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第423話 大寒波襲来(4)
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俺は頷く。
「ただ、自分の責任にされてもどうしようもないですけどね」
頭を掻きながら、雪音さんに答える。
「――でも、五郎さんが辺境伯領を継ぐ事になれば、王宮側も色々と手を出してきそうです」
「ですよねー」
それは、俺も考えていたことだ。
ただ、それは今すぐという訳ではないし、王宮側も日本側の武力は痛いほど理解しているはず。
秋田市を上空から見せて建造物の――、文明力の差は痛感しているはずだし、下手なことはしてこないだろう。
「雪音さん」
「はい?」
「たぶん大丈夫だと思いますよ? 軍事力や文明力に隔たりがあり過ぎると争うことは無いと思いますし」
「でも、辺境伯領はエルム王国側と地続きですよね?」
「そうですね。まあ、最悪――」
「こちらに戻ってきてしまっても問題ないですね」
「それまでに、日本でも地力を育てる必要がありますけど」
「頑張りましょう! 五郎さん」
「ですね」
随分と話が逸れてしまった。
とりあえず、ここらで話を戻そう。
「それで雪音さん」
「はい?」
「一度、一緒にお出かけしませんか?」
「プロポーズですか?」
「……」
雪音さんのツッコミに、俺は思わず無言になってしまう。
「――あ、ごめんなさい。何だか、ずっと一緒に暮らしているから、何だか今更な気が……」
「そ、それはそうですね……」
そこは、俺も同意見だ。
頷きながら、同意する。
「とりあえず、雪音さんのご両親に報告に行ってもいいですか?」
「えっと……、それって――」
「お墓参りに行きましょう。今度」
「あ、そういうことですか。わかりました!」
「あとは、祖父母にも挨拶に行かないといけないですからね。前回も、話はさせてもらいましたが、今回は結婚の日取りも含めてキチンと報告しないと」
「おじいちゃんなら電話だけでいいと思いますけど?」
「――いえ。きちんとご自宅に行って挨拶に伺った方がいいと思うので」
「分かりました。おじいちゃんに連絡しておきますね」
「お願いします」
あとは、プロポーズをどうするかだな。
そのへんは指輪が出来てからって感じになるか。
「はい!」
「あと、それと――」
言いかけたところで――、
「グルルルッ」
足元から唸るような声が――、足元を見れば、そこにはフーちゃんが、俺のズボンをガジガジと噛んでいた。
とっても不機嫌そうだ。
「フーちゃん、お腹でも空いたのかしら?」
「さあ?」
先ほどまでの、少し緊張感のある空気が弛緩し、雪音さんがフーちゃんへと話しかける。
すると、フーちゃんは、本当に不機嫌なのかコタツの中へと入っていくと、寝ている桜の横で伏せて目を閉じてしまう。
「何だか、フーちゃん、不機嫌っぽいですね」
「はい。何だか……、人で言うと、嫉妬とか、そんな感じに見えますね」
雪音さんの言葉。
嫉妬という意味。
ただ、俺としては犬が嫉妬しているとは、どうしても思えない。
「あれですよ。犬って、相手にされないと怒ることとかあるらしいですから。そんな感じだと思いますよ」
「そんなものですか?」
「たぶん……、そんな感じだと思いますよ」
犬は犬だし、動物なのだから人同士の恋愛事を見て首を突っ込んできたり、何か思うような事は絶対にないと思うし。
「それならいいのですけど……。何だか、フーちゃんって普通の犬じゃない気がするんですよね」
「普通の犬じゃない?」
「はい。もしかしたら――、すごい魔物とか!」
「それは無いと思いますよ」
そんなすごい魔物だったらナイルさんとかメディーナさんとか、王宮の人とかノーマン辺境伯が黙っているわけないし。
「そうですか?」
「普通の犬じゃないなら、異世界の人が何かしら教えてくれるはずですから」
「そういえば、そうですね……。もしかして、フーちゃんに口止めされているとか?」
「そんな、まさかー」
それこそありえない話だ。
フーちゃんは食い意地が張っているだけの仔犬で、そんなすごい存在なわけないし。
本当に、そんなにすごい魔物だったら、それこそ誰かが関与して桜にフーちゃんを買わせたって事になるわけで――、そんな偶然があるわけがない。
「そうですよね……」
雪音さんは、困惑した表情で渋々と言った様子で頷く。
そこでドライヤーの音が聞こえてきた。
俺は、台所から見える居間の壁掛け時計へと視線を向ける。
時刻は、午後11時。
雪音さんと会話していたら、いつの間にか30分近く経過していたらしい。
そして、脱衣所からナイルさんが出てきた。
「あっ――、ゴロウ様。どうかされましたか?」
そういえば、ナイルさんには異世界にいくことを言ってなかったな。
「ナイルさん。異世界に魔力の補給に行きます」
「分かりました。すぐに用意をします」
すぐにナイルさんは事情を察してくれるとメディーナさんと共有している部屋の引き戸をノックすると「メディーナ、入ります」と、言い入っていった。
「五郎さん」
「どうかしましたか?」
「そろそろメディーナさんとナイルさんの部屋は別々にした方がいいかも知れないですね。男女が同じ部屋を使っているのは色々と問題があると思います」
