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第421話 大寒波襲来(2)
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しばらくすると、フーちゃんが、コタツから出ると玄関に向かって走っていく。
「戻ってきたかな?」
俺が呟くと、雪音さんも同意するかのように「みたいですね」と、同意の意を示してくる。
そして桜と言えば、コタツの中でゴロゴロしながら、本を読んでいた。
読んでいるのは、俺が神田橋の本屋で購入してきた本の一冊。
内容は、異世界の物流というマニアックな小説のネタになりそうな本。
そんな本を読んでいて何が面白いのか? と、思ってしまう。
コタツから出て玄関の方へと向かうと丁度――、
――ガラガラ
音を立てて玄関の戸が開く。
「わんっ! わんっ!」
音に敏感なフーちゃんが先に玄関に到着し、吠えている。
そして、玄関にはびしょ濡れのナイルさんとメディーナさんが入ってきた。
「ただいま戻りました。ゴロウ様」
「おかえりなさい。とりあえず、お風呂にどうぞ」
俺は、ナイルさんとメディーナさんにタオルを渡してから、先にメディーナさんに風呂に入るように促す。
「――え? 良いのですか?」
驚いたような表情で、俺の言葉を聞いたメディーナさんがナイルさんの方を見る。
「ゴロウ様の命令です。先に入って来なさい」
「畏まりました!」
メディーナさんは、靴を脱ぐと渡されたタオルで髪の毛を拭きながら脱衣所の方へと向かう。
「ナイルさん、ここは女性ファーストということで」
「なるほど……」
得心いったかのようにナイルさんが頷く。
「異世界では上官や貴族が優先されますので――、少し驚きました」
「女性は体を冷やす事は良くないとされていますから」
「――どういう意味からでしょうか?」
どうやら俺の説明に好奇心が刺激されたのかナイルさんが髪の毛をタオルで拭きながら目を輝かせて俺を見てくる。
俺は簡単に、体が冷えた場合、女性は卵巣や子宮への血流が悪くなり、卵巣や子宮に関する病気を引き起こす可能性があることを伝える。
「なるほど……。そのような話を聞いた事はありませんでしたが、それが本当でしたら軍だけでなく王宮に報告する必要がありますね。出生率は、国力に直結しますから。それにしても、本当にゴロウ様の世界は、我々の世界よりも医術が進んでいるのですね」
「まぁ、異世界には魔法があるじゃないですか」
思わず苦笑いしてしまう。
魔法も、かなりチートなモノだと思っているからだが。
何せ、不治の病を一発で治療してしまうなんて普通はあり得ないから。
店の中を通って異世界側へ出る時、異世界側から店の中に入るとき、歩くだけで発動するのだから。
「それは、お店の入り口を通れば治療が出来るという魔法ですか?」
「そうですね」
どうやらナイルさんも想い言ったようで、聞いてきたから頷くが――、ナイルさんは首を左右に振ると――、
「ゴロウ様。治療を施すための店の入り口の結界ですが、あれは通常の魔法師では発動する事はおろか維持する事もできません」
ナイルさんが、ハッキリと断定してくる。
「そうなんですか?」
「はい。そもそも、あれはノーマン辺境伯の御子息のゲシュペンスト様と、ハイエルフの長老が作られたモノです。それだけで、かなり高位の魔法というのが容易に想像がつきます。そのため、かなりの魔法力が必要になります。おそらく維持するだけで普通の魔法師数百人の魔力。発動の際には数人分の魔力が消費されているはずです」
「もしかして……」
俺って、魔法は扱うことはできないが、魔力だけはあると言われていたが、その魔力の量って……。
「はい。ご推察の通り、少なくともドラゴンの上位種エンシェント・ドラゴンに匹敵する魔力量を有していると思われます」
「そのエンシェント・ドラゴンというのが、どのくらいすごいかは分かりませんが凄い事は何となく理解できました」
「ご理解頂けて何よりです。ですから、本来は、ゴロウ様の店のように問答無用で何でも治療すると言う事はできないのです。ですから魔法は万能ではありません。ただ、いまはゴロウ様の御店の入り口での自動治療は万能状態になっていますが……」
「それも、俺の莫大な魔力があるからという前提が必要になってくるわけですね?」
「そうなります」
「なるほど……」
どうりで、王国の重鎮の娘さんを治療した時にすごく感謝されたと思った。
そういう理由があったのか。
二人で会話をしていると、ドライヤーの音が聞こえてきた。
どうやら、お風呂からメディーナさんが出たらしい。
「ナイルさん。そろそろ、メディーナさんが出てくるようです」
「そのようですね」
会話をして、しばらくすると、「ふう――。副隊長、お待たせしました」と、メディーナさんが脱衣所から出てくる。
服は、俺とナイルさんが会話している間に脱衣所に入っていった雪音さんが置いたであろうパジャマを着ていた。
「では、ナイルさんもどうぞ」
「分かりました。それでは、入らせて頂きます」
