37 / 330
第一章 呪いのエレベーター編
第37話
しおりを挟む
「お兄ちゃん」
「――ん?」
靴を脱いで台所に向かおうとしたところで、横を通り過ぎようとした俺に話しかけてくる妹。
「どうした?」
「はいっ、これ――」
家電の受話器を俺に押し付けてくる妹。
俺は仕方なく、子機に転送し電話を取る。
「優斗なのっ!?」
「あ、ああ……。そうだが、どうかしたのか?」
「だって――、優斗が昨日の夜に居なくなったって聞いて……」
「俺は問題ないし、特に俺が心配されるようなことはない」
「でも! 胡桃ちゃんが涙声で、優斗が失踪した! って、電話してきたんだよ! 心配しない方がおかしいから! ――なのに! 心配されるようなことはないって! どういうことなの!」
何か知らないが都が、非常に御立腹だと言うのは電話を通しても分かった。
だが、俺は誰かに心配してもらうほど弱くはないし、そんな資格もない。
「しかも、海を見に行っていたって……、優斗は暗いところが嫌いだったよね!」
やばいな、そのへんはまったく覚えてない。
だいたい何十年前の話を持ち出されても俺としては困るんだが……。
「ほら! 俺も、高校生になったんだし、何時までも暗闇を恐れていても仕方ないだろう?」
「……」
俺の言い訳に無言で返してくる都。
ここは、話題を変えた方がいいな。
「都、お父さんは大丈夫か?」
「――え?」
「今日、各都道府県のエレベーター内部から行方不明者が出てきたとニュースで流れていたよな? それで、お父さんと会社は大丈夫なのか?」
「う、うん。お父さんは、無罪放免で、もう戻ってきていて、さっき出社したけど……」
「つまり、もう大丈夫だと言う事か?」
「うん。警察署で使われているエレベーターは、お父さんの会社のエレベーターとは別のメーカーだから……」
「つまり嫌疑は不十分の上、釈放と言ったところか」
「うん、それに報道陣も実際に行方不明が出てきた警察署に行っているから、朝までの報道陣が詰め寄ってきた時とは打って変わって静かだよ?」
「そうか」
当事者から話しを聞けたのは大きい。
何とか、都を救うという目的は達成できたのだから御の字といったところだろう。
「――って! 優斗! 話しを逸らさないで!」
「何のことだ?」
「もう! 私を心配させたんだから! 責任取ってよね!」
「責任って何の責任だ……」
あまりにも突拍子すぎる会話の流れ。
正直、ついていけない。
「えっとね! 優斗って、明日の土曜日って暇だよね?」
「暇というより、今週いっぱいは学校が休みだって聞いたが……」
「――なら! 私に付き合って!」
「お金ならないぞ」
「もう! そういうことじゃないから! 少し、私の買い物に付き合って!」
「つまり、それが俺の責任ということか」
「そうそう。責任取ってくれるよね?」
「はぁ……、仕方ないな」
どうして、俺なんかを買い物に誘うのか。
都は、見目麗しく人付き合いも卒なく出来ているのだから、俺なんかと買い物に行かなくてもいいと思うんだがな……。
「――ん?」
靴を脱いで台所に向かおうとしたところで、横を通り過ぎようとした俺に話しかけてくる妹。
「どうした?」
「はいっ、これ――」
家電の受話器を俺に押し付けてくる妹。
俺は仕方なく、子機に転送し電話を取る。
「優斗なのっ!?」
「あ、ああ……。そうだが、どうかしたのか?」
「だって――、優斗が昨日の夜に居なくなったって聞いて……」
「俺は問題ないし、特に俺が心配されるようなことはない」
「でも! 胡桃ちゃんが涙声で、優斗が失踪した! って、電話してきたんだよ! 心配しない方がおかしいから! ――なのに! 心配されるようなことはないって! どういうことなの!」
何か知らないが都が、非常に御立腹だと言うのは電話を通しても分かった。
だが、俺は誰かに心配してもらうほど弱くはないし、そんな資格もない。
「しかも、海を見に行っていたって……、優斗は暗いところが嫌いだったよね!」
やばいな、そのへんはまったく覚えてない。
だいたい何十年前の話を持ち出されても俺としては困るんだが……。
「ほら! 俺も、高校生になったんだし、何時までも暗闇を恐れていても仕方ないだろう?」
「……」
俺の言い訳に無言で返してくる都。
ここは、話題を変えた方がいいな。
「都、お父さんは大丈夫か?」
「――え?」
「今日、各都道府県のエレベーター内部から行方不明者が出てきたとニュースで流れていたよな? それで、お父さんと会社は大丈夫なのか?」
「う、うん。お父さんは、無罪放免で、もう戻ってきていて、さっき出社したけど……」
「つまり、もう大丈夫だと言う事か?」
「うん。警察署で使われているエレベーターは、お父さんの会社のエレベーターとは別のメーカーだから……」
「つまり嫌疑は不十分の上、釈放と言ったところか」
「うん、それに報道陣も実際に行方不明が出てきた警察署に行っているから、朝までの報道陣が詰め寄ってきた時とは打って変わって静かだよ?」
「そうか」
当事者から話しを聞けたのは大きい。
何とか、都を救うという目的は達成できたのだから御の字といったところだろう。
「――って! 優斗! 話しを逸らさないで!」
「何のことだ?」
「もう! 私を心配させたんだから! 責任取ってよね!」
「責任って何の責任だ……」
あまりにも突拍子すぎる会話の流れ。
正直、ついていけない。
「えっとね! 優斗って、明日の土曜日って暇だよね?」
「暇というより、今週いっぱいは学校が休みだって聞いたが……」
「――なら! 私に付き合って!」
「お金ならないぞ」
「もう! そういうことじゃないから! 少し、私の買い物に付き合って!」
「つまり、それが俺の責任ということか」
「そうそう。責任取ってくれるよね?」
「はぁ……、仕方ないな」
どうして、俺なんかを買い物に誘うのか。
都は、見目麗しく人付き合いも卒なく出来ているのだから、俺なんかと買い物に行かなくてもいいと思うんだがな……。
0
お気に入りに追加
108
あなたにおすすめの小説
18禁NTR鬱ゲーの裏ボス最強悪役貴族に転生したのでスローライフを楽しんでいたら、ヒロイン達が奴隷としてやって来たので幸せにすることにした
