしかに……。下手に学校側と交渉するよりかは、火災警報器の方が問題ないな」
慌ただしくなっていく校舎の雰囲気を感じながら、俺はすぐに裏山を登っていく。
しばらく走り、校舎が見えなくなったところで、身体強化を行い山道を一気に駆け上がっていく。
すると、数分で大きな岩が見えてくる。
もう追い付いていないとおかしい。
「綾子はどこだ?」
俺は周囲を見渡す。
だが、山城綾子の姿を見つけることは出来ない。
「入れ違いになったか?」
「いいえ。山城綾子さんは、来たわよ?」
「誰だ?」
咄嗟に波動結界を展開し周囲を索敵する。
それと同時に二つの生命体の反応を確認。
一つは山城綾子のモノだが、もう一つは知らない生命反応だ。
だが、距離と方角は分かる。
「出てこい。今は時間が惜しい」
「言われなくても出ていくわよ。それより、貴方……あの時の理事長室に呼び出されていた学生さんよね? どうして、こんなところにいるの?」
「それは、こっちのセリフだ」
「失礼な物言いをする学生ね。貴方のことは聞いているわ。桂木優斗、強い霊力を持っている素人だって。そんな素人が、どうして探偵の真似事をしているのかしら?」
「お前には関係の無いことだ」
「そんな事を言っていいのかしら? 君の家に宿泊している山城綾子さんの居場所を知りたくないの?」
「既に探知は済ませているから問題ない」
「――え?」
今は、目の前の女を相手にしている時間が惜しい。
俺は自分が立っている足元を見る。
山城綾子の反応は、間違いなく俺の足元の下から伝わってくる。
「なるほど……。そういうことか」
俺は、波動結界を維持しつつ大岩の方へと視線を向ける。
すると、大岩には大きな亀裂が入っていて中へと通じる階段が下へと伸びていた。
「結界か」
「貴方……一体、何者なの? た、たしかに……、この大岩には、逆社に通じる道が存在しているって調べた文献には書かれていたけど、私には何も発見できなかったけど……」
「だから、言っただろう? 結界が張られていると」
俺はベストから、ナイフを一本取り出し、体内で増幅した生体電流をナイフに纏わせる。
数千万ボルトの電圧と負荷による抵抗によりナイフは帯電を起し、ナイフの刀身は赤く染まっていく。
「な、なんなの……それ……」
女が目を見開くばかりか、大きく口を開けて俺を見ながら呆然と呟いてくるが――、俺は女を無視しつつナイフの刀身に生体電流を集中させていき――、何も存在しない空間を切り裂く!
すると何も存在しない空間が軋みを上げると同時に鏡を割った時のような音が周囲に響き渡る。
「さて――行くか」
結界を粉砕したことで、大岩の中心には隠されていた巨大な大穴が出現していた。
どうやって結界を山城綾子が突破したのかは謎だが、何かしらの因果関係があることは確かだ。
「待ちなさいよ!」
「何だよ?」
「貴方、一体何者なの? さっき、岩の中に吸い込まっていった山城綾子さんもそうだけど! 一体、どうなっているの!」
「お前に答える必要があるのか? 紅(くれない)幸子(さちこ)」
「――ッ!」
女が慌てて俺から距離を取る。
「貴方、どこで私の名前を……」
「理事長から聞いた。それよりも、お前と話している暇はない」
俺は、女を無視して大岩の中へと入る。
大岩の中は、光ゴケが照らしているのか思ったよりも暗くはない。
まぁ、身体強化した俺には暗闇なんてものは意味はないが。
俺は、炭化したナイフを捨て階段を駆け下りていく。
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