ナイルさんが次に風呂に入っていったあと――、「ゴロウ様。副隊長と何かあったのですか?」と、メディーナさんが聞いてきた。
「戻ってきたかな?」
俺が呟くと、雪音さんも同意するかのように「みたいですね」と、同意の意を示してくる。
そして桜と言えば、コタツの中でゴロゴロしながら、本を読んでいた。
読んでいるのは、俺が神田橋の本屋で購入してきた本の一冊。
内容は、異世界の物流というマニアックな小説のネタになりそうな本。
そんな本を読んでいて何が面白いのか? と、思ってしまう。
コタツから出て玄関の方へと向かうと丁度――、
――ガラガラ
音を立てて玄関の戸が開く。
「わんっ! わんっ!」
音に敏感なフーちゃんが先に玄関に到着し、吠えている。
そして、玄関にはびしょ濡れのナイルさんとメディーナさんが入ってきた。
「ただいま戻りました。ゴロウ様」
「おかえりなさい。とりあえず、お風呂にどうぞ」
俺は、ナイルさんとメディーナさんにタオルを渡してから、先にメディーナさんに風呂に入るように促す。
「――え? 良いのですか?」
驚いたような表情で、俺の言葉を聞いたメディーナさんがナイルさんの方を見る。
「ゴロウ様の命令です。先に入って来なさい」
「畏まりました!」
メディーナさんは、靴を脱ぐと渡されたタオルで髪の毛を拭きながら脱衣所の方へと向かう。
「ナイルさん、ここは女性ファーストということで」
「なるほど……」
得心いったかのようにナイルさんが頷く。
「異世界では上官や貴族が優先されますので――、少し驚きました」
「女性は体を冷やす事は良くないとされていますから」
「――どういう意味からでしょうか?」
どうやら俺の説明に好奇心が刺激されたのかナイルさんが髪の毛をタオルで拭きながら目を輝かせて俺を見てくる。
俺は簡単に、体が冷えた場合、女性は卵巣や子宮への血流が悪くなり、卵巣や子宮に関する病気を引き起こす可能性があることを伝える。
「なるほど……。そのような話を聞いた事はありませんでしたが、それが本当でしたら軍だけでなく王宮に報告する必要がありますね。出生率は、国力に直結しますから。それにしても、本当にゴロウ様の世界は、我々の世界よりも医術が進んでいるのですね」
「まぁ、異世界には魔法があるじゃないですか」
思わず苦笑いしてしまう。
魔法も、かなりチートなモノだと思っているからだが。
何せ、不治の病を一発で治療してしまうなんて普通はあり得ないから。
店の中を通って異世界側へ出る時、異世界側から店の中に入るとき、歩くだけで発動するのだから。
「それは、お店の入り口を通れば治療が出来るという魔法ですか?」
「そうですね」
どうやらナイルさんも想い言ったようで、聞いてきたから頷くが――、ナイルさんは首を左右に振ると――、
「ゴロウ様。治療を施すための店の入り口の結界ですが、あれは通常の魔法師では発動する事はおろか維持する事もできません」
ナイルさんが、ハッキリと断定してくる。
「そうなんですか?」
「はい。そもそも、あれはノーマン辺境伯の御子息のゲシュペンスト様と、ハイエルフの長老が作られたモノです。それだけで、かなり高位の魔法というのが容易に想像がつきます。そのため、かなりの魔法力が必要になります。おそらく維持するだけで普通の魔法師数百人の魔力。発動の際には数人分の魔力が消費されているはずです」
「もしかして……」
俺って、魔法は扱うことはできないが、魔力だけはあると言われていたが、その魔力の量って……。
「はい。ご推察の通り、少なくともドラゴンの上位種エンシェント・ドラゴンに匹敵する魔力量を有していると思われます」
「そのエンシェント・ドラゴンというのが、どのくらいすごいかは分かりませんが凄い事は何となく理解できました」
「ご理解頂けて何よりです。ですから、本来は、ゴロウ様の店のように問答無用で何でも治療すると言う事はできないのです。ですから魔法は万能ではありません。ただ、いまはゴロウ様の御店の入り口での自動治療は万能状態になっていますが……」
「それも、俺の莫大な魔力があるからという前提が必要になってくるわけですね?」
「そうなります」
「なるほど……」
どうりで、王国の重鎮の娘さんを治療した時にすごく感謝されたと思った。
そういう理由があったのか。
二人で会話をしていると、ドライヤーの音が聞こえてきた。
どうやら、お風呂からメディーナさんが出たらしい。
「ナイルさん。そろそろ、メディーナさんが出てくるようです」
「そのようですね」
会話をして、しばらくすると、「ふう――。副隊長、お待たせしました」と、メディーナさんが脱衣所から出てくる。
服は、俺とナイルさんが会話している間に脱衣所に入っていった雪音さんが置いたであろうパジャマを着ていた。
「では、ナイルさんもどうぞ」
「分かりました。それでは、入らせて頂きます」
ナイルさんが次に風呂に入っていったあと――、「ゴロウ様。副隊長と何かあったのですか?」と、メディーナさんが聞いてきた。
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