田中又雄
ファンタジー
『異世界少女を歪ませたい』はエロゲー+MMORPGの要素も入った神ゲーであった。
しかし、NTR鬱ゲーであるためENDはいつも目を覆いたくなるものばかりであった。
そんなある日、裏ボスの悪役貴族として転生したわけだが...俺は悪役貴族として動く気はない。
そう思っていたのに、そこに奴隷として現れたのは今作のヒロイン達。
なので、酷い目にあってきた彼女達を精一杯愛し、幸せなトゥルーエンドに導くことに決めた。
あらすじを読んでいただきありがとうございます。
併せて、本作品についてはYouTubeで動画を投稿しております。
より、作品に没入できるようつくっているものですので、よければ見ていただければ幸いです!
妻を寝取ったパーティーメンバーに刺殺された俺はもう死にたくない。〜二度目の俺。最悪から最高の人生へ〜
橋本 悠
ファンタジー
両親の死、いじめ、NTRなどありとあらゆる`最悪`を経験し、終いにはパーティーメンバーに刺殺された俺は、異世界転生に成功した……と思いきや。
もしかして……また俺かよ!!
人生の最悪を賭けた二周目の俺が始まる……ってもうあんな最悪見たくない!!!
さいっっっっこうの人生送ってやるよ!!
──────
こちらの作品はカクヨム様でも連載させていただいております。
先取り更新はカクヨム様でございます。是非こちらもよろしくお願いします!
【R18】スライムにマッサージされて絶頂しまくる女の話
白木 白亜
ファンタジー
突如として異世界転移した日本の大学生、タツシ。
世界にとって致命的な抜け穴を見つけ、召喚士としてあっけなく魔王を倒してしまう。
その後、一緒に旅をしたスライムと共に、マッサージ店を開くことにした。卑猥な目的で。
裏があるとも知れず、王都一番の人気になるマッサージ店「スライム・リフレ」。スライムを巧みに操って体のツボを押し、角質を取り、リフレッシュもできる。
だがそこは三度の飯よりも少女が絶頂している瞬間を見るのが大好きなタツシが経営する店。
そんな店では、膣に媚薬100%の粘液を注入され、美少女たちが「気持ちよくなって」いる!!!
感想大歓迎です!
※1グロは一切ありません。登場人物が圧倒的な不幸になることも(たぶん)ありません。今日も王都は平和です。異種姦というよりは、スライムは主人公の補助ツールとして扱われます。そっち方面を期待していた方はすみません。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
勇者に闇討ちされ婚約者を寝取られた俺がざまあするまで。
飴色玉葱
ファンタジー
王都にて結成された魔王討伐隊はその任を全うした。
隊を率いたのは勇者として名を挙げたキサラギ、英雄として誉れ高いジークバルト、さらにその二人を支えるようにその婚約者や凄腕の魔法使いが名を連ねた。
だがあろうことに勇者キサラギはジークバルトを闇討ちし行方知れずとなってしまう。
そして、恐るものがいなくなった勇者はその本性を現す……。
甘い誘惑
さつらぎ結雛
恋愛
幼馴染だった3人がある日突然イケナイ関係に…
どんどん深まっていく。
こんなにも身近に甘い罠があったなんて
あの日まで思いもしなかった。
3人の関係にライバルも続出。
どんどん甘い誘惑の罠にハマっていく胡桃。
一体この罠から抜け出せる事は出来るのか。
※だいぶ性描写、R18、R15要素入ります。
自己責任でお願い致します。
序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし〜
水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑
★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位!
★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント)
「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」
『醜い豚』
『最低のゴミクズ』
『無能の恥晒し』
18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。
優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。
魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。
ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。
プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。
そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。
ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。
「主人公は俺なのに……」
「うん。キミが主人公だ」
「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」
「理不尽すぎません?」
原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。
※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!
ごめんみんな先に異世界行ってるよ1年後また会おう
味噌汁食べれる
ファンタジー
主人公佐藤 翔太はクラスみんなより1年も早く異世界に、行ってしまう。みんなよりも1年早く異世界に行ってしまうそして転移場所は、世界樹で最強スキルを実でゲット?スキルを奪いながら最強へ、そして勇者召喚、それは、クラスのみんなだった。クラスのみんなが頑張っているときに、主人公は、自由気ままに生きていく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる