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第一章 呪いのエレベーター編
第22話
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俺の返答に肩を落とす山崎は、地面の上に俺が置いたボストンバックを拾うと砂をはたいた後、肩に担ぐ。
「いきますか。どうせ、何も教えてはくれないんでしょう?」
「そうだな」
戦術を相手に教えることはありえない。
それは自分の生死に関わる問題だからだ。
とくに俺が使っている技の全ては地球に居る生物なら誰でも使えるようになる。
まぁ、それなりの修練が必要となるが――。
「熱っ!」
俺が立っている場所から先に進もうとした山崎が、俺から数歩下がる。
「すぐに熱気は冷めるが、俺より先には進まない方がいい」
「そういうことは早く言ってくださいよ」
「そうだな」
「そういえば、さっきのは雷ですよね?」
「――ん? そうだな」
「桂木さんは、何か……その……強力なスタンバトンみたいなモノを改造したものを――」
「持ってない」
「――え?」
「だから持っていない」
「もっていない? 何か、特別な軍事的な機密道具すらも?」
「ああ」
ようやく熱気がおさまり、一般人でも通れるようになった通路を俺は歩き出す。
「ちょっと待ってくださいよ! 桂木さんは、陰陽師とかでは?」
「陰陽師? そんなものがいるのか?」
「いますよ! 神社庁と双璧を成すのが陰陽庁ですよ」
「俺が知らない単語がポンポン出てくるんだが……」
「本当に知らないんですね」
「俺は、そんな意味不明なファンタジー世界には生きてないからな」
「自分からすれば、桂木さんの強さはファンタジーどころかチートなんですけどね。女神に異世界転生させられてきた勇者と言われても納得できてしまうくらいで」
「そんな事がある訳がない」
かなり核心的な部分をついてきたのは、オカルト雑誌の編集者といったところか?
「それにしても、出てこなくなりましたね」
「ウィルオーウィスプか? 恐らくだが、あれはバンシーに近い存在な気がするが……」
「たしかに……」
思う所があったのか、小さく頷くのを背中越しに察する。
もしかしたら、先ほど恐怖により恐慌した時に、何かを見たのかも知れないな。
しばらくと言っても10分ほど歩くと、手掘りの洞窟にはあまりにも不釣り合いな襖が唐突に姿を現す。
襖の色は、薄黒い銀色。
「これは何ですかね?」
遠目に襖の外をウロウロする山崎の気配を察しながら襖を開ける。
すると中には巨大な――、直径2メートルを超す瞳が、畳の間に鎮座している。
「こ、これって……人の瞳ですよね?」
「そうだな。もしくは人間の瞳に似せて化けているかも知れない」
「化ける? こんな巨大なモノに? 少し意味が分からないんですが? 普通なら、人間に化けませんか?」
あまりにも全うな正論。
たしかに、巨大な瞳だけを襖を開けた畳の間に置いておくのは理に叶っていない。
「いきますか。どうせ、何も教えてはくれないんでしょう?」
「そうだな」
戦術を相手に教えることはありえない。
それは自分の生死に関わる問題だからだ。
とくに俺が使っている技の全ては地球に居る生物なら誰でも使えるようになる。
まぁ、それなりの修練が必要となるが――。
「熱っ!」
俺が立っている場所から先に進もうとした山崎が、俺から数歩下がる。
「すぐに熱気は冷めるが、俺より先には進まない方がいい」
「そういうことは早く言ってくださいよ」
「そうだな」
「そういえば、さっきのは雷ですよね?」
「――ん? そうだな」
「桂木さんは、何か……その……強力なスタンバトンみたいなモノを改造したものを――」
「持ってない」
「――え?」
「だから持っていない」
「もっていない? 何か、特別な軍事的な機密道具すらも?」
「ああ」
ようやく熱気がおさまり、一般人でも通れるようになった通路を俺は歩き出す。
「ちょっと待ってくださいよ! 桂木さんは、陰陽師とかでは?」
「陰陽師? そんなものがいるのか?」
「いますよ! 神社庁と双璧を成すのが陰陽庁ですよ」
「俺が知らない単語がポンポン出てくるんだが……」
「本当に知らないんですね」
「俺は、そんな意味不明なファンタジー世界には生きてないからな」
「自分からすれば、桂木さんの強さはファンタジーどころかチートなんですけどね。女神に異世界転生させられてきた勇者と言われても納得できてしまうくらいで」
「そんな事がある訳がない」
かなり核心的な部分をついてきたのは、オカルト雑誌の編集者といったところか?
「それにしても、出てこなくなりましたね」
「ウィルオーウィスプか? 恐らくだが、あれはバンシーに近い存在な気がするが……」
「たしかに……」
思う所があったのか、小さく頷くのを背中越しに察する。
もしかしたら、先ほど恐怖により恐慌した時に、何かを見たのかも知れないな。
しばらくと言っても10分ほど歩くと、手掘りの洞窟にはあまりにも不釣り合いな襖が唐突に姿を現す。
襖の色は、薄黒い銀色。
「これは何ですかね?」
遠目に襖の外をウロウロする山崎の気配を察しながら襖を開ける。
すると中には巨大な――、直径2メートルを超す瞳が、畳の間に鎮座している。
「こ、これって……人の瞳ですよね?」
「そうだな。もしくは人間の瞳に似せて化けているかも知れない」
「化ける? こんな巨大なモノに? 少し意味が分からないんですが? 普通なら、人間に化けませんか?」
あまりにも全うな正論。
たしかに、巨大な瞳だけを襖を開けた畳の間に置いておくのは理に叶っていない。
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