「そ、そうですね……」
そうは言われてもな。
すぐに部屋を用意することなんてできないし。
「ただ、自分の責任にされてもどうしようもないですけどね」
頭を掻きながら、雪音さんに答える。
「――でも、五郎さんが辺境伯領を継ぐ事になれば、王宮側も色々と手を出してきそうです」
「ですよねー」
それは、俺も考えていたことだ。
ただ、それは今すぐという訳ではないし、王宮側も日本側の武力は痛いほど理解しているはず。
秋田市を上空から見せて建造物の――、文明力の差は痛感しているはずだし、下手なことはしてこないだろう。
「雪音さん」
「はい?」
「たぶん大丈夫だと思いますよ? 軍事力や文明力に隔たりがあり過ぎると争うことは無いと思いますし」
「でも、辺境伯領はエルム王国側と地続きですよね?」
「そうですね。まあ、最悪――」
「こちらに戻ってきてしまっても問題ないですね」
「それまでに、日本でも地力を育てる必要がありますけど」
「頑張りましょう! 五郎さん」
「ですね」
随分と話が逸れてしまった。
とりあえず、ここらで話を戻そう。
「それで雪音さん」
「はい?」
「一度、一緒にお出かけしませんか?」
「プロポーズですか?」
「……」
雪音さんのツッコミに、俺は思わず無言になってしまう。
「――あ、ごめんなさい。何だか、ずっと一緒に暮らしているから、何だか今更な気が……」
「そ、それはそうですね……」
そこは、俺も同意見だ。
頷きながら、同意する。
「とりあえず、雪音さんのご両親に報告に行ってもいいですか?」
「えっと……、それって――」
「お墓参りに行きましょう。今度」
「あ、そういうことですか。わかりました!」
「あとは、祖父母にも挨拶に行かないといけないですからね。前回も、話はさせてもらいましたが、今回は結婚の日取りも含めてキチンと報告しないと」
「おじいちゃんなら電話だけでいいと思いますけど?」
「――いえ。きちんとご自宅に行って挨拶に伺った方がいいと思うので」
「分かりました。おじいちゃんに連絡しておきますね」
「お願いします」
あとは、プロポーズをどうするかだな。
そのへんは指輪が出来てからって感じになるか。
「はい!」
「あと、それと――」
言いかけたところで――、
「グルルルッ」
足元から唸るような声が――、足元を見れば、そこにはフーちゃんが、俺のズボンをガジガジと噛んでいた。
とっても不機嫌そうだ。
「フーちゃん、お腹でも空いたのかしら?」
「さあ?」
先ほどまでの、少し緊張感のある空気が弛緩し、雪音さんがフーちゃんへと話しかける。
すると、フーちゃんは、本当に不機嫌なのかコタツの中へと入っていくと、寝ている桜の横で伏せて目を閉じてしまう。
「何だか、フーちゃん、不機嫌っぽいですね」
「はい。何だか……、人で言うと、嫉妬とか、そんな感じに見えますね」
雪音さんの言葉。
嫉妬という意味。
ただ、俺としては犬が嫉妬しているとは、どうしても思えない。
「あれですよ。犬って、相手にされないと怒ることとかあるらしいですから。そんな感じだと思いますよ」
「そんなものですか?」
「たぶん……、そんな感じだと思いますよ」
犬は犬だし、動物なのだから人同士の恋愛事を見て首を突っ込んできたり、何か思うような事は絶対にないと思うし。
「それならいいのですけど……。何だか、フーちゃんって普通の犬じゃない気がするんですよね」
「普通の犬じゃない?」
「はい。もしかしたら――、すごい魔物とか!」
「それは無いと思いますよ」
そんなすごい魔物だったらナイルさんとかメディーナさんとか、王宮の人とかノーマン辺境伯が黙っているわけないし。
「そうですか?」
「普通の犬じゃないなら、異世界の人が何かしら教えてくれるはずですから」
「そういえば、そうですね……。もしかして、フーちゃんに口止めされているとか?」
「そんな、まさかー」
それこそありえない話だ。
フーちゃんは食い意地が張っているだけの仔犬で、そんなすごい存在なわけないし。
本当に、そんなにすごい魔物だったら、それこそ誰かが関与して桜にフーちゃんを買わせたって事になるわけで――、そんな偶然があるわけがない。
「そうですよね……」
雪音さんは、困惑した表情で渋々と言った様子で頷く。
そこでドライヤーの音が聞こえてきた。
俺は、台所から見える居間の壁掛け時計へと視線を向ける。
時刻は、午後11時。
雪音さんと会話していたら、いつの間にか30分近く経過していたらしい。
そして、脱衣所からナイルさんが出てきた。
「あっ――、ゴロウ様。どうかされましたか?」
そういえば、ナイルさんには異世界にいくことを言ってなかったな。
「ナイルさん。異世界に魔力の補給に行きます」
「分かりました。すぐに用意をします」
すぐにナイルさんは事情を察してくれるとメディーナさんと共有している部屋の引き戸をノックすると「メディーナ、入ります」と、言い入っていった。
「五郎さん」
「どうかしましたか?」
「そろそろメディーナさんとナイルさんの部屋は別々にした方がいいかも知れないですね。男女が同じ部屋を使っているのは色々と問題があると思います」
「そ、そうですね……」
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